【8枚、10枚落ち】こどもに負けよう
私は将棋を始めたての子どもに指導するときは8枚、10枚落ちの駒落ちと同じくらい平手も指します。
強い人は上手を持っていくらでも勝てると思いますが、負けるのには技術とすこしの根性がいります。下手としても上手陣に取る駒がないのは厳しいのです。
それぞれの手合いが卒業だなという段階(だいたい10枚なら20級とか、8枚なら10級とか)になるまでは、ひたすら負けてあげましょう。今回はその負けたいときの指し方を紹介(勝ち方は書かないよ!)。
(1)10枚落ちの負け方
・3三の地点はさすがに守る。
・7~9筋の歩は基本的に突かない
・飛車先を突破してきたら仕方なく玉を右へ
飛車で攻めてきたのをいいことに、「いやあ厳しいなあ」と言いながら玉を右へ。△23歩なんて打ったら下手の勝ちが遠のきます。
龍と馬の両方をつくれたら、「強くなったね」と心の中で思って、満足しましょう。
この王手には...
この△72玉が眼目の一手。
△64玉と思った方、今日からは心にムチを打ってください。
ここからも紆余曲折あるとは思いますが、だいたいこんな投了図ができたら全力で褒めてあげてください。
(2)8枚落ちの負け方
・棒銀を教える
・数の攻めで2筋を突破させる
・▲23銀成には△同金、▲23銀不成には△31金
まあ大体こんな形になりますよね。
ここで▲24歩△同歩▲同飛△23歩。
ここで▲64飛とすると△52玉でまた勝ちが遅くなります(勝ちには間違いないが)。
冷静に▲28飛としたあと、▲38銀からの棒銀がいちばん客観的かつconvincingな勝たせ方です。
例によって、8~9筋はあまりいじらないでください。
この左上のスペースに美濃囲いの影が見えますか?私には見えます。穴熊でもいいです。
そういうことです。そこには平手将棋で崩すべき囲いの萌芽があるのです。
上の局面は一つの分岐点。ここで▲24銀としてしまうこの多いこと多いこと。
「ドアは頭突きじゃなくて鍵で開けようね~」と言って鍵(歩)を持ってこさせます。
ここが次のポイント。だいたいの子は▲35銀とします。
ここで数の攻めをどう教えるかはあなた次第。
▲23銀成とできるようになりました。
しかしその子はつぎの対局では▲23銀不成としてくるでしょう。
このときは△31金とささやかな抵抗をしてみます。
▲33成銀がなくて少し後悔します。
成ることをおぼえたらちゃんと△23同金と取ってあげることにしています。私は。
ここからの負け方は10枚のときと同じです。
最短で負けるなら△52玉▲32龍△61玉▲62金ですが、△61玉にたいしてすぐに頭金で応えられる入門キッズは私は見たことがありません。
くれぐれもはじめての子に対して中段玉はしすぎないように...
長くなったので平手編はまた今度。