自分だけの定跡問題集を作ろう
この記事でやること
1.棋譜入力
2.保存
3.コメント入力
4.分岐作成
5.(応用)問題集を作る
皆さんこんにちは。
最近、初心者~級位者の方と指導対局する中で、ぴよ将棋やKifuアプリを使って棋譜を取られる方が増えてきたように思います。ぴよは最近ウェブ版もリリースされました。
指導する側としては、自分の指した将棋やアドバイスが棋譜という形に残るのでうれしく思います。それと同時に、はずかしい内容は残せないという思いが強くなる側面もあります。まだ使ったことがないという方はぜひ使ってみてください。
さて、今回はそんな棋譜アプリを活用した採譜方法、そしてその応用として練習問題集の作成方法を伝授します。
棋譜アプリに慣れ親しんでいる立場からすると当たり前に使っていた機能が驚きをもって迎えられるのが新鮮でした。なお、今回は棋譜の分岐とコメント入力という機能を中心に使いますので、棋譜の分岐の機能が使えるKifu (for android, for iPhone, for iPad, for windowsなど)をつかうことを前提に話を進めていきます。
スマホ・iPhone版で棋譜の分岐機能を使うには有料版が必要です。500円くらいで手に入りますが、分岐機能が必要かどうかは記事を読んで判断してみてください。
なお、今回の記事は昨年投稿した記事「定跡を整理する」をもとにしているので、重複する部分が多くあることをご了承ください。
では具体的な手順についてみていきます。手にする機会が多いと思われるスマホ版を例にとります。
※始める前の諸注意ほか※
・メニューを出すのにはホーム画面を下から上に撫でてあげてください(縦のスワイプ)。
・棋譜を中断している状態で横にスワイプすると楽しくなります。
・一人棋譜中継ごっことかできます。「※局後の感想※」とか入れるとさらに楽しいことになります。
・このアプリの棋譜ではkif形式が主に使用されます。
・設定で「分岐を作成する」が有効になっているかご確認ください。
・アプリの購入および操作はすべて自己責任でお願いいたします。質問への個別回答は承れない場合があります。
(1)棋譜の入力
対局しながら、棋譜を手入力していきます。アプリの操作手順としては以下の通りです。
(アプリ起動)→[対局]→[手合い]→(棋譜入力)→[終局]→[中断]or[投了]
(2)棋譜保存
入力が終わった棋譜は、ひとまずどこかに保存しておきましょう。
個人的にはドロップボックスと連携させるのがおすすめですが、これは普通にローカルに保存しても構いません。
[棋譜保存]
(3)コメント入力
対局中にもらったアドバイスや局後の感想は、[コメント]ボタンを押して入力します(iOS版では右上のinformationボタンから行うようです)。この操作は棋譜が対局中でも中断中でも行うことができます。コメントを追加・編集したら、棋譜を上書き保存するのを忘れずに。
(4)分岐作成
感想戦で指摘された変化手順は、本手順に追加しましょう。これを分岐作成と呼びます。「この局面ではこう攻めたほうがよかったかもしれません」「このように指すとこういう守りがあるのでうまくいきません」などのアイデアを追加するのに適した機能です。本手順(本譜)に限らず分岐手順にもコメントを入力することができます。
[対局]→[現局面から対局-分岐作成]のボタンを押して行うのがいいでしょう。分岐作成[終局]ボタンを押し、対局が終了・中断している状態で行います(デスクトップ版を除き、対局中は不可)。
[戻す]ボタンを使用すると直前の着手そのものがキャンセルされます。これは分岐作成とは異なり、ミスタッチ・誤入力をした際に使用するものです。
(5)問題集作成
さて、ここまで(1)から(5)の操作はマスターできたでしょうか。わからない場合は公式のヘルプなどを参照してみてください。ここから、(3)と(4)の操作を用いて問題集を作っていきましょう。操作方法についてくどくど書くと重複になりそうですね。対局時と操作方法は同じで、書く内容が「この時はこう思った!」から「【問題1】ここでどうする?」「解答...」という風に変わるだけです。
具体的なイメージが付きづらいかもしれないので、以下に私が作ったサンプルを置いておきます。zipにしてもいいのですがダウンロードの手間が面倒と思ったので、テキストをそのまま貼ります。-----以下をコピーしてアプリ上でペーストすればオッケー。代わりに[メニュー]→[クリップボードから読み込み]での対応も可能です。
以下サンプル です。(おとなのおやくそく:著作権はみずたまに属します。このデータは個人の使用にとどめ、データを頒布したい場合はこの記事のリンクを共有してください。営利目的でのご使用についてはご相談ください)。
どうぞご自身の問題集を作って上達に役立ててください。
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開始日時:2019/09/20 00:00:00
*先手中飛車の序盤手順について
*制作・著作権者:みずたま
*
*【問題】先手中飛車を宣言するには?
