大橋宗英・次の一手
今日は個人的に最近はまっている宗英の将棋から、いくつか印象に残る手を紹介したいと思います(棋譜は筑摩書房『六代大橋宗英』より)。
宗英って誰、という場合には、Wikiを読んでみてください。
【第1問】
まずは▲(下手)宗英 △(上手)伊藤宗印の角落ち戦から。
宗英は当時23歳。宗印は51歳。
上手は金桂交換の駒損の代償として飛車を成ってきました。
下手有利であり指し方はいくつかあるが、大局観にもとづいた対処は。
【答え】
▲78金
得した金を自陣に埋めるのが実戦的な好手。このあと何が何でも上手の竜を封じ込め、下手の飛車を活用しようとしています。
【第2問】
前問の続き。手の流れを汲むと...?
【図は△59竜まで】
【答え】
▲49金打!
この後、△69竜▲68金△79竜に▲78飛(次図)を実現し、素早く勝ちに結び付けました。
【第3問】
今度は△伊藤看寿との平手戦より。
△62飛と回られて6筋の勢力圏を失ったように見えますが、常識にとらわれない柔軟な対応がありました。
【答え】
▲75歩
たりない6筋方面から手を作るのがいい手。
以下△75同歩▲65歩△同銀▲同銀△同飛▲66銀が当然とはいえ狙いの手(次図)でした。
さらにここから△62飛▲75銀△42角▲76金!(次図)と手厚く手厚く進みました。
結果も先手の勝ちに終わっています。
【第4問】
▲宗看との一戦。当時宗英は40歳。
宗英の左香落ちで、下手が仕掛けを見せてきたところです。
▲47銀~▲36歩が間に合えばいいですが...
【答え】
△45歩として下手の▲46歩をとがめにいくのがいい感触です。
下手は▲47銀を後回しにしたのを強調された形。
以下▲45同歩△36歩▲24歩△同歩▲38金と進展します。
上手の△36歩に▲同歩には角交換から△55角、▲同飛には△27角があります。
自然な応手で困るようでは少し下手つらくなっているでしょうか。
以下は4筋での折衝から宗英がリードを奪いました。
【第5問】
同じく宗看との別の将棋です。後手の宗英は当時43歳。
なんでもない局面なのですが...
【答え】
△88角成▲同銀△22銀
先手が5筋の歩をついていることに注目し、角交換したのが好着想。
「角交換に5筋を突くな」の格言を地で行く繊細な感覚です。
こうなると後手だけが飛車先の歩を交換できたメリットも強調されます。
以下実戦は後手の宗英が向かい飛車に振る構想を見せています。
棋譜並べをするときは、棋士が何を考えてその手を指したのかを考えるように心がけると楽しみも倍増します。
次回(明日かはわかりませんが)は別の棋士の次の一手を取り上げてみたいと思っています。
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