【棋書】今週増えたなかまたち
この1週間くらいで増えた仲間たち。
新刊もくまなくチェックしてますので、そちらはまた数が増えてきたら紹介します。
1. 塚田スペシャル物語
塚田スペシャルの大家塚田九段がその成り立ちを実戦例とともに紐解く。
神保町で200円だったので記念に。
2.「将棋実力早わかり」松田茂行
正統派の次の一手本。昭和42年発行の古い本ですが、一周回って現代の将棋の根幹となるの基本手筋が満載。基本の確認ができる。
同じく神保町にて300円。
3. 月刊棋譜
新聞の将棋欄を手スキャンでまとめた冊子。著作権的に完全にアウトと悪名高い。当時はこれで堂々と金をとっていたらしいのでまずいが、新聞連載をまとめるという研究手法は上達のうえでは間違っていないだろう。著作権さえなんとかすれば最強。
これも神保町で300円だったので購入。
囲碁の本も数冊手に入れました。
これはブックオフで200円。安。
これは囲碁の壮大な歴史を人物ごとのエピソードでまとめた好作。子供向けマンガで読みやすいです。ブックオフで500円。なんか家計簿みたいになってきたな。
この現代囲碁大系は神保町で100円で叩き売りされていたもの。100円って…。
とまあ、一週間でこんな感じです。
お安く押さえれば毎日一冊購入も不可能ではない?!
【局面図】自分だけの将棋ノートを作ろう
前に紹介した局面図というソフトを実際に使用することで補足しようと思います。
今回は、好きな戦型を絞って自分だけのオリジナル名局集を作るという設定で話を進めていきましょう。
一局の棋譜の中でポイントとなる数局面にコメントを付すという形にします。(私自身も実験段階)
用意するものというか今回私が使うのは、Kifu for Windows(棋譜再生ソフト)、「局面図作成」(局面図再生ソフト)、棋譜サイト(なければ手入力)、Word的なライティングソフトです。
1.棋譜・局面の入力
まずは、棋譜再生ソフトに棋譜を入力します。その際、棋譜サイトでKIF形式の棋譜があれば、Ctrl+Cのコピーで構いません。
【↑をCtrl+AののちCtrl+Cして...】
【この画面でCtrl+Vで吐き出すのじゃ!】
2.局面図作成
一局をA4一枚の紙ペラにまとめるとしたら、序盤・中盤・終盤のポイントの局面をそれぞれ1図ずつ選ぶことになるでしょう。
今回は羽生先生と渡辺先生の竜王戦を選んでみました。
▲25飛が面白い手だと思えば...
↓
「編集」→「局面・メールのコピー」→「通常」
ここで局面図作成を起動し、すかさずCtrl+V攻撃!
↓
これを1枚の画像として保存しましょう。
画像フォルダーを作っておくと便利。
3.Wordに貼り付ける・記事を書く
Wordの「挿入」から先ほど作った画像を挿入します。
この際、デフォルトのレイアウトでも良いのですが、段組みなど、棋書っぽい構成にしておくと気分が上がるでしょう。
さっき私が作ったページ設定は以下の通り。改善のしようはいくらでもあると思います。
用紙:A4
段組み:2段
1行あたり文字数:20
1ページあたり行数:36
フォント:游明朝 10.5p
英字フォント:Times New Roman
余白:右のみ20mm、ほか25mm
ざっとやるとこんな感じ↓。
だいぶ棋書っぽさを出せますね。大学将棋部の部誌なんかはたいていこんなレイアウトのイメージがあります。
あとは各自の興味関心に合わせて、終盤を研究して自分の研究を書いてみたり、仕掛けだけに注目して書いたりして楽しんでみてください。こうしてみると、結構見た目って大事ですね。
アドバイスとしては、長く続けるためにはなるべく1記事の文字数を少なくすること。
書く分量が少ないと気軽にメモ感覚で作れる気がします。ブログと同じですね。
また、「先手=s、後手=g」など、スマホやパソコンの辞書登録も活用すると便利。
ということで今回は、将棋周辺機器初心者の方のために基本作業をゆるゆる紹介してみました。わからないことがあれば聞いてください。
みずたま将棋ルーム
いてはりました。
ありがたいことに何人ものフォロワーさんが万難を排してお誘い合わせ下さり、17人もの方に参加してもらえました。
バタバタしていて写真もほとんど取れず、嬉しい誤算でした。後で食べよっとなんの気なしに買ってあったコンビニ弁当をついに食べる時間がなく持ち帰るときの、あの文化祭のあとのような高揚感、今思い返しても高まるものがあります。
本当に、思い返しても楽しかったです。
差し入れをくださった皆さんも本当にありがとうございました。
