みずたま将棋ブログ

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【棋書】全集だいすき

全集っていいですよね。

 

「○○全集」…(○○には自分の好きな言葉を入れてください)

その甘い響き...自分の両手にその棋士などの残した棋譜のすべてがある感触...

 

なにがいいたいかというと、『藤井聡太全局集』を買いましたということ。

 

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320ページ超えのやや小ぶりながら厚みのあるA5版を開くと、この1年半のあいだにモバイル中継やテレビで見てきた棋譜の数々が並んで当時の情景が目に浮かびます。

 

解説は村山慈明七段、構成は鈴木宏彦さんです。

一局の将棋を15ページ前後で丁寧に振り返る「重要対局詳解編12局」と、皆さんご存知、将棋年鑑スタイルの「解説編48局」からなります。

※自戦解説はありませんのでご注意ください。

 

特装版を買われる方も、この普及版を持っていて損はないと思います。

 

ちなみに私の好きな全集は、

 

1.谷川浩司全集(2巻+15巻)

è°·å·æµ©å¸å¨éI å人就ä½ã¾ã§ (ãã¬ãã¢ã ããã¯ã¹ç)

私の将棋の基礎。居飛車正統派への愛着が芽生える。

 

2.大山康晴全集(3巻)

有名で、私も少し並べましたがさすがに挫折しました。

拾い読みしかしてませんが、それでも十分楽しめます笑

これを並べきった藤井九段の勉強量...

 

3.将棋名人戦全集(12巻)

昭和の名人戦を収録した和装本

語り草の中原大内戦など、印象に残る棋譜はやっぱり名人戦だった。

 

4.羽生善治全局集(3巻)

ç¾½çåæ²»å¨å±é ~ä¸å éæã¾ã§~

 

デビューから七冠達成までの約600局を収録。

中盤での自然な指し手と終盤での老獪な指し手で勝利を掴む技術をまなぶ。

 

5.大山中原全局集

大山VS中åå¨å±é

最強の棋士どうしの激突の歴史。

ノーマル振り飛車はこんなにも奥が深いのかと気付かされる。

中原先生の薄い玉の捌き方も絶品。

 

6.羽生佐藤全局集

æ°¸ä¹ä¿å­ç ç¾½çvsä½è¤å¨å±é (ãã¬ãã¢ã ããã¯ã¹ç)

 

佐藤先生が正当派定跡党からオリジナル党になるまでの変遷がわかる。

強い人どうしが将棋を指すとこんなにもねじれあった棋譜が出来上がるのだ。

 

などです。ほかにも羽生森内百番など、いろいろあります。

残念ながら升田幸三全局集はもっていないので、機会があれば読んで&見て見たいと思っています。

 

CD-ROMç åç°å¹¸ä¸å¨å±é

 

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ではでは、藤井聡太全局集をたのしんできまーす!

【8枚、10枚落ち】こどもに負けよう

私は将棋を始めたての子どもに指導するときは8枚、10枚落ちの駒落ちと同じくらい平手も指します。

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強い人は上手を持っていくらでも勝てると思いますが、負けるのには技術とすこしの根性がいります。下手としても上手陣に取る駒がないのは厳しいのです。

 

それぞれの手合いが卒業だなという段階(だいたい10枚なら20級とか、8枚なら10級とか)になるまでは、ひたすら負けてあげましょう。今回はその負けたいときの指し方を紹介(勝ち方は書かないよ!)。

 

(1)10枚落ちの負け方

・3三の地点はさすがに守る。

・7~9筋の歩は基本的に突かない

・飛車先を突破してきたら仕方なく玉を右へ

 

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飛車で攻めてきたのをいいことに、「いやあ厳しいなあ」と言いながら玉を右へ。△23歩なんて打ったら下手の勝ちが遠のきます。

 

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龍と馬の両方をつくれたら、「強くなったね」と心の中で思って、満足しましょう。

この王手には...

