【棋書】小さな違いに気づき、理解する
平手でも駒落ちでも、1手の違いが大きな違いを生み出すことがあります。
そういう局面に出会うと、私はうれしく思います。局面に対する理解が深まるからです。
子供を指導する中では、次の例がよく出てきます。
8枚落ちから。
2筋に注目してください。いま棒銀が成功しようとしています。
ここから、▲24歩△同歩▲同銀△23歩(次図)
ここで、しっかり▲23銀成とできる子は、数の攻めを理解しているといっていいでしょう。以下△23同金▲同飛成とすすめば、下手(したて)大成功です。
では、前の図と似ている次の局面はどうでしょうか。
ある程度8枚落ちに慣れてきた子には、△22玉としてみます。
ここで先ほどと同じように▲24歩△同歩▲同銀△23歩と進んだとき...
ここで▲23銀成△同金▲24歩の手筋で金銀交換になって成功、と読める子は8枚落ち卒業です。
しかし、▲23同銀成とする子の9割は数の攻めがわからずにやっていて、銀を失って初めてミスに気づきます。※この局面からの解決策は今回は省略
このように、似たような局面でも少しの違いがある局面を考えることで、各人の局面理解が推し量れるということがよくあります。
【設問1】
たとえば、四間飛車対4五歩早仕掛けの中のこの局面。
ここで▲45歩ならよくある定跡型ですが...
変化球ぎみに▲25歩と合わせてきました。このとき振り飛車を持ってどう指しますか。
【設問2】
角換わり腰掛け銀の一昔前の先後同型。
ここからの▲45歩に対する評価と...
この形。何が違うんだと思われるかもしれませんが、△85歩が△84歩に換わっています。いわゆる一手損角換わりですね。
この形での▲45歩の仕掛け。どちらのほうが先手を持って有利にしやすいでしょうか。
【設問3】
角換わり相早繰り銀から。今度は後手の陣形に注目。
この2図、あくまで机上の研究や定跡書の受け売りではあるのですが、仕掛けの分かれは評価ががらっと異なります。私レベルでは有利な方と不利の法、どっちをもっても負けるのですが笑
【設問4】
横歩取り。
受験問題風に言うなら、「仕掛けの成否について2つの図を比べて論じなさい。」ですね。1000字以内で。
私が今日出合ったのは、次の局面でした。
【設問5】
四間飛車対左4六銀急戦。(実際は三間飛車なので後手が1手多く指している)
この形は▲39飛が定跡というコテイカンネンがあったので、とっさに正解手を指すことができませんでした。また、△64歩型か△63歩型かの兼ね合いが非常に難しい...。
ということで、比べるのはこの図。
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正解は気が向いたら載せます。
何がいいたいかというと、定跡外れの手を指されたときに、それを自分の有利に活かすことができるのは定跡の意味をきちんと理解している人だという当然のことでした。
悪手に悪手で返せば、最初の悪手は好手にかわるとは、この世界で散々言われていることですね。
遅くなりましたが今日の棋書紹介。
一手の違いに敏感になりましょう。
▲一手の違いを見抜く202問(増田裕司、創元社)
ハメ手破りも実力のうち。
▲完全版 定跡外伝(新井田基信・執筆 マイナビ)