来週も同じく月曜18時からねこまどで開催しますので、ガッツリ指したい方もゆっくりのんびりしたい方もお気軽にどうぞ。
今後のイベントの際も、部室感覚で気楽に集まってもらえたらなと思います。
定跡を整理する
定跡を整理したり棋譜添削を受けたりするときに基本となるITのお作法をすこし。ご存知の方には少し退屈ですが、アドバンスドな使い方があったら教えてください。
私が絶大なる信頼を置くアプリはKifu for Android(あるいはKifu for iPhone)という、柿木義一さんによるアプリ。
この画面、将棋ファンなら見たことがないことがないはず。基本機能は無料で使えます。
ぴよ将棋にはできない(たぶん)棋譜の分岐表示が便利です。
このアプリを使うと、kif形式で保存された棋譜(無意識にやっていれば8割方そう)であればスラスラ編集・分岐作成・コメント入力ができます。PCでもスマホでもつかえます。
作成・読み込みした棋譜は、Kifu BaseというPC用ソフト(基本無料・バージョン拡張有料)で保存もできますし、(私のように)ローカルに保存でも十分使えます。
1.棋譜入力
まずは対象となる棋譜を入力します。手入力でもいいですし、ウォーズの棋譜なら「将棋ウォーズ棋譜保存」という変換サイトで操作可能な状態(kif形式)に変換します。81dojoならワンクリックで転記可能。
【手入力 or コピペ】
定跡書の変化を入力するのもいいでしょう。最近はマイナビさんが、予約購入で棋譜データ添付という素晴らしいサービスを展開してくれています。
※必要に応じて対局に関する情報を入れておくのもいいでしょう。
【操作】「棋譜を読み込む」→ダウンロードしたファイルを指定 または クリップボードに棋譜をコピー→Ctrl+Vや「クリップボードから読み込み」で吐き出す
2.変化入力
基本となる手順を入力し終わったら、名前をつけて棋譜を保存しましょう(あるいは中断)。感想戦で出た手順や定跡の変化を入力する際は、「現局面から対局/分岐作成」を押して入れたい手順を入力。その後上書き保存です。
分岐のついた棋譜を再生すると、分岐点でどちらに進むか聞かれますので、好きな方をクリックすればよし。
3.コメント入力
棋譜を並べたり指導対局を受けたりしてして、勉強になったことをコメントの形で入力します。ふだんの棋譜中継で記者さんがやっていることと同じといえば親近感もわくでしょうか。
スマホ版だと、画面をスワイプすることでコメント表示の有無を切り替えることができます。この画面どこかで見たことがありますね。
なお、2.分岐と3.コメントの機能を合わせると、次の一手風に楽しむこともできます。
↓
この技法を応用すると、一つの定跡ファイル(たとえば「横歩取り青野流」)をつくって、そこに複数の情報源からの手順・コメントを追加していくという形で、自分だけの定跡ファイルを作ることができます(実際にやっている方も多いと思います)。
いかがだったでしょうか。結構簡単なことしか紹介していないのですが、これを知ると知らずでは大違いです。ぜひ使いこなしてくださいね。
またなにか情報を思い出したら補足記事にしますね☆
まえがきからわかること【浅川書房編】
棋書のまえがきを読むのが好きです。
あとがきはない本が多いですし、コラムはあったとしても編集に書かされている感がするものが多い気がします。「上達法」「将棋めし」「携帯中継」…こんなタイトルのコラムは内容がありきたりすぎてちょっと読む気が起きません...
(最近だと神崎先生の『居飛車の基本手筋』は、著者独自の経験談が書かれていて好きでした。)
その点まえがきは、ほとんどの本にありますし、この本は同じテーマの別のとはこう違うんだ!という主張が出ていて読み応えがあります。著者の苦労やその本の利用法・読者対象などが書かれていることもありますね。
個人的に一番好きなまえがきは中原誠『中原自然流実戦集』ですね。
いま手元にないのですが、何度も棋譜並べをすることを丁寧に勧める名文でした。
前書きを読んでいると将棋上達の普遍の真理が見えてくるのです。
今回は浅川書房「最強将棋レクチャーシリーズ」の各書からまえがきの名フレーズをご紹介。
1.森けい二『寄せが見える本【基礎編】』
定跡を勉強し、正しい将棋の指し方を覚えれば、棋力は上達しますが、結局、勝負は勝たなければなりません。将棋の勝敗は、ほぼ九十パーセント以上、終盤で決まります。よほどの大差でもない限り「一手違い」の終盤を迎えますから、将棋というゲームでは、終盤が強いほうが勝つようにできているのです。
将棋は終盤。耳が痛いです...。でも解決策が!
