【二枚落ち】次の一手100本ノック
「プロに二枚落ちで勝てれば初段。」
将棋を指すすべての級位者にとって、わかりやすくていい目標になっています。
また、ある程度は仕掛けのときに読みを入れなければうまくいかないという点で、二枚落ちには将棋のエッセンスが詰まっている感じがします。
私自身、二枚落ちは上手と下手のどちらも経験がありますが、明らかな必勝法がある6枚落ちや8枚落ちと比べて、やっていて楽しいということもあります。
今回は二枚落ちで上手に挑む方々向けに、二枚落ちに頻出する局面を棋書からピックアップしてみました(頻出過ぎて記事内で重複もw)。読みの材料を増やすのにご活用ください。また、今回の記事には正解は載せないのですが、最後にブックガイドもつけておきますので、答えが気になった方は書籍をご参照ください。
【第1問】湯川
上手の△66歩は紛れの常とう手段。この湯川本から△66歩をひたすら解説してある部分を集めました。
【第2問】湯川
単発の△66歩ポンもあれば...。
【第3問】湯川
△75金からの△66歩も頻出。
【第4問】湯川
△31銀に▲34歩の定跡はマイナーですが出てくることもあります。
【第5問】湯川
▲56歩を突かない形。
【第6問】湯川
▲46銀の瞬間の△66歩
【第7問】湯川
来る日も来る日も△66歩。
【第8問】先崎 p157
第5問と同じ形。つまり重要。
【第9問】先崎 p206
(△64銀まで)
△66歩を▲同歩と取った後も自信を持って指せますか?
【第9問】先崎 p207
(△74金まで)
▲44歩が下手の狙い筋です。読み筋は?
【第10問】先崎 p208
(△75同金まで)
こわそうでこわくない、すこしこわい△75金
【第11問】所司 p90
▲44歩の瞬間の△55歩はひとつの呼吸です。
【第12問】所司 p108
単に△55歩。これは前にも出てきましたね...。
【第13問】所司 p112
銀をどこから使うか。
【第14問】所司 p116
見たことあるんだかないんだか...。
【第15問】所司2 p17
上手△85金型は知っておくと便利な紛れ形 。
【第16問】所司2 p29
何もないところから飛んでくる△66歩。気持ちの整理をつけて...。
【第17問】大山 p140
合わせの歩の手筋にどう対抗するか。
【第18問】大山 p162
△34歩も有名な紛れの手。
問題は以上となります。お疲れ様でした。
【使用上の注意】
書籍に書いてあることは、あくまで著者が正しいと考えていることです。大事なのは、まず先人の考えを学んだうえで自分なりに解釈し、あたらしい指し方や考え方を生み出す(先人の説を認めるのも含めて)ことです。これを日本の芸術・武道の用語で守破離(しゅはり)と呼びます。
【参考文献】
湯川=湯川博士『定跡なんかフッとばせ―駒落ち必勝法』(マイナビ、2003年)
所司=所司和晴『【完全版】駒落ち定跡』(日本将棋連盟、2010年)
所司2=所司和晴『二枚落ち裏定跡』(日本将棋連盟、2005年)
『【決定版】駒落ち定跡』所司和晴
— みずたま (@go_tom_89) March 20, 2018
8枚落ちから香落ちまで8種の駒落ちの王道定跡を網羅したいわば現代の『将棋大観』。所司七段の丁寧な語り口そのままの解説で初心者も安心。駒落ちは定跡通りに進むことが多く勉強になる。幼き日の藤井六段が将棋教室で丸暗記して上達したエピソードも。#今日の棋書 pic.twitter.com/KVAq9u717q
『駒落ちのはなし』先崎学
— みずたま (@go_tom_89) September 20, 2017
将棋世界の連載を書籍化したもの。8枚落ちから2枚落ちまでの主要定跡を、上手の実戦心理の機微に触れつつ流れるような先崎節で解説する。定跡書としても読み物としても味わい深い。
巻末には木村九段との角落ち特別対局も収録。全棋力対応の名著。#今日の棋書 pic.twitter.com/RlRq6Z3eP8
【その他のブックリスト】
二枚落ちから角落ちまでの王道定跡と実戦心理を必要十分な量だけ記述。
阿久津主税『駒落ちの教科書 八枚~二枚落ち編』(マイナビ、2014年)
高橋道雄『棒銀と中飛車で駒落ちを勝て!』(NHK出版、2011年)
平手の中終盤を説いた本だが、オトナの二枚落ち攻略の2項目がたいへん秀逸。
新書サイズながら二枚落ち、角落ち、飛車落ちのエッセンスをさらっとまとめる。
言わずと知れた駒落ちの古典。今日の目で見直す訓練の材料としても。
※近日マイナビからプレミアムブックスとして復刊される予定。マニア向け。
『棒銀と中飛車で駒落ちを勝て!』高橋道雄
— みずたま (@go_tom_89) December 2, 2017
駒落ちは上達のために有用だが、駒落ち用の定跡を覚えるのが大変そうというイメージも根強い。それならば平手でも使える戦法を使えばいい、というのが本書の発想。六枚落ちから角落ちまでを網羅し、垂れ歩や継ぎ歩といった部分手筋も身につく。#今日の棋書 pic.twitter.com/jH4R1As3kW
『駒落ち戦法』板谷進
— みずたま (@go_tom_89) October 2, 2017
駒落ち研究の大家として知られる名棋士による二枚落ち、飛香落ち、飛車落ち、角落ちの定跡書。決して分量は多くないが、各戦法のメインラインと細かな変化を丁寧に押さえているのが好印象。二枚落ちは主要3戦法を収録。しかしやはり飛車落ちが本書の醍醐味だ。#今日の棋書 pic.twitter.com/B5KwxouPki
『二枚落ち裏定跡』所司和晴
— みずたま (@go_tom_89) October 25, 2017
二枚落ちといえば二歩突っ切りと銀多伝が有名で、どちらかを使えれば下手はまず間違いない。本書はそうした表定跡に手を焼く上手のための絶好の手引き書で、上記に加え多伝殺し、△5五歩止めなど6型を収録。『【決定版】駒落ち定跡』の副読本としても。#今日の棋書 pic.twitter.com/oD7to4SRsc