【入門者】将棋用具のすゝめ
最近はネット将棋と将棋アプリの普及もあり、初段くらいある実力者でも盤駒を持っていないという人もいるようですね。これも時代なのでしょうが、やはり将棋は実際の盤駒を使えると楽しみの幅も広がるというものです。
今回は将棋を最近始めた方向けに、将棋セットの購入案内をしてみたいと思います。なお、将棋道具のことは棋具と総称します(囲碁もそう)。
【1 購入方法】
1.ネット通販
購入方法は、まずは通販が一般的でしょうか。
日本将棋連盟のオンラインショップが王道という感じもありますが(ヤフーと楽天がある)、最近の将棋ブームで一部の商品に在庫薄の状態が続いているようです。
また、全国各地の碁盤店もネット展開しているところが多いです。東京の碁盤店は以前紹介しました。他には、山形の佐藤敬商店や大阪の井上一郎碁盤店、高知県の前川榧碁盤店などがあります(私自身あまり詳しくないです)。
また、ヤフオクやメルカリでも将棋グッズ買えるのですが、中古品が多いのでこれは上級者向け。また回を改めて紹介しましょう(トウシンさんなんか有名ですね)。
Amazonでも棋具は買えます。ただし、家電量販店にて買えるものと商品展開が重なるのでそれらと同一視してもらって構いません。
2.碁盤店
通販の他には、実際に碁盤店に足を運ぶのが有力でしょう。入門くらいのセットに関しては高級品と違って商品の個体差がないのですが、碁盤店は行くだけで将棋が強くなる気がするので行って損はないと思います。もちろん東西の将棋会館にも商品はありますよ。
そういえば碁盤店は将棋盤店って言わないですよね。なんででしょうかね。
3.その他
昔は将棋の駒は文具店で買うというイメージがありましたが、今その役割を果たしているのは家電量販店や玩具店というところでしょうか。むしろ文具店ではポータブル将棋しかなかったりします(ポータブルセットならコンビニにもある)。そして、最近では書店でも将棋セットが売ってたりします。そういえばドンキとかにも売ってますよね。東急ハンズとかでも(東急ハンズは東京以外にもある)。
【2.商品】
1.持ち運び用
まずはマグネット盤など、持ち運びに便利な商品を見ていきます。
出先で友達と指すことが多い人におすすめ。手のひらサイズのものは500~1,000円前後で手に入るでしょう。私は「ポケッタブル将棋」という商品をローソンで買いました(現在は「ポケッタブル将棋」は絶版)。
もうすこし大きなものだと2000円前後のものがあります。大きさでいうとiPadより一回り大きいくらいのサイズで、喫茶店で広げるくらいの用途ならOK。私は上野のビックカメラで1500円のやつを買いました。同じサイズでチェス盤も持っているのですが、結構便利ですね。みんなで居酒屋で詰将棋をつついたりできます。
↑私が持ってる型
ねこまどさんが出している「ねこまど将棋盤」は上部な紙でできていて、広げたときの大きさは標準盤と同じなのですが、半分に閉じられるので持ち運びに便利。キャンプとかにも。800円。標準サイズの盤駒だと将棋特有のパチン!ができるからいいですね。
ねこまどショップのほか、マイナビさんの将棋情報局にも購入ページがあります。
持ち運び用の将棋盤は独自の小ささを採用していることが多いので、(磁石入りの)駒もセットで販売されるのが特徴です(ねこまど盤は別売り)。
2.自宅用
自宅用の将棋盤ですが、まずはこども用の駒の動かし方が書いてあるものを紹介しておきましょう。
マスター将棋やスタディ将棋が代表例で、家電量販店などで3000円弱で買えます。
後者は木製です。藤井聡太六段が最初に使った将棋盤としても有名ですね(予算がなければ「本格将棋」だと小売価格1,000円を切るかも)。
自宅用の将棋盤であれば、大抵は盤と駒が別売りです。これは将棋盤のマス目の規格が決まっているのが大きいですね(一尺二寸×一尺一寸)。先人に感謝。
ここではまず駒に注目します。家電量販店や各種通販でよく流通していて多くの人に使われているのが楓などの安価な木材の駒。1,000~2,000円で手に入ります。