 

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この△72玉が眼目の一手。

△64玉と思った方、今日からは心にムチを打ってください。

 

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ここからも紆余曲折あるとは思いますが、だいたいこんな投了図ができたら全力で褒めてあげてください。

 

(2)8枚落ちの負け方

棒銀を教える

・数の攻めで2筋を突破させる

・▲23銀成には△同金、▲23銀不成には△31金

 

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まあ大体こんな形になりますよね。

ここで▲24歩△同歩▲同飛△23歩。

ここで▲64飛とすると△52玉でまた勝ちが遅くなります(勝ちには間違いないが)。

 

冷静に▲28飛としたあと、▲38銀からの棒銀がいちばん客観的かつconvincingな勝たせ方です。

 

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例によって、8~9筋はあまりいじらないでください。

この左上のスペースに美濃囲いの影が見えますか?私には見えます。穴熊でもいいです。

そういうことです。そこには平手将棋で崩すべき囲いの萌芽があるのです。

 

上の局面は一つの分岐点。ここで▲24銀としてしまうこの多いこと多いこと。

「ドアは頭突きじゃなくて鍵で開けようね~」と言って鍵(歩)を持ってこさせます。

 

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ここが次のポイント。だいたいの子は▲35銀とします。

ここで数の攻めをどう教えるかはあなた次第。

▲23銀成とできるようになりました。

 

しかしその子はつぎの対局では▲23銀不成としてくるでしょう。

このときは△31金とささやかな抵抗をしてみます。

▲33成銀がなくて少し後悔します。

成ることをおぼえたらちゃんと△23同金と取ってあげることにしています。私は。

 

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ここからの負け方は10枚のときと同じです。

最短で負けるなら△52玉▲32龍△61玉▲62金ですが、△61玉にたいしてすぐに頭金で応えられる入門キッズは私は見たことがありません。

 

くれぐれもはじめての子に対して中段玉はしすぎないように...

 

長くなったので平手編はまた今度。

加藤一二三はえらい

毎回タイトルがなにをもじっているのか分かりづらいというか、もはや私の自己満足になりつつありますね笑。今回は『先生はえらい』をもじっています。

 

さて本題。加藤一二三先生のすごさについて。

ここでは語り尽くせないのでせめてそのうちの1パーセントでも。

 

本当の凄さはバラエティ番組に出て汚れ仕事もいとわないこと、という見方もできますが、今回はスルー。だってブラジリアンワックスで鼻毛を抜くとかもう想像を絶しているから...

 

以下はWikiより引用。

最高齢現役(2017年6月20日引退)、最高齢勝利、最高齢対局、現役勤続年数、通算対局数、通算敗戦数は歴代1位であり、1950年代、1960年代、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代の各年代で順位戦最高峰A級に在籍したことがある唯一の棋士である[注釈 2]。14歳7か月で当時の史上最年少棋士(62年後の2016年に藤井聡太が更新)・史上初の中学生棋士となった。

 

すごすぎますね。棋士を含む多くの人間がその天賦の才と認めています。

ちなみに「神武以来の天才」の以来はこのかたと読みます。

 

旺盛な闘志はその後60歳を超えても衰えない。普通の人はその逆だ。「10で天才20で才子30過ぎればただの人」と言われる人も多いが、加藤一二三のまねはだれもできない。やはり天才だと思う。

(『内藤國雄のすべて』マイナビ出版、2016年 p158-159)

とは加藤九段と同学年の名棋士・内藤國雄九段の言。

 

内藤先生はほかのNHKの番組において、(奨励会時代の)「加藤さんのまわりだけは涼しさが漂っていた」と証言しています。加藤先生も、どこかで冷静から情熱への転換があったのでしょう。

 

さて、棋士のすごさはやはり棋譜を見なければ味わい尽くせません。

楽しむための書籍はいくつもありますが...

