みずたま将棋ブログ

みずたま(@go_tom_89)のブログです

行ったとこ、買った本

今週も一週間お疲れ様でした。

 

私は土日オフなのですが、日曜には社団戦に出られる方も多いことでしょう。

私の周りには、今回初めて出られる方が多い印象です。

アマ連のサイト(東京アマチュア将棋連盟)をよく確認してご参戦ください。

 

力を出し切れますように!私も行けたら行きます!

 

 

さて、今日の夜はここを見てきました。久しぶりの古本市。

会期は明日まで!


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45分ほどあったので、まずはざっと一周歩きましたが、最初は棋書は見つからず。

 

 とはいえ、あきらめずに探すと2周目でようやく棋書コーナーを発見。

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今回はこれともう一箇所だけでした。

全体的にも棋書が少なくすこし残念。釣果もなしでした。

 
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この画像にも1冊囲碁の本が写っています。

 

さすがに棋書紹介ゼロでは申し訳ないので、最近買った本をご紹介。

 

 

 『石田和雄名局集』(日本将棋連盟

 

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これを買うのは2回目。いい本は人にあげたり大学将棋部の本棚に寄付したりしているので、こういうことが起こります(フィランソロピーCSR?)。

 

とはいえこれでようやく名局集シリーズをすべて揃えることができました。

皆さまのおかげです、ありがとうございます。

 

(参考)

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このシリーズですね。大山、升田、米長、中原、勝浦、石田、加藤一、大内があります。

また、1980年前後に筑摩書房から出た名局集シリーズ10冊もなんとか揃いました。

 

木村義雄全集、升田将棋選集、大山康晴全集、谷川浩司全集、羽生善治全局集、藤井聡太全局集、戦型別名局集、名人戦全集...

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全部並べきるには人生が7の7乗回は必要です。

一度、回を改めてこれらについて書いてみたいですね。

 

他には、囲碁の本も数冊。

 

 
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囲碁の妙手を集めた本。

 


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1手の価値を最大限に高める本。


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格言を実戦に活かす本。

 

これら3冊で1000円でした。

日本棋院の本ってなぜかわからないですが教科書的ながら読む人を惹きつける何かをもってますよねー。

 

知識を体系化するのが個人的に一生のテーマだと思っているので、囲碁の本がどう編集されているのかには非常に興味があります。

 

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社団戦ではアカシヤ書店さんが普段とは別の在庫を出されるのでお見逃しなく!

基本に立ち返る

最近はコンピューターをはじめとしていろんな勉強法がありますが、やっぱりいつの時代にも通じる王道の手法ってありますよね。

 

昭和の奨励会の厳しさを語る逸話に、「昔は棋譜一つ手に入れるにも連盟に出向いて印刷する必要があった」というものがあります。もう少し時代を遡ると棋譜は手書きで…となります。

 

手元をカチャカチャすれば簡単に棋譜が手に入るこの時代にこのエピソードはもはや過去の遺産です。しかしまた、コンピューターの画面上で棋譜を眺めて並べたとするのも、個人的にはなにか足りないと感じています。このへんは育ってきた環境が違うから〜♪の世界でしょうけれど。

 

さて、誰にでも伸び悩む時期はあります。

私自身の経験を話せば、こうした悩みは基本をおさらいすることで解消されることが多い気がしています。すなわち、「自分が今何をわかっていて何をわかっていないのか」を認識すること。そのことで、いま行っている努力と自分が期待している棋力がいかにかけ離れているかを冷静に観察することができます。

 

多くの場合、期待は実情を上回っているのではないでしょうか。また、過去の対戦成績などの実績にすがっていると足を掬われます。

 

まとめると、現状を客観視して必要な手段を講じること。手段の中には年下の高段者に教えを乞うなど、つらいことがあるかもしれません。

しかし、こうした態度を取れる人はえてしてかっこいいです。私自身、『不運のすすめ』(米長邦雄、角川)で紹介されていた中原誠先生の将棋に真摯な態度に感銘を受けました。

先ごろ発売された『奨励会』(橋本長道マイナビ)にも若くて強い人にまつわるエピソードがありました。

 

