なぜノーマル中飛車を指すのか
藤井(猛)九段の著書『四間飛車上達法』に、以下のような一文があります。
「振り飛車は玉を右に囲う戦法で、飛車と角の両方の利きから逃れています。つまり振り飛車の美濃囲いは非常に理にかなっています。ただし飛車が2八にいては玉を囲えないので、最初は飛車を動かすんです。振り飛車戦法は「美濃囲い戦法」と呼んでもいいくらいだと私は思っています。」(p.8、太字藤井九段)
はい。ということで、振り飛車はみな友達です。角交換の有無や飛車を振る筋の違いこそあれ、みんな美濃囲いの恩恵を受けている以上はその根底には同じ美濃囲いの血が流れているのです。
大げさに言いましたが、何が言いたいかというと、どの振り飛車も戦っているうちにべつの形に合流することがあるから勉強しとくと指し方に深みが出るねっていう簡単なことです。
ぱっと思いつくのは、ゴキゲン中飛車対丸山ワクチンで振り飛車側が向かい飛車に振り直す形でしょうか。角交換四間飛車と角交換振り飛車の関係は、スペイン語とイタリア語くらいの近さですよね(伝わるはず)。また、四間飛車対急戦には三間飛車の形がよく出てきます。この逆もまた然り。
【取るとまずそう?】
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【四間飛車さんこんにちは】
個人的に最近好きなのが、四間飛車に対する銀冠穴熊への対策です。飯塚藤井戦(王将、2017年)という有名局があるのですが、藤井先生が32銀型四間飛車から中飛車に振り直して完勝された印象が強いです。
個人的には、美濃囲いの桂跳ねを急がずにノーマル中飛車の形にするのが好きです。これで66歩を突かないという居飛車の主張に対抗できます。
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上は最近の練習将棋での局面。
それでも66歩型を拒否して角を上がると、45歩〜44銀を見せられて居飛車の模様が悪くなります(下図)。
穏やかに進めるなら66歩とし、67金型で対抗する形でしょうか(下図)。この形は温故知新というか、四間飛車とはまた別の中飛車の中盤戦に合流します。
というわけで今回は、振り飛車を指す人は食わず嫌いをせずにいろいろな形を指すといいよ、というお話でした。
ちなみにタイトルの答えですが、単に私がノーマル中飛車が好きだからというだけです。あしからず。
【追記】
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