みずたま将棋ブログ

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【上達法】棋譜並べの愉悦

今日スタバのストロベリーベリーマッチフラペチーノを今日はじめて飲んだみずたまです。当分は糖分は摂らなくても生きていけそうです。
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さて、今日は棋譜並べのお話をすこし。将棋の上達法、勉強法には大きく4つあって、①定跡を理解する、②詰将棋を解く、③次の一手を解く、それから④実戦をこなすが王道とされています。

 

古今いろいろな棋書のコラムに上達法は書かれてきました。私自身も興味があって棋書やネットでどんな事が書かれているのかを調べてみましたが、些細な違いこそあれ結局は上記の4つの繰り返しに落ち着くみたいです。プロが言うのなら、その方法でプロにはなれるのでしょう(才能があれば)。

 

とはいえそんな正論だけではつまらないというもの。1982年に観戦記者の奥山紅樹さんが出された『一流棋士6人が語るとっておきの上達法』という本は、中原先生や米長先生といった大御所を呼び、全力で「ここだけの話...」を引き出そうとしてくれます。この本は読み物としても面白いです。中でも、二上九段の瞑想上達法(将棋盤の前で毎日数分瞑想する)、米長永世棋聖の新聞将棋欄上達法(将棋欄を切り抜いて毎日棋譜の続きを予想する)などは、目の前の将棋を大切に指すという当たり前ながらなかなかで持てない心構えを教わったような気がします。

 

総じて上達法を扱った本は少ないのですが、2008年に新装版として出版された『新・アマ日本一になる法』は、将棋にかけられる時間に限りがあるアマ選手だからこそ語れる上達法が書いてあります。とはいえ基本は詰将棋を頑張る、実戦をバンバンこなすなど、基本に忠実な内容が多かったように記憶しています。

 

<blockquote class="twitter-tweet" data-lang="ja"><p lang="ja" dir="ltr">『新アマ将棋日本一になる法』<br>アマタイトル経験者の8名が、自身の棋歴と上達法について語った本。冒頭に一問一答。本論のあとにそれぞれの記憶に残る一手を紹介。<br>個人的には遠藤正樹さんの、道場などでしっかり挨拶をすることで強豪に教わる機会を得るという態度に感銘を受けた。

 

こうしたアマ向けの本とは趣向を変えて、学生さんなど将棋に当てる時間がある人はプロ向けの勉強がいいかもしれません。これは永瀬流というよりかはプロ志望向けでしょう。↓

 

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と言うふうにいろんな上達法を語ってきましたが、個人的なおすすめは棋譜並べです。

初級者から高段者まで、みんなやってます。私自身は最近サボりがちだったんですが、県代表の常連さんがツイッター中飛車名局集を1周した(並べ終わった)とおっしゃっていて、強い人ほど文句も言わず黙って努力してるよなあと反省した次第です。

 

棋譜並べはまず紙媒体か画面上かで大きく分かれますね。私自身は古い人間なので、実際に盤駒をつかって並べたほうがPCなどでさっと見たときよりも5倍は理解が深い気がします。この点は私が将棋を画像として捉えているのが影響していそうな気がします。みなさんはどうですか?谷川先生が「PC上でまずはさっと見て、重要そうな棋譜はプリントアウトして並べる」とおっしゃっています。

※余談ですが谷川先生の研究室はかっこいいですよね。将棋世界ムックの『谷川浩司』編に出ていたと思います(違ったらごめんなさい)。

 

で、紙媒体ならば3つの分類が考えられます。①棋士別、②年代別、③戦型別です。

 

まず、棋士別は紀伝体みたいなものです。棋士ごとの名局集に当たります。これは最低でもタイトルを1期~数期は獲得するような大棋士でないとそもそも出版してもらえないですから、いきおい質も信頼できるものになるでしょう。ぱっと思いつくのは、敬称略で渡辺明谷川浩司中原誠大山康晴などなどです。2012年ごろから日本将棋連盟刊の名局集シリーズが刊行されたのは記憶に新しいでしょう。誤解を恐れずに言えば、昭和の棋士に関してはひとまずは十分でしょう(大野、芹沢、板谷らの実戦集もほしいところですが)。このシリーズはおすすめです。他に『中原vs米長全局集』(ほかのシリーズ)や、1980年代に筑摩書房からでた名局集(江戸・明治と昭和、装丁がきれい)などが挙げられます。

 

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棋士別の棋譜集のメリットは、じっくりと時間をかけて一人の棋士の足跡をたどることができる点。初段前後から体系的に棋譜を並べれば、その棋士の流れをくんだ棋風を獲得することができるでしょう。

そういえば今度新しく、藤井聡太全局集が出るみたいですね。これは将棋の歴史に残るシリーズになるとおもいますので必ず手に入れましょう(ダイマ)。真面目な話、藤井六段の棋譜で研究している人はプロ・アマ問わず多いかと思います。

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これに対して年度別の棋譜集は具体的には将棋年鑑のことです。分厚い本ですので全部を読むことは現実的とは言えないでしょう。時間のある人向けの研究法です。

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昭和のかなり古い時期から毎年発行されており、その年に指された将棋から数百局の総譜が載っています。棋戦ごとに見境なく棋譜が羅列されており(最近になるまで戦型別分類などなかった!)、どの棋譜を見ればいいのかわからないということになるので初学者には一概にはおすすめできません。しかし戦法の研究をする人にとっては、年度ごとの流行り廃りが見られるというメリットがあります(戦法の流行に関しては勝又先生や深浦先生、上野先生の著書が必見)。

棋書マニアとしては、平成の将棋年鑑30冊くらいはしっかり揃えてデータベースとしておきたいですね。ヤフオクなどで安く買えるのではないでしょうか(観る将は巻末アンケートに注目ね)。

 

最後に③の戦型別ですが、これは最近になって日本将棋連盟の出版部から立て続けに出ているシリーズがあります。その名もそのまま「戦型別名局集」ですね。

いまのところ穴熊四間飛車、矢倉、三間飛車中飛車横歩取りの6冊が出ていて、今月新たに角換わりが仲間に加わります。これも要チェックです(好みは三間飛車中飛車)。

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戦型別は、自分の得意戦法(たとえば四間飛車)に特化した棋譜を効率よく勉強できるので、普通に考えたら(棋士別、年代別と比べて)一番効果の出る勉強法ですね。わたしも今後本格的に取り組んでいこうと思っていますので、皆さんも一緒にがんばりましょう(ステマ)。

 

ちなみにですが、戦型別棋譜集のはしりは木本書店が出したある本です。何という本かわかったらあなたも棋書マニア!?