技術的なことを言えば、自分の棋力より少し下かな、という本や問題集を読むといいと思います。三段の壁で伸び悩んでいるならば、7手詰がしっかりできるかなど。また、長いあいだ読者の目に耐えてきた古典にも一読の価値があります。『将棋は歩から』(加藤治郎、東京書店)はすべての棋力の人が読んで参考になるでしょう。天野宗歩升田幸三といった天才の棋譜もしかり。

 

なぜこんなことを書いたかと言うと、『将棋・ひと目の端攻め』(マイナビ)を書店で見つけて、いままで読んだつもりになっていたことに気づいたからです。このシリーズ、編集した人はよほどの力量…(このくらいにしときましょうか笑)

 

 

【最新】将棋読み物

藤井聡太ブームも息が長いですね。

 

デビュー戦から29連勝という空前絶後の記録を打ち立てたのがちょうど1年前のこと。

その後もこの聡太ブームにじわじわとファン層がついているおかげで、じっくりとした取材を重ねた読み物が出版され始めています。

 

ちなみに現在は都成ー藤井戦の真っ最中。将棋チャンネルでしずかに中継をみながら本を紹介してきます。

 

1.野澤亘伸『師弟』(光文社)

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その副題「棋士たち魂の伝承」が示すとおり、師匠が弟子にかける思いを数々のエピソードとともに描写したノンフィクション。谷川ー都成、森下ー増田、石田ー佐々木勇ら6組12人の棋士を個別に取材。巻末には羽生2冠の単独インタビューも。

棋士棋士を思う中で生まれるちいさなエピソードたちは関係者などいわゆる中の人以外には知られづらい面がある。石田和雄九段が弟子の勝利を祈る場所、森下卓九段による自身への評価を聞いた時の増田五段の反応、奨励会でくすぶる都成少年におくった谷川九段の手紙の文面...

各章40ページ程度でよみやすく、おすすめです。

 

2.羽生善治岡本啓嗣『瞬間を生きる』PHP研究所

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弦巻勝『棋士 羽生善治』(双葉社)以来、ひさびさに出た羽生先生の写真集。

今回は岡本さんの腕による写真を多く収録。棋士人生の節目ごとに章立てし、有名なプロデビュー戦の宮田利八段の写真も掲載。全編を通じてカラーとモノクロの写真を織り交ぜた豪華な仕上げで240ページとボリュームもありながらお手頃価格。羽生先生の名言も各ページに載っており、人生のモチベーターとしても手元においておきたい一冊。

 

3.橋本長道奨励会 ~将棋プロ棋士への細い道〜』マイナビ

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かつて奨励会に在籍しながら退会し、現在は小説家である著者が、奨励会の仕組みや苦労を実体験をもとに語る。制度に関しての説明は当然とはいえありきたりだが、関西奨励会という沼でもがき苦しむ仲間、そして(他人の目からすれば)颯爽と駆け抜けていった後輩棋士の様子が生々しい。

勉強法に関する記述に富み、おすすめ棋書の紹介も各勉強法ごとに数冊あるのが読者に優しい。結局は24で実戦を積むのが大事なのだと痛感させられた。

参考図書として天野貴元『オール・イン』(宝島社)。

 

3.『証言 藤井聡太』宝島社

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2017年8月に刊行された別冊宝島藤井聡太 新たなる伝説』を書籍化したもの。書籍化に際してはカットされている部分もあるが、その後おこなわれた詰将棋解答選手権に関する記述も加筆されており、谷川九段、浦野七段による対談も興味深い。

類似書に『藤井聡太語録』(ダイアプレス)があるが、こちらは本当に名言と思しきフレーズを簡単に紹介しただけの本だった。また、松本博文藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社)はタイトルとは異なり、将棋電王戦に関する記述がメインの本なので内容を確認してから買われることをおすすめします。

 

4.石田和雄棋士という生き方』イースト・プレス

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かずかずの棋士を輩出した名伯楽が語る棋士論。板谷四郎・進先生から受け継がれる東海将棋界でのエピソードから、地域と将棋両方に対する愛が伝わってくる。

 

5.高橋和『頭のいい子は将棋で育つ』(幻冬舎

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今年3月に出版。将棋の森という将棋道場を立ち上げて指導に当たる著者による、将棋と教育を絡めたエッセイ本。内容はタイトルから推し量られるところだが、頭の善し悪しだけではなくマナーなどの関連事項を伸ばすことにも言及する。普段から現場で子どもを見ている筆者ならではの目線がおもしろい。個人的には、棋士に優柔不断はいないんだという記述が妙に腑に落ちた。