2.森けい二『寄せが見える本【応用編】』
コンピュータと違って、人間は、見えた手しか読めません。よく「手を読む」といいますが、実際には見えた手を確認しているにすぎず、基本的に、見えていない手を読むことはできないのです。局後に「あそこでこう指せば···」と指摘されて、アッと思ったことがあるでしょう。そんなとき、なるほどと思いつつ、でもどこか釈然としない気持ちが残りませんでしたか。
(中略)将棋が強くなるということは、実は、手が見えるようになることなのです。
出ました名言。これは私からの蛇足は一切不要でしょう。
3.羽生善治『上達するヒント』
これまでたくさんの数の将棋の本が出版されてきましたが、それが実際の実戦でどれくらい役に立っているのかと思ってきました。
ゴルフにたとえるなら、ドライバーショットについては書かれているが、バンカーショットは無視されている感じです。将棋は、ゴルフ以上にバンカーの多いゲームです。そこからどのように抜け出すかがとても重要で、棋力の多くの部分をこれが占めている気がしています。
いつもながら羽生先生は喩えがうまいですね。
そんなバンカーショットをうまくなるためにはどの本を読めばいいのだろうか?
「将棋の通訳になりたい」
いつからか、こう思うようになりました。
これも記憶に残る名フレーズですね。プロの将棋を級位者にわかりやすく説明する。不肖私も目指している境地です。
5.金子タカシ『寄せの手筋200』
実戦の終盤では、超手数の詰みを狙うのではなく、玉の包囲網をせばめて最後は簡単な詰みがどうやっても受からない形にもっていくのが効果的である。
すべての伸び悩む級位者に金言。この一文だけは強制的にでもいいから読んでもらいたいのである。
6.金子タカシ『美濃崩し200』
現在ではゴキゲン中飛車、石田流、角交換振り飛車などの力戦系が中心に様変わりしているが、振り飛車の囲いの基本が美濃囲いであることに変わりはない。
今すぐ自分の胸に手を当て、「基礎をおろそかにしてるかもな」とおもったらすみやかに書店に足を運ぶこと。
7.金子タカシ『凌ぎの手筋200』
本書は、受けの力、寄せの力、読みの力、簡単にはあきらめない不屈の精神力を磨くことで、終盤の総合力のアップを目的としている。
将棋は終盤力ということは森先生もおっしゃっていました。
そしていま、終盤力には不屈の精神力がともなうべしという教訓が得られました。
本書を手にしてくれた方は、もちろん電車の移動中や、喫茶店でコーヒー片手にでもいいのですが、ぜひ将棋盤に駒を並べながら、生の講義の雰囲気を感じて欲しいと思います。
定跡書をものにするには実際に盤に並べるのが大事ということを再確認します。
また、大学での講義中に読んでいいとは決して書いてありません。
それにしても藤井先生の自由文はおしゃれですね。コーヒーがよく出てくる印象。
以上、名著8冊のまえがきに出てくる名文を紹介しました。
まえがきを読むだけで、将棋とはどんなゲームか、どうしたら勝てるのかがわかってきたような気がしませんか。
個人的には、自分の将棋に関する思考がいかにこれまで読んできた本に影響されているかが自覚できました(結構ふだん自分で言っていることと重なることが多い)。
みずたま将棋文庫
完成しました。
ちっちゃいですが、見てね☆
東京・四ツ谷のねこまど(http://nekomado.com/access)に置かせてもらってます。
本には蔵書印も押してあるのですが、どんなもかは来てからのお楽しみ。
来週&再来週・月曜夜の将棋ルームに来てくださった方にもお楽しみいただけます。
6/4(月)に将棋ルームやるから来てね☆
— みずたま (@go_tom_89) 2018年5月29日
いちど席料さえ払ってしまえばずっとぼーっとしてても棋譜並べしてても指導受けてもチェスや囲碁やっててもいいよ https://t.co/GnIspysCKN
一手一手を丁寧に
将棋、指してますか?