 

1.『加藤一二三実戦集』(大泉書店、1975年)

2.『加藤一二三名局集』(筑摩書房、1981年)

3.『加藤一二三名局集』(マイナビ、2015年)

4.『無敵棒銀』(木本書店、2015年)

 

あたりが有名かつ必須の棋譜集でしょうか。

 

1.加藤一二三実戦集は、そのサブタイトル「わが熱闘、珠玉の40局」からも分かる通り、精魂込めて指した相居飛車振り飛車破りの名局40局を収録。35歳までの脂ののった将棋が楽しめます。

2.加藤一二三名局集はその6年後に出された実戦集。昭和の名棋士の実戦集といえばこれが標準型となる名シリーズです。大野源一から石田和雄まで幅広い年代との対戦を収録。この本だとあんまり棒銀してないんですね先生。

3.2015年のマイナビ版名局集は、まさに生涯を総括する一冊。生涯現役を高らかに宣言する巻頭インタビューが印象的です。また、若手の新鋭増田康宏四段(当時)との勝局は白眉。

4.無敵棒銀棒銀に特化した実戦集。レイアウトの都合上じゃっかん読みづらいのですが、おもに大山名人との激闘が収められています。加藤先生とお話をする機会がある方はこの本の棋譜をネタとして仕込むと良いのではないでしょうか。

 

こうしてあらためて本を繰っていると、自分がいかに加藤先生の名局をしらないかに思い至ります。また、先生の棋譜がいかに居飛車の定跡を作ってきたかも。

 

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中飛車に対して自分から5筋を突いて勝ってみたり...(加藤ー中原戦 王将、1979年)

 

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大山先生の三間飛車に対して完璧な仕掛けで完勝してみたり...(加藤ー大山、NHK杯 1972年)

 

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今度は三間飛車にたいして7筋の歩を自分からぶつけていってそして勝ったり...(桐山ー加藤 十段戦リーグ 1972年)

 

相手の飛車のいる筋の歩を突き捨てるとか、そんなんできひんやん普通...

 

この将棋に限らず、対三間飛車の現代に残る急戦策のだいたいは加藤先生の新手です。笑ホントに。

 

ということで、次の機会には相居飛車での名棋譜を紹介できればなあなんで思っています。

 

さて名局集並べよっと!

【解答編】子どもに人気の詰将棋10選

先日の出題のこたえあわせの時間です!

 

【1】1手詰

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▲52金まで

 

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【2】3手詰

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▲33桂△同金▲22金まで

 

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基本の基本の手筋ですね。 

 

【3】5手詰

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 ▲23銀△13玉▲12銀成△同香▲23金まで

 

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一般の子どもに対して出す問題としては最高レベルの問題でしょうね。

 

【4】3手詰

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▲52馬△同銀右▲62銀打まで

 

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▲73馬には△62歩とすることで、玉方は残り駒をすべて持っているというルールを教えることもできます笑

 

【5】5手詰

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▲32銀△同金▲42角△同玉▲41金まで

 

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※手数としては2手目△同玉のほうが長いのですが、駒余りです。芸術性の高いこちらを本手順にするのが人情でしょう。

 

【6】7手詰

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▲13銀△同桂▲12金△同玉▲21銀不成△22玉▲32金まで

 

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2手目△同香では▲21銀成から短手数駒余りになります。

 

【7】11手詰

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▲52香△ 41玉▲32角△31玉▲21角成△同玉▲22香△31玉▲32香△41玉▲42香まで。

 

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何度見ても良い手順ですねえ。

 

 

【8】15手詰

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▲24香△23銀▲22歩△11玉▲12歩△同銀▲21歩成△同銀▲12歩△同玉▲23香成△11玉▲12歩△同銀▲22と(成香)まで

 

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2手目の銀の中合は高レベルですが、大道詰将棋スタイルで出題者が玉方を持てば気軽に楽しんでもらえますね。

 

【9】13手詰

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▲33銀△12玉▲13龍△同玉▲22銀打△12玉▲21銀不成△同玉▲32と△12玉▲22と△13玉▲25桂まで

 

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【10】17手詰

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▲16歩△同玉▲26飛引△17玉▲27飛上△18玉▲28飛△17玉▲27飛引△16玉▲17歩△15玉▲25飛△14玉▲24飛△15玉▲25飛上まで

 

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脳内で解くと混乱しますねやはり...笑

 

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最近、古本屋でこの本を入手しました。

囲いごとに章立てされた実戦的詰将棋問題が集まった良書です。

絶版なので、もしも古本屋で見かけたら即買いをおすすめします!