 

6.後藤元気『心震わす将棋の名対局』(大和書房)

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こちらは以前、6月の新刊紹介にてお伝えしたので再掲します。

 

観戦記者の後藤氏の作品を集めた選集。様々なエピソードとともに棋譜を鑑賞することにより、単なる符号の羅列としての棋譜とは異なり、より深い次元で対局を味わうことができます。

羽生二冠や佐藤康九段らトップ棋士はもちろんのこと、神谷八段や畠山成八段など、普段あまり棋譜が出てこないベテラン棋士の闘いと人間味あふれるエピソードも面白いです。

中盤の大事な局面で手の解説がなかったりするのは良し悪しですが、総じてお買い得な一冊と思います。

 

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それでは皆さん、快適な読む将ライフを!

 

 

【棋書】全集だいすき

全集っていいですよね。

 

「○○全集」…(○○には自分の好きな言葉を入れてください)

その甘い響き...自分の両手にその棋士などの残した棋譜のすべてがある感触...

 

なにがいいたいかというと、『藤井聡太全局集』を買いましたということ。

 

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320ページ超えのやや小ぶりながら厚みのあるA5版を開くと、この1年半のあいだにモバイル中継やテレビで見てきた棋譜の数々が並んで当時の情景が目に浮かびます。

 

解説は村山慈明七段、構成は鈴木宏彦さんです。

一局の将棋を15ページ前後で丁寧に振り返る「重要対局詳解編12局」と、皆さんご存知、将棋年鑑スタイルの「解説編48局」からなります。

※自戦解説はありませんのでご注意ください。

 

特装版を買われる方も、この普及版を持っていて損はないと思います。

 

ちなみに私の好きな全集は、

 

1.谷川浩司全集(2巻+15巻)

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私の将棋の基礎。居飛車正統派への愛着が芽生える。

 

2.大山康晴全集(3巻)

有名で、私も少し並べましたがさすがに挫折しました。

拾い読みしかしてませんが、それでも十分楽しめます笑

これを並べきった藤井九段の勉強量...

 

3.将棋名人戦全集(12巻)

昭和の名人戦を収録した和装本

語り草の中原大内戦など、印象に残る棋譜はやっぱり名人戦だった。

 

4.羽生善治全局集(3巻)

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デビューから七冠達成までの約600局を収録。

中盤での自然な指し手と終盤での老獪な指し手で勝利を掴む技術をまなぶ。

 

5.大山中原全局集

大山VS中åå¨å±é

最強の棋士どうしの激突の歴史。

ノーマル振り飛車はこんなにも奥が深いのかと気付かされる。

中原先生の薄い玉の捌き方も絶品。

 

6.羽生佐藤全局集

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佐藤先生が正当派定跡党からオリジナル党になるまでの変遷がわかる。

強い人どうしが将棋を指すとこんなにもねじれあった棋譜が出来上がるのだ。

 

などです。ほかにも羽生森内百番など、いろいろあります。

残念ながら升田幸三全局集はもっていないので、機会があれば読んで&見て見たいと思っています。

 

CD-ROMç åç°å¹¸ä¸å¨å±é

 

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ではでは、藤井聡太全局集をたのしんできまーす!

【8枚、10枚落ち】こどもに負けよう

私は将棋を始めたての子どもに指導するときは8枚、10枚落ちの駒落ちと同じくらい平手も指します。

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強い人は上手を持っていくらでも勝てると思いますが、負けるのには技術とすこしの根性がいります。下手としても上手陣に取る駒がないのは厳しいのです。

 

それぞれの手合いが卒業だなという段階(だいたい10枚なら20級とか、8枚なら10級とか)になるまでは、ひたすら負けてあげましょう。今回はその負けたいときの指し方を紹介(勝ち方は書かないよ!)。

 

(1)10枚落ちの負け方

・3三の地点はさすがに守る。

・7~9筋の歩は基本的に突かない

・飛車先を突破してきたら仕方なく玉を右へ

 

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飛車で攻めてきたのをいいことに、「いやあ厳しいなあ」と言いながら玉を右へ。△23歩なんて打ったら下手の勝ちが遠のきます。

 

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龍と馬の両方をつくれたら、「強くなったね」と心の中で思って、満足しましょう。

この王手には...