もし実物を見る機会があれば、裏の成駒の文字が判別できるかを見てあげてください。木製の駒はくせがあるかもしれないので無理そうならプラ駒を。
また、同様の店舗、価格帯でプラスチック駒も同様に広く普及しています。
個人的には厚みのあるこのプラ駒がおすすめです。アマ大会などでも一番使われている商品で、連盟にも売っています。
※これの2番めのやつがおすすめ。
将棋連盟が最近出したデラックス将棋、私は使ったことがないのですが、6000円程度する代物ですから間違いないでしょう。
このデラックス将棋の特徴は駒の書体に本格的な「4大書体」を採用していること。
現在はそのうちの菱湖書だけですが、今後オプションが増えるみたいです。ちなみにこの商品は書籍扱いですので書店で購入可能です。
(参考)書体について
菱湖(りょうこ)、水無瀬(みなせ)、錦旗(きんき)、源兵衛清安(げんべえきよやす)が代表的な4書体です。
ちなみに上記のプラ駒は水無瀬書が模してあります。
プラ駒に合わせる盤はソフト盤が良いでしょう。おすすめはこれ。
ビニールでできているのでもしも濡らしてしまっても安心。将棋大会で見かけないことはないですね。プラ駒と合わせても2500円程度でリーズナブル。
マンション住まいなどで夜に音を立てずに将棋がしたいならば布盤を使いましょう。
升田幸三名人が自宅での研究に布盤を使っていて、それをみた中原先生がさっそく母親に自分用の布盤を作ってもらったのは有名すぎるエピソードですね。
布盤をより高級志向にしたのが革盤。人工皮革ではありますが、青山碁盤店さん独自の商品です。使ってみた感想は、折ってもそれほど折り目がつかずに使いやすいです。使い込み甲斐もある。
本格派さんには木製の盤がおすすめ。いきなり最上級品の榧(カヤ)の製品を使ってもいいのですが、本当に自分が将棋が好きなのかわからない間は(とつぜん将棋熱が覚めることだってある)アガチスや桂、せいぜいヒバ材で十分でしょう(卓上盤と呼ばれることも)。わたしは小6くらいで初段になるまでずっとアガチスの板盤を使ってました。使いすぎて割れましたが笑。値段にして5000~1万円といったところ。
ちなみに1寸は約3センチです。
タイトル戦に使うような7寸盤はつまり約21センチの厚さです(+脚の高さ)。すごいですね。
私のおすすめはソフト盤でしたが、木製なら折れ盤が絶対的に良いでしょう。
「棋になる折れ盤3」という商品があって、これは折れ目に蝶番がないので机においてもガタつかないすぐれもの。4000円くらいです。買うなら碁盤店か連盟か、各種ネットショップにて。私は高校の部活でこれを使ってました。
最後に紹介するのは本格駒ですか。先に述べた4大書体を使った駒はややいいお値段になりがちです。界隈で有名なのは御蔵島黄楊(東京都の御蔵島で取れる黄楊(ツゲ)材は駒の木地として最高級)を使った晴月(という駒師)作のもので、これは約3万円のお値段。
材質をプラスチックに妥協すると4000円に。→「王将駒 プラスチック」で検索!
ねこまどさんの一字駒は見やすいうえに安いです。ただし楓材で軽すぎるのが難点。
いろいろたくさん情報を載せすぎましたね、次で最後です。
結局本格派さんには何がいいかと言うと、丸八碁盤店さんが出しているシャム黄楊(中国産黄楊)が駒の字も見やすく、お値段も1万円台で良き感じです。
アマ強豪で将棋ユーチューバーのアゲアゲさんがこの源兵衛清安の駒を使われてたのが印象に残っています。
【まとめ】
棋具ははじめから良いものを揃えるのも手ですが、最初のうちは安価なもので、実力と将棋愛が深まるとともに良いものを買っていくというのが楽しいと思います。
まずは「プラスチック駒+ソフト盤」(約2500円)か、高級志向ならば「シャム黄楊駒+板盤」(2~4万円程度)を使ってみてはいかがでしょうか。
個別の相談は碁盤店さんまで。私へのリプやブログコメントもウェウカムです!