最近買った本
ご無沙汰してます。
先日、少し時間が取れたので神保町に行ってきました。
澤口書店の店頭で新書サイズ棋書が数百円で安売りされてたので買ってみました。
『名作詰将棋』は古典詰将棋100題を紹介する名著。江戸時代の詰将棋や、大道詰将棋まで収録。二上達也先生が共著者に名を連ねています。(200円)
『塚田詰将棋代表作』は塚田正夫九段の作品集。さまざまな版型で出ていますが、いずれも絶版でしたので記念に購入。(200円)
『詰将棋ミステリーツアー』は伊藤果先生が1990年に出した名著。初級者向けツアーからマニア向けツアーまで、3〜35手の作品が載っており、無人島に持っていくのに最適の一冊。(200円)
『内藤の次の一手』は「妙手探し」(将棋世界)で有名な内藤九段の創作次の一手集。超絶技巧満載です。(200円)
昔の本は表紙に問題が掲載されているものが多いんですかね。よければ解いてみてください。
内藤九段つながりで、『伸び伸びしみじみ』は見開き2ページに詰将棋作品とエッセイを掲載した本。内藤九段のエッセイは滋味深く、味わいがあります。(200円)
内藤九段のエッセイ集『私の愛した勝負師たち』はアカシヤ書店で買いました。(買わずにはいられなかった…?)師匠である藤内先生から升田、森安、谷川らへの愛情がにじみ出ています。(800円)
『中原の実戦格言99題』は実戦をもとにした三択形式の次の一手本。とても勉強になる。対局者名が掲載されており、棋譜を調べたい人にも親切。棋譜集って読むのが大変なんですが、こういう解説本を副読本として持っておくといいですよね。(200円)
「中田章道作品集」は将棋世界の付録。付録として何度も出版されているので全部を集めるのは大変と思いますが、頑張ります笑
ともかく、中田先生の作品は流麗でありながら解きごたえがあり、天才だと思います。
詰将棋がんばろう!
自分の将棋をデザインする
去年の8月、とあるアプリが公開されてファンの間でやや話題になりました。
このサイトから概要を引用するとこんな感じ。
「棋士プロ」はストーリー型の将棋棋士育成ゲーム。主人公は将棋の勉強をしながらイベントをこなし、ゲーム最後に行われる大会での優勝を目指します。また育成完了した棋士はユーザ間バトルをすることで競い合うことができます。
マンガ『 将棋めし』とコラボしたアプリということで、一時は期待されました。
しかしいつの間にか人気はどこか別のところに行ってしまったようでしたね。
見どころのあるゲームとは思います。
ゲームの名前がパワプロと掛かってるとか。
思い立って再インストールしてみました。なつかしい。
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主人公は高校将棋部に所属する(あなた)で、100日後に最後の学生大会を控えています。
ある日のこと、なかなか勝てずに伸び悩んでいる主人公に前に将棋めしでおなじみの峠なゆたプロが現れ、メンターとなってくれます。
基本的にはパワプロなんで、好きなトレーニングを主人公に課していくだけで能力が上がっていきます(やさしい世界)。体力は減るので適当に休憩は必要で、各練習メニューは失敗することもあります。
基本メニューはこんな感じ。
1.勉強
▶棋譜並べ(成功率98%)
▶本を読む(98%)
▶詰将棋(86%)
▶連取対局(79%)
2.休憩
▶寝る
▶あそぶ
3.栄養補給
▶カツ丼
▶カレー
▶肉豆腐定食
あらためてこのアプリをプレイしてみて感じたのは、対戦要素がすべて運任せなので楽しめる部分がやや少ないことでしょうか。
しかしながら、ゲーム感覚でポチポチ将棋人を育成していくあたりは、ちょっと現実世界に取り入れてみてもいいかもしれませんね。
普段やっている練習メニューを書き出して、その日にやった分をノートやツイッターに記録していくのと似た感覚ですね。
詰将棋、棋譜並べ、棋書講読、実戦の4つをポイント化してグラフにしたり、将棋プロフィールを作って自分の棋風を記してみたり。
面白そうなのでちょっと「練習ノート」を作ってみました(下部リンク)。中二心をゆさぶられてます笑
よければ使ってみてください。感想をお待ちしてます。あと、自分はこんなノートに記してるよ!とかもあれば知りたいです。
自分がなんで将棋をしているのか、だれの将棋にあこがれてどんな将棋を指せるようになりたいのか、具体的にイメージして書くのがいいと思います。
「練習メニュー」の空いている欄は自由に使ってください。
また、この紙はどんなペースで使ってもいいと思います。