 

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おまけにこの本の中から1問ご紹介します(9手詰)。

 

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(高橋道雄『将棋 高橋道雄の囲い別 詰将棋 初段二段三段』成美堂書店、2008年 p95より)

子どもに人気の詰将棋10選

こどもの教室や大会に参加して時間があまると、詰将棋を教えて時間をつぶすことがあります。その時どきて詰パラのヨチヨチルーム~小学校くらいの手数ならいい感じで楽しんでもらえるようです。

 

大道詰将棋ではないですが、解けた解けないと言いながらわいわい盤を突っついていると良いコミュニケーションになるんです。いつもうるさいワンパクボーズたちも、このときだけは答える順番を守りながら真剣に盤面を見つめてくれる...

 

定期的に生徒と顔を合わせる教室だと、将棋大好きな子が「詰将棋つくったよー」なんて来てくれて、それをちょっと手直しするのもおもしろいです。

 

今日はそんなスキマ時間に便利な基本詰将棋を10題紹介。

 

【1】1手詰

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将棋の歴史とおなじだけの歳月を経てきた詰将棋

これが解っても、歩が銀になった途端にわからなくなる子もいますから、辛抱強く教えましょう。

 

 

【2】3手詰

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頭金の次に教えてあげたい基本の手筋。

自力で解けた時のエウレカ感は一種の快感です。

これも初見ではまず自力では解けないでしょう。

 

 

【3】5手詰

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渡瀬荘次郎『街宵』8番。

作品と言えるかは微妙ですが、子どもがはじめて挑戦する5手詰として最適と思います。これも自力で解けるか解けないかという子がたくさんいて出しがいがあります。

 

【4】3手詰

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古来から伝わる作者不詳の超有名作。

なるべくこの問題を知らない子に解かせてあげましょう。

おもしろいくらいに解けないです笑

 

 

【5】5手詰

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(久留島喜内『将棋妙案』6番)

これも覚えていて損のない名作。

中村王座が報道番組のゲストで呼ばれたときにその場で解かされていましたね。

 

【6】7手詰

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作者不詳の作品。

このくらいの問題を大盤に再現して置いておくだけで、かなりの時間こどもを煙に巻くことができますよ笑

真面目な話、詰将棋において攻方と玉方の双方が最善手順を選ぶということを説明するのに使います。

 

【7】11手詰

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出ました定番。見栄えがよく、持ち駒も綺麗なのに同時に詰み手順も美しく、解ってしまえば簡単という解後感を備えた作品。

ヒントを出しながら解いてみましょう。今日こどもに出したら20分はつついてましたね笑

 

【8】15手詰

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これを出題するときは、「香車とほかに歩が何枚あったら詰むかなあ」ととぼけながら図を作ります。あるていど将棋が解っている子(10級くらい)だと、「歩なんかいらないよ」と言ってくるので「本当?」なんていいながらこどもを焚きつけてやる気にさせるのはあなたの腕次第。まあ私がこどものとき勝又先生にやってもらった教え方なんですがね笑

 

有名な大道詰将棋の香歩問題の基本ですが、初めてみたときの感動はいつまでも色あせません。

 

【9】13手詰

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きれいで詰み筋もいい古作ですね。初段を目指す子なんかにはさっと解いてほしいですね。あまりこれを出題する機会はないのですが。

 

【10】17手詰

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堀半七の名で知られるこの作品ですが、その発表に先立つ『小林棋好手記詰物』(小林棋好)にも掲載されているようです。

いずれにしても、エレベーターのような楽しい作品。解けないとストレスが貯まりますので、ほどほどに笑

 

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参考文献

二上達也・福田稔『名作詰将棋』有紀書房、1986年

青野照市『古典詰将棋』光文社文庫、1993年

【レビュー】カクナリ!を読みました

いまさらながら、「将棋同人誌KAKUNARI!」をイッキ読みしました。

 

