ノーマル三間飛車を指しこなすブックガイド(定跡書編)
ノーマル三間飛車っていいですよね。
石田流もいちおう三間飛車のくくりには入るのですが、角道を止めずに堂々と指す感じがあっけらかんとしていて、遠慮がない感じが個人的には馴染めません。
また、いわゆるトマホーク戦法や三間飛車・藤井システムもいちおう三間飛車ですが、このへんになるともう7筋が単に飛車の仮置き場という感じがして、これもなんだか違うなあという感じ。
どちらかといえばノーマル四間飛車のほうが思想としては近いと思います。
ただこの辺の感覚は職人の方が多いのでなんとも断言しづらいですね。
うまく表現できないのですが、いいタイミングで▲74歩△同歩▲同飛とさばくとか、うまく▲65歩と突いて角交換でさばく、あいての角で自分の飛車を取ってもらう、▲77桂を▲65桂と使うなどなど...
ノマ三には上達のエッセンスと将棋の魅力がたくさん詰まっています。
さてそしてブックガイド。
※6/7追記)大平武洋『これだけで勝てる三間飛車のコツ』を入れるのを忘れてました。これは急戦から持久戦まですべての基礎を盛り込んだ名著で、ノータイムで★★★です。
☆☆
三間飛車対居飛車急戦の基本的な筋が紹介されています。また、4三銀型対居飛車穴熊そして5三銀型対居飛車穴熊の模範的進行も計20ページほどかけて紹介してあります。
この他、ゴキゲン中飛車や石田流の狙い筋も書いてあるので持っていて損はないと思います。
2.中田功『コーヤン流三間飛車の極意 急戦編・持久戦編』(マイナビ)
☆☆☆
ノーマル三間飛車の5三銀型に関する対急戦・対持久戦の基本をすべて抑えた、まさにバイブルと呼ぶのにふさわしい内容。最近マイナビからプレミアムブックスとして復刊されたので、これを期に是非読んでみてください(ダイマ)。
3.藤倉勇樹『振り飛車の核心 さばきの基本手筋』(マイナビ)
☆☆☆
すべての角道を止める振り飛車に共通するさばきの概念を、次の一手形式で級位者にわかり易く解説した名著。個人的には今年度のベストバウトのうちの1冊です。
☆☆
コーヤン流の2冊分の内容をキュッと1冊にしぼったような内容構成で、むだなくノマ三の指し方を吸収できます。
☆
こちらは打って変わって、4三銀型を駆使して居飛車穴熊を倒そうという内容。
コーヤン流の要諦が端攻めなら、こちらは玉頭銀。初段まででしたら最強戦法になってもおかしくありません。
☆
この辺は王道過ぎてコメント不要ですかね。急戦から左美濃などの持久戦まで、やや分量に不満はありますが、当時としては画期的な研究だったのでしょうね。
☆☆
こちらは読み物。絶版のためすこしプレミア価がついてしまっているのですが、面白いです。
『振り飛車党列伝』湯川博士
— みずたま (@go_tom_89) January 8, 2018
2005年発行。『振り飛車ワールド』(紹介済)に連載されたインタビューをまとめたもの。久保八段や中田功七段などの中堅はもちろんのこと、加瀬純一六段や飯野健二七段、真部一男八段(段位は当時)といったベテランも収録。昭和の将棋界のエピソードが満載。#今日の棋書 pic.twitter.com/n6GWp7TGhr
☆
『振り飛車党宣言!(1〜4巻)』
— みずたま (@go_tom_89) February 3, 2018
1993年発行。小倉五段、杉本昌四段、藤井猛四段、中田功五段ら(当時)の当時の最新研究と実戦譜を集めた定跡書。ノーマル四間対急戦・居飛車穴熊・左美濃や、三間飛車対持久戦の主要な変化を押さえており、今日でも基礎知識として役に立つ。文庫版も絶版。#今日の棋書 pic.twitter.com/4c1PqfIRqX
☆☆☆
これ↓の四間飛車以外の振り飛車版。さばくという概念の導入編として。
『ホントに勝てる穴熊』先崎学
— みずたま (@go_tom_89) September 24, 2017
現代将棋の根幹をなす穴熊は確かに勝ちやすいのですが、組むまでの手順やそこからの仕掛けには確かな戦術理解と技術が要求されます。例えばなぜ最近の居飛穴が67金型なのか、考えたことはありますか?
初段を目指す穴熊党への支えとなる不朽の名作。#今日の棋書 pic.twitter.com/6Wn6yGfOaT
☆
東大将棋シリーズは手順の羅列が多くて有段者向けということもあり、あまり級位者のかたにはおすすめしていないのですが、△43銀型の定跡書があまりに少ないのでランクイン。ちなみにトマホーク戦法などをあつかった『三間飛車新時代』(小倉・山本)や、西川和宏『西川流振り飛車 居飛車穴熊破り』などもあるのですが、マニアックなので詳述はしません(要望があれば別)。
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棋譜並べ編はまたこんど。