最近買った本(電子書籍版)
kindleのセールも終わったので、この機会に買った電子棋書を簡単に紹介。
なお、どれも名著ですので基本的には全部★5つのつもりです笑
中座真『相掛かりの新常識』
久々に出た相掛かりの定跡書。おもに飛車先保留の考え方が勉強になります。
電車に乗っている時など、スキマ時間に定跡を確認するのが吉。
名著中の名著『森下の四間飛車破り』『森下の対振り飛車熱戦譜』を合わせたプレミアムブックス版。電子書籍対応になって半額だったのでお得感満載でした。
中田功『コーヤン流三間飛車の極意 PB版』
こちらもプレミアムブックスでの復刊書籍。三間飛車を指すうえでの教科書だったので、よほど新しい定跡だけで生きていくのでない限りは必修知識でしょう。
永瀬拓矢『全戦型対応版 永瀬流負けない将棋』
今回のセールでは棋譜集を重点的に集めてみました。
本書は本当に中盤戦の戦い方の勉強になります。とくに藤森戦と日浦戦。
『升田幸三名局集』
こちらはセールでなかったですが、いつかほしいと思っていたのでこの機会に。
そういえば、菅井七段も升田将棋のファンみたいですね。
『将棋戦型別名局集1 穴熊名局集』
戦型別名局集の1冊目。穴熊の時代が終わりつつある今だからこそ。
内藤國雄『内藤國雄のカンタン詰将棋』
文庫は半額セールだと500円以内になるので際限がなくなりそうでした笑
米長邦雄『逆転のテクニック』
将棋は終盤、終盤は詰将棋。
『逆転のテクニック』米長邦雄
— みずたま🎃 (@go_tom_89) February 6, 2018
「上達するには詰将棋を解くことです。」指導者にどれだけ口を酸っぱくして言われても、何かにつけて努力を怠ってしまうアマチュアに対して残された著者からの最後通告。終盤に限らず、読みをおろそかにして勝ちは手に入らない。泥沼流逆転術も満載の名著。#今日の棋書 pic.twitter.com/VfK0TSFy7L
武者野勝巳『手筋の達人』
『手筋の達人2』の矢倉版。もはや古典になりつつありますね。
『【決定版】駒落ち定跡』所司和晴
— みずたま🎃 (@go_tom_89) March 20, 2018
8枚落ちから香落ちまで8種の駒落ちの王道定跡を網羅したいわば現代の『将棋大観』。所司七段の丁寧な語り口そのままの解説で初心者も安心。駒落ちは定跡通りに進むことが多く勉強になる。幼き日の藤井六段が将棋教室で丸暗記して上達したエピソードも。#今日の棋書 pic.twitter.com/KVAq9u717q
今日はここまで!
さあ棋譜ならべしましょう。
【初心者必携】マイナビ電子書籍
今回のkindle半額セールは今日いっぱいみたいですね。
駆け足ですが、初心~初段までの方におすすめの半額タイトルを紹介します。
電子書籍はいつでもどこでも読めるので、次の一手や詰将棋の本を買うのが間違いないです。
以下★がついているのは目をつぶって買っても損はないです。とくに★3つのは。
及川拓馬『全戦型対応!絶対に覚えたい将棋・囲いの守り方』
★及川拓馬『全戦型対応!囲いの破り方』
以下は週刊将棋のシリーズですね。まとめてそろえるのが吉。
★★週刊将棋『将棋・ひと目の手筋』
★★週刊将棋『将棋・ひと目の定跡』
★★★週刊将棋『将棋・ひと目の端攻め』
★★★週刊将棋『将棋・ひと目の寄せ』
★将棋世界『「次の一手」で覚える将棋基本手筋コレクション432 』
盤面全体を使った次の一手本です。定跡的な要素も強いかな。
週刊将棋『「次の一手」で覚える 将棋 序・中盤の手筋436』
★★★週刊将棋『将棋・ひと目のさばき』
振り飛車党の常識。
武者野勝巳『手筋の達人2』
これは個人的に思い入れのある本です。何度読んだかわかりません。
★杉本昌隆『速効!振り飛車の絶対手筋105』
丹念に振り飛車の手筋を収集した本。
定跡を概観するシリーズ。
余裕があれば棋譜並べにも挑戦したいですね。
四間飛車を指す人はいずれ読むことになると思います。
『大山康晴名局集』
みんないつかは並べたい伝説、大山康晴先生。
振り飛車党と藤井ファンはぜひ。
詰将棋も頑張りましょう。
コツコツ少しずつ繰り返すことです。
『藤井聡太推薦! 将棋が強くなる実戦1手詰』
★本間博『解いてスッキリ! 3手5手の詰将棋』
★将棋世界『1冊で詰みの基本が身につく3・5・7手詰』
米長邦雄『逆転のテクニック』
レベルは有段者向けですが、鬼の終盤力を手に入れたければぜひ。
安いのでね、いい機会と思います。
今回は以上です。これを読んでみんなアマゾンに急げ!