Twitterを中心に交流されている観る将・指す将・撮る将・書く将・描く将などをされている方々が日々のそれぞれの○○将活動を短い漫画や記事で紹介する同人誌です。

 

かるこえさんという方が中心になって2017年に創刊号が出、先日3巻目が出たとのこと。興味のある方はカクナリ!で検索してみてください。

 

どれも面白く一気に読み倒してしまったのですが、今回は私が読んだ中で印象に残ったものをぼんやりとご紹介。

 

創刊号

ゆーてんさんの「初心」は、ある棋士を応援することになった経緯を紹介するエッセイ。棋士に対する愛のある文章は、その棋士をより深く理解できるようなエピソードもあって読んでいて清々しい気持ちになります。

「プロ棋士似顔絵講座」を書かれたさんぺいさんはプロのイラストレーターの方ですが、A4・1ページで描写のコツを簡潔にまとめられていて勉強になりました。

 

第2号

プロ棋士大平武洋先生が寄稿されたのには驚きました。内容も名棋士との知られざるエピソードで、心が温まりました。ゆーすさんの「イカした仲間を紹介するゼ」は破壊力抜群のマンガ。私、ういう単純なの(失礼)に弱いのでとても楽しく読ませていただきました。Ryohei Noguchiさんの「ビストロ銀冠 ~美味しい食材(きふ)揃ってます~」は自身のお気に入りのプロの対局をメニュー風に紹介。棋譜×棋士というのは楽しめる読者層の多い題材ですね。ぬ子さんの「いろんな羽生さん」はタイトルがすべてを物語る絵でした。愛が溢れている...マンガではかねこさんの「Wand」が素朴な表現で好きです。

 

第3号

沙耶さんの「将棋イベントのススメ」は文字情報だけなのですが将棋イベントの魅力を簡潔にまとめた好作。誰かが楽しんでいるのを見ている・読んでいるとこっちまで楽しくなってきますよね。kazさんの「俺の藤森先生」(p60)はとても力強い筆致で息を呑みました。もちぐまさんの「脇息になりたい。」もタイトルが出落ちかんがあるのですが笑、それだけではなくてリアルな将棋会館の和室描写という意味でも価値があると思いました。

 

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第4号が出るのかはまだわかりませんが、私も機会があればこんな素敵な同人誌になにか書いてみたいなと思いました。

【棋書】居飛車本格派になる10冊(定跡編)

初段を目指す級位者向けに、居飛車を指す上で知っておきたい定跡を掲載した棋書をご紹介しましょう。今回は定跡編で、次回は棋譜並べ編の予定です。

 

10冊すべてを読む必要はないかもしれませんが、興味を持った1冊を繰り返し読んでマスターするのがいいでしょう。

 

【総論】

定跡の仕組みを広く浅く概観する総合定跡書たち

 

(1)羽生善治羽生善治の定跡の教科書』河出書房新社

※初心向け

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羽生先生が監修する定跡入門書。将棋にはどんな戦型があるのかを知るために最適なカタログ的な一冊。相居飛車から相振り飛車まで、各定跡の有名な変化を考え方とともに紹介しています。類書に「羽生の法則3」(文庫版)があり、これは玉の囲いと仕掛けについてプロの実戦例とともに解説しています。

 

(2)上野裕和『【増補改訂版】将棋・序盤完全ガイド 相居飛車編』マイナビ

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プロの将棋における序盤の流行の変遷を級位者に分かりやすく解説。解説盤面に矢印や色分けを多用して書籍になじみにない方でも安心して読めると思います。将棋が一つのストーリーとして見えてくるのが興味深いです。同著者による『【増補改訂版】将棋・序盤完全ガイド 振り飛車編』も必見です。

 

(3)佐藤慎一『将棋・基本戦法まるわかり事典』マイナビ

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居飛車の基本である矢倉・相掛かり・横歩取り・角換わりを指すにあたって、必ず押さえておきたい基本変化を紹介した一冊。全ての変化を覚えるのは有段になってからで十分ですが、なぜこの局面でこう指すのかという、棋理の一端が垣間見えることでしょう。

