棋譜解析上達法
最近の将棋の勉強法として、棋譜並べ、詰将棋と棋譜解析の3本柱を回しています。
意識してやっているわけではないのですが、この半年くらいはこの3つが自然と多くなりました。その結果わかったのですが、棋譜並べをすると序盤が、詰将棋をやると中盤が、棋譜解析をやると将棋が強くなるような気がしてきました。
今回の記事では棋譜解析を実際に行いながらその手法を紹介しみたいと思います。題材は、昨日の社団戦の将棋です。大会や道場、研究会に行ったときはなるべくこれをするといいでしょう。
(1)棋譜を残す
対局が終わったら、なるべく早いうちに棋譜を残しましょう。対局後に棋譜を思い出す自信がないときは感想戦で相手と一緒に棋譜を思い出してもいいでしょうし、かならずしも最初から最後まで記録する必要もありません。気楽にやりましょう。大事なのは、1局のうち1個は反省点(プラスでもマイナスでも)を見つけることだと考えています。
【画像は柿木将棋】
(2)棋譜をソフトに入れる
棋譜を保存したら、お手持ちの将棋ソフトに棋譜を投げ入れます。ソフトの導入方法はものによっていろいろですので、ここでは割愛します。無料のソフトもありますし、有料のソフトもありますね。棋譜を入れる方法はKIF形式でもKI2形式でも、コピー安堵ペーストで行けます。
【将棋GUIというユーザーインターフェース。ソフトは各自の好みで。】
(3)棋譜解析
UIごとに操作方法は異なると思いますが、棋譜解析ボタンを押すと棋譜解析が始まり、評価値や各局面での候補手が出ます。
【将棋GUIの場合はここをクリック】
エンジンや1手当たり検討時間を設定して、いざ検討開始!
ソフトの個性についてはあまり詳しくないのでここでは語りません。考慮時間は個人的には1手5秒で十分と思います。この辺はマシンスペックや、各人の目指すところにもよるでしょう。
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【徐々に形勢に揺れが出るかも...】
今回の私は後手番なので、評価値グラフは下に振れてくれたらいいな~と思いながら解析を待ちます。自信があった快勝譜でもじつは...それほど有利でもなかったということもあります。ここはテストの返却を待つ学生の気分ですね。
(4)振り返りタイム
さて、解析が終わりました。1手5秒ならだいたい10分もあれば一局を振り返れます。この辺の気軽さもソフトの良さですよね。
今回は、序盤で(a)すこし先手に形勢が振れた後、(b)大きく後手に揺り戻しが来てそのあと(c)もう一度互角に近づいたポイントがありました。
振り返りタイムでは、こうした形勢を動かした手(特に自分のほうの手)を反省します。将棋の形勢が大きく動くのはどちらかが悪手を指した時なので、それを見つける作業とも言い換えられそうです(基本的に将棋の好手の前提にあるのは相手の悪手)。
ここで、コンピューターの表示する読み筋欄を見ると、この△6五歩では代えて△9四歩とし、のちに△6五桂を狙う筋を予想していたことがわかります。いきおい、実戦のこの△6五歩には「悪手?」の評価が出ています。評価値も、後手に800点ほどあったのが後手に200ほどに振れています(マイナス数値は後手有利の意味)。
このあたりのコメントを見ることで、後手はこの局面で玉を囲う手ではなく攻めの手を指すのがよく、また攻めるならば6筋の歩を突くよりも桂をポンポン跳ねていくのがいいという、攻め方の方針をしることができます。このあたりの「自分の考え」と「コンピューターの考え」の違いを言語化することが上達のコツなのかもしれません。こういう意味で、対局中にしっかり考えて方針を立てることが重要になってきます。
最後に、評価値のとらえ方について私見を付け加えると、あまり細かい数値にこだわる必要はないと思います。また、評価値的には有利でも実戦的には玉が薄くて勝ちづらい、などということがあるので質的な評価が難しいということもありますね。
個人的には500点単位でとらえていて、(1)±0~±500は互角、(2)±500~±1000は有利、(3)±1000以上は優勢という風に、とてもざっくりです。この辺のとらえ方は個人によって異なるので、ぜひ周りの強い人にも聞いてみてください。
※補足 一致率はあまり気にしすぎなくていいです。戦型や手数によって大きく変動します。体感的には30-60パーセントの範囲が多いですかね。100パーセントとかはまず出ないと思います。
(5)棋譜解析保存
将棋GUIのまま保存すると棋譜解析結果を保存することができます。KIFUなどのアプリに入れると、棋譜コメントに候補手などが表示されます。
(6)参考
将棋ソフト「ShogiGUI」をインストールする | 右玉NOW 右玉NOWさんによるGUI導入手順紹介、とても丁寧です。他にもコンピューター将棋については多くの方が詳しい記事を書かれています。
KIFUアプリ