9・10月の新刊
お久しぶりです。今日は職団戦に行ってきました。需要あればまた記事にします。
さて今日も元気に新刊紹介していきましょうね。
まずはマイナビの戦術書から。その後その他の出版社のものを紹介します。
★★★★★☆
NHK杯でも指されるなど今年に入って頻繁に目にする機会が増えた超攻撃型三間飛車。
本書で扱う三間飛車藤井システムは、従来の四間飛車藤井システムよりも居飛車急戦に強く、また展開によっては居飛車の雁木のような変化にも移行する柔軟性を持っている。本書はアマチュアにも好まれるいわゆるトマホークの研究も収録し、充実の300ページとなっている。
(2)長沼洋『「駒取り坊主」長沼の中・終盤で差をつける 力戦次の一手205』
★★★★☆
プロの実戦をもとに、定跡を外れた局面でのセンスを問う次の一手本。
駒が入り組んだ中終盤の局面にたくさん触れることで考える力が身につくだろう。
友人の対局の感想戦にいきなりまじる感覚を味わえる。初段~高段者向け。
(3)武市三郎・美馬和夫『奇襲の王様 筋違い角のすべて』
★★★★★
久しぶりに出た筋違い角本。振り飛車編・居飛車編はもちろんのこと、相筋違い角なる戦型も解説した、筋違い角の完全版。武市先生の語りを美馬さんがガイドするという構成で、いつもながら美馬さんの構成と文章は非常に読みやすい。
後半の実戦編では目からうろこの考え方・大局観が多く紹介されていました。
(4)杉本昌隆『将棋・究極の勝ち方 入玉の極意』
★★★★☆
これまた久しぶりに出た入玉本。絶対手筋シリーズの続編のような位置づけで、見開き2ページで一つの入玉手筋を紹介する。
小駒を4枚投入しても大駒1枚を回収できれば1点の得、のようなシビアな考えのもと、すこしでも逆転の(あるいは入玉勝ちの)チャンスを広げる知識を手に入れる。
実戦には出てこないだろうなあ...とは思いつつもこれだけの知識が1663円で読めるなら安いものです。
(5)増田康宏『増田康宏の新・将棋観 堅さからバランスへ』
★★★★☆
増田先生2冊目の出版は自戦解説本。将棋記者の内田晶さんの構成の下、最近増田先生の指した12局の将棋を各20ページかけて詳説。かつての名著『絶対感覚シリーズ』に似たイメージか?