 

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この△72玉が眼目の一手。

△64玉と思った方、今日からは心にムチを打ってください。

 

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ここからも紆余曲折あるとは思いますが、だいたいこんな投了図ができたら全力で褒めてあげてください。

 

(2)8枚落ちの負け方

棒銀を教える

・数の攻めで2筋を突破させる

・▲23銀成には△同金、▲23銀不成には△31金

 

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まあ大体こんな形になりますよね。

ここで▲24歩△同歩▲同飛△23歩。

ここで▲64飛とすると△52玉でまた勝ちが遅くなります(勝ちには間違いないが)。

 

冷静に▲28飛としたあと、▲38銀からの棒銀がいちばん客観的かつconvincingな勝たせ方です。

 

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例によって、8~9筋はあまりいじらないでください。

この左上のスペースに美濃囲いの影が見えますか?私には見えます。穴熊でもいいです。

そういうことです。そこには平手将棋で崩すべき囲いの萌芽があるのです。

 

上の局面は一つの分岐点。ここで▲24銀としてしまうこの多いこと多いこと。

「ドアは頭突きじゃなくて鍵で開けようね~」と言って鍵(歩)を持ってこさせます。

 

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ここが次のポイント。だいたいの子は▲35銀とします。

ここで数の攻めをどう教えるかはあなた次第。

▲23銀成とできるようになりました。

 

しかしその子はつぎの対局では▲23銀不成としてくるでしょう。

このときは△31金とささやかな抵抗をしてみます。

▲33成銀がなくて少し後悔します。

成ることをおぼえたらちゃんと△23同金と取ってあげることにしています。私は。

 

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ここからの負け方は10枚のときと同じです。

最短で負けるなら△52玉▲32龍△61玉▲62金ですが、△61玉にたいしてすぐに頭金で応えられる入門キッズは私は見たことがありません。

 

くれぐれもはじめての子に対して中段玉はしすぎないように...

 

長くなったので平手編はまた今度。

加藤一二三はえらい

毎回タイトルがなにをもじっているのか分かりづらいというか、もはや私の自己満足になりつつありますね笑。今回は『先生はえらい』をもじっています。

 

さて本題。加藤一二三先生のすごさについて。

ここでは語り尽くせないのでせめてそのうちの1パーセントでも。

 

本当の凄さはバラエティ番組に出て汚れ仕事もいとわないこと、という見方もできますが、今回はスルー。だってブラジリアンワックスで鼻毛を抜くとかもう想像を絶しているから...

 

以下はWikiより引用。

最高齢現役(2017年6月20日引退)、最高齢勝利、最高齢対局、現役勤続年数、通算対局数、通算敗戦数は歴代1位であり、1950年代、1960年代、1970年代、1980年代、1990年代、2000年代の各年代で順位戦最高峰A級に在籍したことがある唯一の棋士である[注釈 2]。14歳7か月で当時の史上最年少棋士(62年後の2016年に藤井聡太が更新)・史上初の中学生棋士となった。

 

すごすぎますね。棋士を含む多くの人間がその天賦の才と認めています。

ちなみに「神武以来の天才」の以来はこのかたと読みます。

 

旺盛な闘志はその後60歳を超えても衰えない。普通の人はその逆だ。「10で天才20で才子30過ぎればただの人」と言われる人も多いが、加藤一二三のまねはだれもできない。やはり天才だと思う。

(『内藤國雄のすべて』マイナビ出版、2016年 p158-159)

とは加藤九段と同学年の名棋士・内藤國雄九段の言。

 

内藤先生はほかのNHKの番組において、(奨励会時代の)「加藤さんのまわりだけは涼しさが漂っていた」と証言しています。加藤先生も、どこかで冷静から情熱への転換があったのでしょう。

 

さて、棋士のすごさはやはり棋譜を見なければ味わい尽くせません。

楽しむための書籍はいくつもありますが...