 

【各論・相居飛車

 

(4)井上慶太居飛車棒銀で戦え』NHK出版)

※初心向け

äºä¸æ¶å¤ªã®å±é£è»ã¯æ£éã§æ¦ã (NHKå°æ£ã·ãªã¼ãº)

 

居飛車は自ら作戦の主導権を握りに行く構えですが、相手の作戦に応じた柔軟な対策が必要になります。その点で棒銀はいつでも使えておすすめ。本書は初心者から初段まで幅広くおすすめできる好著で、相掛かり・矢倉・角換わり・対四間飛車を網羅しています。

 

(5)塚田泰明『角換わり 初段の常識』マイナビ

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ここ数年で数段階ブラッシュアップされた角換わりを大まかに解説。なぜかつての先後同型や単純な棒銀は流行っていないのか、相腰掛銀の最先端はなどなど、仕掛けにまつわる新しい常識を授けてくれる必読書です。私自身、発売日に購入して、興味深く1時間で読み通してしまいました。

 

(6)西尾明『よくわかる角換わり』マイナビ

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(5)の塚田先生の本が現代の常識とすれば、この西尾先生の本は昭和から平成、すなわち近代の角換わりの常識を網羅した名著です。当時はやっていた一手損角換わりに関する章があったりとやや時代を感じさせますが、棒銀や早繰り銀の受け方など、いつまでも色あせない常識が得られるでしょう。なお、この「よくわかる」シリーズは他に相掛かり(中座)、横歩取り(野月)など名著揃いです。

 

(7)野月浩貴『最新の相掛かり戦法』日本将棋連盟

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相掛かり定跡に関する本は決して多くはないですが、直前に紹介した『よくわかる相掛かり』(中座真)とともに、本書は双璧です。出版は2010年と古いのですが、昭和の時代から定跡化されてきた相掛かり戦法の▲26飛型と▲28飛型を必要十分な量だけ収録した名著と思います。なお、この「最新」シリーズはほかに△8五飛戦法(高橋)などがあり、これも名シリーズです。

 

(8)飯島栄治『横歩取り超急戦のすべて』日本将棋連盟

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居飛車の苦手意識を払拭するには、まず得意戦法を持ってライバルを倒す経験が重要かもしれません。その意味で横歩取りの(急戦)△3三角戦法、△4四角戦法、△4五角戦法は初段レベルでの必勝戦法になるポテンシャルがあります。将棋世界誌に連載されていた安心のクオリティをお楽しみください。飯島先生には他に相横歩取り横歩取り△2四飛ぶつけの著書もあります(日本将棋連盟刊)。

 

【各論・対振り飛車 

 

(9)渡辺明渡辺明居飛車振り飛車Ⅰ・Ⅱ』NHK出版)

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対抗型の序盤を解説した級位者向けの概説書。1巻では四間飛車以外の振り飛車を紹介しています。なぜ現在ノーマル中飛車三間飛車には穴熊が主流なのかを、具体的な手順とともに理解できるでしょう。2巻は藤井システム前後の歴史と対策を広く網羅しています。序盤研究の第一歩としておすすめ。

 

(10)渡辺明四間飛車破り』(急戦編・居飛車穴熊編)浅川書房

åéé£è»ç ´ããæ¥æ¦ç·¨ã (æå¼·å°æ£21)

 

「将棋に勝つには得意戦法を持つのが手っ取り早いです。アマの将棋で時代を問わず根強い人気を誇るのが四間飛車であることを考えれば、急戦を用意しておくのが一番簡単だ。ましてや居飛車穴熊の時代とあっては、四間飛車側が正確に対応しきるのは難しい。」(#今日の棋書 ツイートより)

 

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我流の将棋ではいつか限界が来ます。

怖いのは、将棋とはそのていどのゲームだと誤解されてしまうことです。

 

理論の勉強と実戦対局をバランスよくこなして快適な将棋ライフを過ごしてくださいね。