章立ては雁木、角換わり、相掛かり、振り飛車の4つ。堅さよりバランス重視の陣立てで将棋盤全体をコントロールする思想は、ポスト穴熊時代の嚆矢となるだろう。
「雁木の理想的な成功例」(斎藤慎戦)「完璧な振り穴攻略」(青嶋戦)など、完璧に勝ち切る将棋も多い。
(6)西尾明『コンピュータは将棋をどう変えたか?』
★★★★★
まさに労作。労作オブザイヤー。コンピューター将棋の出現でプロの将棋がどのように変わったかを、プロ棋戦及びフラッドゲートの豊富な実戦例を交えて詳説する300ページ。
第1章(「コンピュータ将棋が定跡に与えた影響」)で名人戦・森内ponanza新手や矢倉△4五歩作戦などここ5~10年で人間の将棋界でおこった革命を説明。その後の第2章(「コンピュータ将棋が作り出す新戦法」)これから人間が直面することになる(角換わり▲4八金型などに関してはすでに直面している)新スタイルを紹介する。
メインとして相居飛車を扱っており、スタイルとしては勝又先生の『最新戦法の話』(浅川書房)の現代版といた趣き。
将棋が別ゲームに見えてくる。
★★☆☆☆
大棋士・谷川浩司九段の将棋の中から、矢倉の名局20局を自戦解説したコレクター向き実戦集。巻頭に「私的矢倉観」と銘打った講座を設けているが、これは「名局集シリーズ」の巻頭特集と似たイメージのつくり。
ただし、内容的には『谷川全集』や『光速の寄せ』で読んだことがある内容であること、最近では指されないじっくりとした矢倉のみを扱っている点で個人的需要は低いかもしれない。
(8)『藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰』
藤井聡太七段推薦の3手詰本。問題作成は詰将棋の大家・柳田明氏で、クオリティはお墨付き。
ぱっと読んだ感じ、各問題ごとにひとつ詰め手筋を身につける意識が強い感じがする。
芸術性重視のハンドブックシリーズとはやや毛色が違い、実戦・現実的な感じを受ける。
(9)船江恒平『船江流「詰み」から逆算する終盤術』
★★★★☆
NHK将棋講座の内容をまとめたテキスト。「詰み」「詰めろ」「2手すき」「必死」といった終盤の基本的な考え方を、部分図を多用して解説する。タイトルの通り、詰みの状態から1手ずつ局面をもどして考えていく構成。
内容として初級者が基礎を押さえるための教科書といった趣きだが、いつの時代にもあってよいものだろう。
★★★★★
気鋭の若手詰将棋作家による作品集。電子版のみの出版なものの、540円と格安。
7手から17手までの手ごろな詰将棋を100問収録しており、頭の体操にピッタリ。
勝浦先生の詰将棋道場くらいの感覚で取り組んでみるのがいいかと思う。
盤面デザインがいいのも好印象。
(11)森信雄『詰ます将棋』(実業之日本社)
★★☆☆☆
すごい問題集が出たものです笑
詰将棋は基本的なルールとして、玉方(詰まされるほう)が盤上・攻め方の駒以外のすべての駒を持つことになっています。しかしこの「詰ます将棋」では、玉方が持ち駒「なし」「歩のみ」など制約がある状態で始まります。
なので持ち駒なしの玉方(11玉、21歩)に対して▲1三龍と王手すると詰みなのです笑笑
楽しいので息抜きにいいかもしれませんね。
以上のほか、島朗『純粋なるもの』(河出新書)や渡辺明『頭脳勝負』(ちくま文庫)も新書化・文庫化されています。いずれも名著なので未読の方はぜひ。前者は森内・佐藤・羽生らが若かりし頃のエッセイ集、後者は将棋界の仕組みをわかりやすく解説。
鍋倉夫『リボーンの棋士(1)』は年齢制限で奨励会を退会した青年の復活を描く王道もの。ストーリーがありがちなだけに今後が楽しみです。
加藤一二三『ひふみんのワクワク子ども詰め将棋【1手詰め+3手詰め】』
子供向けの詰将棋本でも結構骨のある図が載っています笑
これをいい機会に、1手から5手詰をマスターしよう。
1069円で220問あるので1問5円以下とコスパよし。
ここだけの話、子供向けの本は実は大人のためになることも多いです。
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9,10月の新刊紹介をまとめてやってみました。
紹介漏れがあったらお知らせください☆
暗記の効用
将棋、強くなりたいですね。