▲5六歩
*この手が正解。
△8四歩
*【問題】居飛車が飛車先の歩を突いてきたら?
▲7六歩
*角道を開けるのが正解。
△8五歩 ▲7七角
*形よく飛車先を受けることができた。
△3四歩 ▲5五歩
*以下は定跡どおりの展開。
変化:3手
▲5五歩
*実はこれは失敗。
△8五歩 ▲7六歩 △8六歩 ▲同 歩
*さすがに取るしかない
△同 飛 ▲5八飛 △8七飛成
*竜を作られて失敗。
変化:9手
▲7八金
*竜を作られることはないが、守りに使いたい左金をそっぽにやるので不満。一歩交換も許した。
△8二飛 ▲8七歩
*失敗
変化:5手
▲5八飛
*中飛車に組めたように見えるが、、、
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲7八金 △8七歩
*角が死んで失敗。
変化:9手
▲7六歩 △8七飛成
*竜を作られて失敗。
変化:2手
△3四歩
*【問題】変化。角道を開けてきたらどうする?
▲7六歩
*これは失敗。
△8八角成 ▲同 銀 △5七角 ▲6八角 △8四角成
*馬を作られて失敗
変化:3手
▲5五歩 △同 角 ▲5八飛 △4四角
*歩をただで取られて失敗
変化:3手
▲5八飛
*これが正解。
△8四歩 ▲7六歩 △8五歩
*【問題】お互いの角がぶつかった状態で飛車先を突いてきた。
▲7七角
*失敗。
△同角成 ▲同 桂
*桂で取るのは基本的に悪形になりやすい。
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛
*一方的に飛車を活用されて失敗
変化:7手
▲5五歩
*この一手の正解。怖い手が見えるが...
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛
*【問題】ここでどうする?
▲7八金
*弱気を出しては失敗。
△8二飛 ▲8七歩
*左金が7筋にくぎ付けで失敗
変化:11手
▲5四歩
*強気が正解。
△同 歩
*【問題】ここでどうする?
▲同 飛
*どちらも正解。
△5二歩 ▲2二角成 △同 銀 ▲7七角 △8九飛成 ▲2二角成
*銀をとって成功。
*この後、先手だけが桂香を取れる(馬の利きは3万回確認)。
変化:13手
▲2二角成
*どちらも正解
△同 銀 ▲7七角
*両取りの角。
△8九飛成 ▲2二角成
*駒得で成功
変化:16手
△8二飛 ▲5四飛 △5二歩 ▲2二角成
*駒得で成功
変化:15手
▲8八銀 △8二飛
*先手はチャンスを見送りやや不満
変化:15手
▲8八飛 △同飛成 ▲同 銀 △5七飛
*先手はチャンスを見送りやや不満
変化:8手
△6二銀
*【問題】ここでどうする?
▲7七角
*定跡の一手で正解。角がぶつかっていないので桂で取る悪形にはならないのです。
△4二玉 ▲4八玉
*定跡の進行
変化:9手
▲5四歩
*居飛車にチャンスを与えてやや疑問。
△同 歩 ▲同 飛 △4二玉 ▲5八飛 △8八角成 ▲同 銀
△4五角
*両取りを食らって失敗
変化:9手
▲4八玉
*ありえるが、初級者には▲7七角をお勧めする。
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲5四歩 △同 歩 ▲2二角成
△同 銀 ▲7七角
*OK
変化:10手
△4二玉 ▲7七角
*OK
まで11手で中断
変化:1手
▲7六歩
*有力だが、相手の応手によっては先手中飛車にしづらくなる。
△8四歩 ▲5六歩
*同一局面に合流。成功。
&第3手、▲5六歩まで
変化:2手
△3四歩 ▲5六歩
*ここでの▲5六歩はうまくいかない。
&第3手▲5六歩まで2
△8八角成
&第4手、△8八角成まで
▲同 銀 △5七角 ▲6八角 △8四角成
*馬を作られては失敗。
変化:3手
▲1六歩 △1四歩 ▲6六歩 △8四歩 ▲5八飛
*ノーマル中飛車になってしまった。