変則将棋から見えてくるもの
将棋のルールは覚えるのが大変ですよね。
特に子どもなんかは、せっかく将棋に興味を持って教室の体験入学に来たはいいけれど、限られた時間(たとえば1時間)の中で駒の動きを覚えるのにアップアップということもあります。
そんなときには変則的な駒落ちをすることで擬似的に将棋の楽しさに触れてもらうようにします。
おすすめは飛車角の追いかけっこ。
盤上に双方の玉と、下手の飛角のあわせて4枚だけを置きます。
シンプルに見えますが、このゲームをする時点で
・各駒の動き
・上手が王を持ち、下手が玉を持つ
・将棋はお互いが一手交代に指すゲーム
・敵の玉を早く仕留めたほうが勝ち
という大事なルールとマナーが教えられます。
覚えることとして、余裕があれば
・駒を落としたほうが先に着手する
・駒を成る
ということも教えられるでしょう。
・相手の駒を取る
はこの遊びでは出てこないと思います。
覚えることは最小限にして、たくさん楽しんでほしいものです。
なおこのゲーム、上手は下手陣の9段目に入れば勝ちというルールもありますが、そのへんは柔軟に運用してください。
私自身はそのトライルールなしで、上手勝ちなしを課しています笑
さて開始。
初手は何でもいいのですが、▲33角成を消していると見せかけて下手の飛角に近づく△42玉。善悪は不明です笑
対して次、下手の1手目に実はこのゲームのすべてが詰まっています。
9割型の子供は22飛成と王手してきます。
その日初めて将棋を知ったくらいの子であれば、これで100点満点。不成でも十分ほめてあげましょう。
そんな子には、51玉と落ちて後は詰ましてくれるのを待つだけ。下手は取る駒がないので、これはこれで難しいんですよ、特に龍と馬の利きが不明瞭な時期は。
少しレベルアップしたい子には、53玉と上がります。私の経験上、ここで事態がまずい方向に行っている子に気づく子はほぼいません。
ここからは24龍のような手を指せないかぎり結構長引きます。もちろん下手に負けはないんですが、だいたい30手コース。
下手の初手は▲23飛成がいいでしょう。
じっと玉の上部脱出を阻む好手で、この手が指せるようになればこの遊びはもう卒業です。
もしこのあとに落とし穴があるとすれば、33角成としてしまうこと。
もちろん63玉とされて長期戦コースです。
全然関係ないですが、ドイツ中部のエアフルトに行ったときに長期戦という名前の寿司バーがありました。今もって謎。Anger駅の近くですので、お近くの方はぜひ。おすすめはしませんが笑
話を戻して、ここではまたもや緩そうな44角が正解。
囲碁もそうですが、一見緩い手が実は一番厳しいとは、本当に将棋は奥が深いです。関連して、将棋が強い人といえば攻めが強いというイメージがあり、それはそうなんですが、本当は「必要な局面で攻めや守りの選択を正しくできる」人なんですよね…
図以下の解説は不要でしょう。
ここから指してうまく詰ましてくれないようなら、龍と馬の利きを復習してあげてください。
ちなみにこのゲーム、(経験的に)正しく指せば15手以内に下手が勝つはずです。みなさんもぜひやってみてください。
今度は別の将棋遊びを紹介する予定。