将棋の勉強といえば主に以下の5つが浮かぶことと思います。
1詰将棋 2棋譜並べ 3実戦 4定跡 5問題集(手筋・次の一手)
皆さんはどの勉強法が好きでしょうか。
私は棋譜並べが好きです。特に名局集シリーズは一つの戦型に絞って棋譜を見ることができるので素敵ですね。
それから升田幸三名局集。ともかく序盤感覚の鋭敏さが尋常ではありません。場合によっては終盤(勝負)にたいする執着がゼロなのではないかと思わせる敗局もあるのですが、それだけに九段の負けた将棋からも学ぶところが多いです。
(他にも、次の一手勉強法も好きではあるのですが、たくさんの書籍をこなしていくなかで、なかなかこれ!といういい教材に巡り合えていないのが現状です。)
皆さんの中では、実戦が好きだよという方が多いかもしれません。
ツイッターに流れる将棋ツイートを見ていても、この局面から勝った!負けた!というツイートが目立つ気がします。そんな状況があるだけに、「今日は詰将棋本を5ページ進めました」というツイートを見かけるとほっこりと応援したくなります。
そうです。詰将棋は裏切らないのです。
今回この記事で何が言いたいかというと、地味な勉強法ほど地力がつくかもしれないよということです。
地味な勉強法とはつまり(1)詰将棋と(2)暗記ですね。
(1)詰将棋の効用はいうまでもないでしょう。
実戦では詰将棋のような作ったような手順は出ないのだからやっても意味ないよ、という人は、詰将棋が手を読むという基本動作の訓練であることを見過ごしています(あるいはこれは脳内盤駒の動きを滑らかにする潤滑油を差す作業ともいえる)。
特に、脳内詰将棋をやると頭がすっきりします。
身近に理解ある友達や家族がいるかたは、ぜひ脳内詰将棋の問題を出してもらいましょう。簡単なものでかまいません。地道に脳内盤を醸成していきましょう。私もこれで読みの力がぐっと上がった経験があります。
余談ですが、阿部光瑠六段はPCソフトに搭載されていた目隠し将棋(駒が白地になる)を指して上達した経験があるそうです。参考まで。
つづいて(2)暗記は、とくに定跡の手順を覚えるときに有用なことが多いと思います。教科書に書いてあることに疑問を持てる人は、そもそも教科書を熟読し理解しているものです。
数年前の将棋世界に「ぼくはこうして強くなった」という短期連載があり、その2015年9月号は広瀬章人八段が登場しています。その中に暗記に関する記述がありましたので紹介します。
両親にはうまくコントロールされていたと思います。父に言われて、『羽生の頭脳・全10巻』をノートに書き写しました。理屈を理解したできたわけではありませんが、定石を見よう見まねで覚えました。矢倉をよく指したし、振り飛車に「▲5七銀左急戦」を指していたのは、明らかに『羽生の頭脳』の影響です。 (p88)
何をお手本にしたかといえば、やはり羽生世代の方たちの将棋です。羽生さんや森内さんが指す居飛車の将棋は、序盤からずっと中盤、終盤まで見通している。指し手が線になって初手から最後まで続いている。それを勉強し直しました。考えてみれば、自分の将棋の原点には小学校5年生まで懸命に書き写していた『羽生の頭脳全10巻』の定跡があったはずだし、その原点に戻ったともいえます。(p96)
また、藤井聡太七段が 子供時代に駒落ち定跡を暗唱していたのは有名な話でしょう。
指導に当たった文本力雄さんはインタビューでこう語っています。
「教材は駒落ち定跡書になっているので、その480ページをみんなに覚えてもらういうのが最初で。その次が『羽生の頭脳』という一般戦法になるんですけども。」
「はい、これを八枚落ちから上手香落ちまで。それをね、一区切りずつ並べて覚えてもらって。テストするんです。」
『暁将棋部屋 第二号』p43-44
これによると、藤井七段は幼いころこの暗記課題を1年くらいでクリアしたそうです。
この出典(暁将棋部屋という同人誌)に興味がある方は、こちらからどうぞ。
ということで今回はちょっと将棋をがんばって覚える時期があってもいいんじゃないという意識で書いてみました。
広瀬八段や藤井七段も通った道と知れば、何となくやる気も起きるかもしれませんね。
皆さんも基本をしっかり学び、そこから応用を繰り返して自分の将棋を作っていきましょう!