 

1.『加藤一二三実戦集』(大泉書店、1975年)

2.『加藤一二三名局集』(筑摩書房、1981年)

3.『加藤一二三名局集』(マイナビ、2015年)

4.『無敵棒銀』(木本書店、2015年)

 

あたりが有名かつ必須の棋譜集でしょうか。

 

1.加藤一二三実戦集は、そのサブタイトル「わが熱闘、珠玉の40局」からも分かる通り、精魂込めて指した相居飛車振り飛車破りの名局40局を収録。35歳までの脂ののった将棋が楽しめます。

2.加藤一二三名局集はその6年後に出された実戦集。昭和の名棋士の実戦集といえばこれが標準型となる名シリーズです。大野源一から石田和雄まで幅広い年代との対戦を収録。この本だとあんまり棒銀してないんですね先生。

3.2015年のマイナビ版名局集は、まさに生涯を総括する一冊。生涯現役を高らかに宣言する巻頭インタビューが印象的です。また、若手の新鋭増田康宏四段(当時)との勝局は白眉。

4.無敵棒銀棒銀に特化した実戦集。レイアウトの都合上じゃっかん読みづらいのですが、おもに大山名人との激闘が収められています。加藤先生とお話をする機会がある方はこの本の棋譜をネタとして仕込むと良いのではないでしょうか。

 

こうしてあらためて本を繰っていると、自分がいかに加藤先生の名局をしらないかに思い至ります。また、先生の棋譜がいかに居飛車の定跡を作ってきたかも。

 

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中飛車に対して自分から5筋を突いて勝ってみたり...(加藤ー中原戦 王将、1979年)

 

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大山先生の三間飛車に対して完璧な仕掛けで完勝してみたり...(加藤ー大山、NHK杯 1972年)

 

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今度は三間飛車にたいして7筋の歩を自分からぶつけていってそして勝ったり...(桐山ー加藤 十段戦リーグ 1972年)

 

相手の飛車のいる筋の歩を突き捨てるとか、そんなんできひんやん普通...

 

この将棋に限らず、対三間飛車の現代に残る急戦策のだいたいは加藤先生の新手です。笑ホントに。

 

ということで、次の機会には相居飛車での名棋譜を紹介できればなあなんで思っています。

 

さて名局集並べよっと!

【解答編】子どもに人気の詰将棋10選

先日の出題のこたえあわせの時間です!

 

【1】1手詰

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▲52金まで

 

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【2】3手詰

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▲33桂△同金▲22金まで

 

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基本の基本の手筋ですね。 

 

【3】5手詰

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 ▲23銀△13玉▲12銀成△同香▲23金まで

 

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一般の子どもに対して出す問題としては最高レベルの問題でしょうね。

 

【4】3手詰

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▲52馬△同銀右▲62銀打まで

 

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▲73馬には△62歩とすることで、玉方は残り駒をすべて持っているというルールを教えることもできます笑

 

【5】5手詰

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▲32銀△同金▲42角△同玉▲41金まで

 

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※手数としては2手目△同玉のほうが長いのですが、駒余りです。芸術性の高いこちらを本手順にするのが人情でしょう。

 

【6】7手詰

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▲13銀△同桂▲12金△同玉▲21銀不成△22玉▲32金まで

 

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2手目△同香では▲21銀成から短手数駒余りになります。

 

【7】11手詰

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▲52香△ 41玉▲32角△31玉▲21角成△同玉▲22香△31玉▲32香△41玉▲42香まで。

 

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何度見ても良い手順ですねえ。

 

 

【8】15手詰

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▲24香△23銀▲22歩△11玉▲12歩△同銀▲21歩成△同銀▲12歩△同玉▲23香成△11玉▲12歩△同銀▲22と(成香)まで

 

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2手目の銀の中合は高レベルですが、大道詰将棋スタイルで出題者が玉方を持てば気軽に楽しんでもらえますね。

 

【9】13手詰

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▲33銀△12玉▲13龍△同玉▲22銀打△12玉▲21銀不成△同玉▲32と△12玉▲22と△13玉▲25桂まで

 

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【10】17手詰

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▲16歩△同玉▲26飛引△17玉▲27飛上△18玉▲28飛△17玉▲27飛引△16玉▲17歩△15玉▲25飛△14玉▲24飛△15玉▲25飛上まで

 

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脳内で解くと混乱しますねやはり...笑

 

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最近、古本屋でこの本を入手しました。

囲いごとに章立てされた実戦的詰将棋問題が集まった良書です。

絶版なので、もしも古本屋で見かけたら即買いをおすすめします!

 

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おまけにこの本の中から1問ご紹介します(9手詰)。

 

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(高橋道雄『将棋 高橋道雄の囲い別 詰将棋 初段二段三段』成美堂書店、2008年 p95より)