という書き出して今日もつらつら書いていきます。
TwitterのTLを見ていると、皆さん将棋ウォーズを戦ったり、詰将棋マラソン(継続的に解くの意味)をされていたりと、頭が上がりません。
毎日やるってある種の才能ですけど、継続は力なりですよね。
続けることと並んで最大の上達法なのが、誰かに何かを教えることです。
定跡や手筋の勉強、また棋譜並べをしたときに、自分がどれくらい理解できたかをはかるには人に教えるのが一番シンプルかつ客観的な指標です。
説明の途中であれ?と詰まったところが理解できていないところです。
教える相手がいない場合は、虚空に向かってレッスンしてもいいのですが、白紙に書き出す(ノートにまとめる)という方法も次善の策です。受験勉強なんかだと、勉強した内容を時間をおいて白紙に書き出すというのが一番効果があった気がします。
エビングハウスの忘却曲線は有名すぎるのでここには載せません。
8文字で言うなら、繰り返しは大事。
関連して、将棋界に知られる有名な棋譜並べ勉強法として、増田康宏六段流があるでしょう。師匠の森下九段が弟子の奨励会時代に命じた方法ですが、(1)勝ったほうから並べる、(2)負けたほうを持って並べる、(3)白紙に棋譜をそらで書き出す、(4)何も見ずに一局をならべる、の4ステップ。これは島朗九段の『島研ノート 心の鍛え方』で紹介されて有名になりました。
個人的に級位者の方によく聞くお悩みが、棋書を読んでいても、1ページ当たりの手順が長すぎて図を追い切れなくなるというものです。これはもっともな悩みです。
これの根本的な解消法は、ずばり脳内盤をつくるなのですが、それでは答えになっていません。余談ですが『永瀬流 負けない将棋』(2012)の中で永瀬七段は、棋譜「並べ」は久しくやっていないと言っていました。つまり棋譜用紙を見て脳内で並べきっているという意味です。
話を戻します。1ページ当たりの手順が長すぎることへの対処法は、やはり実際に将棋盤で棋譜を並べることでしょう。個人差もあるでしょうが、スマホや画面でポチポチは強くなるという目的からすると棋譜並べのうちに入らないと考えています。
それから、先日私が紹介したShogi Playgroundに、初級者に便利な機能があったので、問題へのもう一つの対処法として紹介します。
まずは覚えたい棋譜や定跡を普通に入力します。次に「シェア」のボタンから「Notes ビュー」を押すと、以下のような画面が出てきて印刷が可能に。
ただしコメントは印刷不可能の模様(この右の余白は何なんだ、手書きする?ww)。また、指定した局面だけの抽出も無理なようでちょっと苦しい機能なのですが...笑 (改善orアドバイスを待つのみのダメな子)
Advanced userには激指(など)の印刷機能をおすすめしておきます。
(参考)【棋譜と途中図が自動で印刷される将棋ソフト】棋譜を入力して印刷をしたと... - Yahoo!知恵袋
書籍の形で級位者に配慮したものはなかなかないのですが、1980年代に筑摩書房から出された一手精読・名局シリーズはよかったですね。
『一手精読 森安の名局』森安秀光
— みずたま (@go_tom_89) December 14, 2017
4局の将棋を200ページかけて解説する、異色の実戦集シリーズ。他に中原、大山、谷川、森、桐山、米長、二上、内藤、大内版が刊行されている。森安流四間飛車(同名の書籍あり)は粘り腰の指し回しが特徴で、捌きだけでない、正統派の将棋が勉強になる。#今日の棋書 pic.twitter.com/kk5bE8LI0R
基本的に1ページにつき4ページ程度しか進まないのです。
こんなかんじ。
このペースならまあ読み進められそうな感じですよね。
これを現代でやってくれる出版社があればいいのですが(ないものは作るか...)。
いろいろな話題を出しましたが、喫局はどの世界も、どんな教材を使ったとしても最後は覚え者勝ちです(教材作りはそれだけでも楽しいのですが)。そして、身もふたもない話をすると、とても強い人の中にはすべて頭の中だけで覚えてしまって、まったく棋譜ノート・勉強ノートをつけない方もいるんですよねー。そういう人って多いのかな。
はい、じゃあ皆さんも楽しく上達しましょうね~♪