【1005追記】
鈴木大介九段は少年時代、父上から大内九段の名著『5七銀左戦法』を暗記させられたというエピソードがありましたね。
どこでも棋書
以前は棋書はすべては紙の本で買っていたのですが、ここ数年は電子書籍で買うことも多くなりました。
今回は私が電子版、紙版の両方で持っている本を紹介しましょう。
最初は紙で買ったのだけれど人に挙げてしまったり、あまりにも参照する回数が多くてこれは電子で買ったほうが早いと判断した名著ばかりです。
【定跡本】
- 中飛車破り一直線ガイド 髙見泰地
ゴキゲン中飛車(先後)に対して一直線に居飛車穴熊に組みにいく戦い方を解説した本です。2013年に出された本ですが、その内容はいまだに色あせません。
最新定跡を研究する上での基礎固めにいいのではないでしょうか。
『駒落ちのはなし』先崎学
— みずたま (@go_tom_89) September 20, 2017
将棋世界の連載を書籍化したもの。8枚落ちから2枚落ちまでの主要定跡を、上手の実戦心理の機微に触れつつ流れるような先崎節で解説する。定跡書としても読み物としても味わい深い。
巻末には木村九段との角落ち特別対局も収録。全棋力対応の名著。#今日の棋書 pic.twitter.com/RlRq6Z3eP8
- 初段に勝つ矢倉戦法 森下卓
初段を目指す方が、じっくりした矢倉戦法を組んだ後の狙いを知るために有用な本。
先手(読み手)側が有利になるような手順を採っており、理想形を描くことの大切さを教えてくれる。
四間飛車対居飛車穴熊の定跡で考えるべきことが網羅された定跡書。中盤以降の指し手はやや理想化された手順という感じはあるが、初段前後であればこれ一冊で十分居飛車等に対応できるだろう。
- 手筋の達人2 武者野勝巳
『手筋の達人2』武者野勝己
— みずたま (@go_tom_89) September 14, 2017
対抗型(居飛車vs振り飛車)の序盤から中盤における手筋を集約した次の一手本。筆者が子供時代に手筋を覚えることでメキメキ上達した経験が執筆の原点らしい。
Kindle版があるので、寝る前などにサクサク解くのが吉。難易度は初段クラスです。#今日の棋書 pic.twitter.com/qE2bPm7YNE
【棋譜集】
昭和のツノ銀中飛車から平成のご機嫌中飛車まで、定跡の面でもタイトル戦のエピソードでも注目されるべき100棋譜を丁寧に解説した名著。5000円でも買いですね。
『四間飛車名局集』解説・鈴木大介
— みずたま (@go_tom_89) October 31, 2017
大山・升田時代から藤井・鈴木時代にいたる膨大な四間飛車の棋譜の中から100局を厳選した名局集。角道を止める形が主だが、角交換四間飛車で戦う人も最低限一周は並べておきたい。すべての棋譜に鈴木九段による要点解説があり、これが役に立つ。#今日の棋書 pic.twitter.com/yWvvQwQRHa
気高い...(語彙力)
横歩取りといっても色々な形、色々な仕掛けのパターンがあって、いつも△8六歩▲同歩△同飛で始まるわけではないのです。そういう意味では戦法のカタログ的に居飛車の戦いを俯瞰できる名著ともいえそうです。
- 米長邦雄名局集
積極的にリードを奪う居飛車らしい戦い方を私は米長将棋からも学びました。
米長vs中原のタイトル戦はいつもの矢倉の形になるのがやや残念ですが、そのほかの形は仕掛け、特に対振り飛車の中盤の戦い方が勉強になります。
- 大山康晴名局集
この本はもう将棋指しのバイブルと言っていいでしょう。
この本を、または大山康晴全集を並べることなく伸び悩んでいる人は、とにかく大山将棋を並べましょう。勝利のいいイメージも指にしみこむはずです笑。
【詰将棋・付録】
- 中田章道短編詰将棋代表作
『中田章道短編詰将棋代表作』
— みずたま (@go_tom_89) January 14, 2018
短編の名手として知られる中田七段による傑作選。将棋世界で長いあいだ連載されている5手7手詰コーナーの現担当者と言えば誰もが納得だろう。本書は7手〜15手の100問からなり、その爽やかな作風を味わうには最適。サクサク解いて気分爽快。初段〜高段向け。#今日の棋書 pic.twitter.com/CaIkl9uLF2
将棋世界の付録は小ネタとして重宝します。
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電子版のメリットは、どこでも持ち運べる、すぐに参照できる、絶版に関係なく読める、セールで安く買えることがあるなど様々です。
逆にデメリットは、電池がないと読めない、人に貸せない、書き込みができない、お風呂で読めないことなどでしょう。
両方を買えば両方のメリットを得られると思います。
みなさんも電子書籍で快適な将棋ライフを!!