【棋書】5月の新刊
遅くなりましたが5月の新刊紹介をサラッとしておきましょう。
★★★★☆
升田幸三が振り飛車を指した棋譜を101局集め、石川陽生七段の解説を付した実戦集。1局につき4ページを当て、手の意味はもちろんのことその将棋が指された舞台背景についても説明する労作。ちょうど、同著者による『三間飛車名局集』と似た構成と思えば想像しやすいだろう。ひねり飛車の将棋も8局含まれていることに注意。
日浦市郎 将棋戦型別名局集8 居飛車穴熊名局集(日本将棋連盟)
★★★★★
ついに出たかという印象で、よっぽどのことがなければタイトル買いする一手。
よっぽどのことがなかったので買いました笑。
良くも悪くも、著者の正直な棋譜解析がそのまま文面に表現されていると思った。
小林裕士 急所を直撃!とっておきの雁木破り(マイナビ)
★★★★☆
1雁木対▲3七銀型急戦、2雁木対腰掛け銀、3相雁木、4雁木△7四歩~△7五歩型、5実戦編という章構成で、現時点の対雁木作戦の中心変化を過不足なく収録している。最近の、雁木が自然水している状況にかんがみると、現代人必読とまでは言えないかもしれない。しかし偽りのない研究が好印象の仕上がりだ。
藤井聡太の鬼手 ~デビューから平成30年度まで~(日本将棋連盟)
★★☆☆☆
藤井七段のデビューから2018年度までの勝局の中から、印象に残る手を次の一手形式で100問紹介する棋書。タイトルには鬼手とあるが、いたって平凡な(基本に忠実な)手が正解になっていることが多い印象。誤植が複数あるのが気になる。正直、このレベルなら将棋世界の付録か文庫版でよかったかなという印象。
週刊将棋 ポケット3手詰
★★☆☆☆
週刊将棋で過去に掲載された3手詰から218問を収録した新書版詰将棋本。
過去作と同様のレベル帯で、捨て駒が出てくる奇抜な問題が多い。
問題としては好作なのだが、将棋を覚えたばかりの初心者は絶対に解けないようなものが多いので、誤解を与える表紙という印象を持った。
高橋香代 はじめての1手詰 初級レベル1:子ども詰しょうぎ 1(シャスタインターナショナル)
★★★☆☆ 子ども、指導者向け
静岡で将棋普及にいそしむ著者が手掛けた、子供向け1手詰集。
https://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20190607/CK2019060702000020.html
こども向けとあって分量は多くなく、その分、小さな子の興味を引くようなイラストや文字がたくさん挿入されている。紙質の面でやや耐久性がないのは難点。
宗時宏 Munetoki詰将棋ザ・実戦型50(Kindle書籍)
★★★★☆ 高段者向け
7手から43手までの実戦型の詰将棋を50問集めた作品集。
見た目にも気を使っており、全編にわたり著者所有の美しい盤駒がカラーで見られるのはまさに眼福。
内田知見 囲碁 こういう人は上達しにくい 《限られた時間で強くなる考え方》(Kindle書籍)
★★★★☆ 指導者向け
福島県で囲碁指導に当たる著者が、数々の生徒を見てきた中でみつけた法則性もとに囲碁上達のアドバイスをまとめた。将棋の話は出てこないが、心当たりのある人が読めば十分参考になると思った。本文中でも、こういう人は上達しにくいと、簡潔な10か条でまとまっているのが好印象。
clickshogi アマチュアの将棋上達法 (Kindle書籍)
★★☆☆☆
将棋倶楽部24で四段の著者が贈る、アマ四段になるまでの勉強法について。
きわめて当たり前のことを言っているが、それだけ上達に近道なしということの証左だろう。上達とは自分の将棋は間違っていると認めることとの内容は示唆に富んでいた。
アライコウ 『将棋文化・歴史・専門用語がわかる! 将棋番組が10倍楽しくなる本』(ビジネス教育出版社)
★★★☆☆ 観る将向け
観る将初心者および将棋に興味を持ち始めた方向けの将棋界入門ガイド。
奇をてらわない内容で、いつの時代にも1冊はあらまほしいガイドブックだ。
中倉彰子 ストーリーでわかる! はじめての将棋ナビ☆(講談社)
小学生向け
小学生向けの将棋入門書。小学生の主人公・陽菜が将棋を通じて友達との交流を深める内容で、1冊を読み終えることで将棋の対局ができるようになるよう設計されている。
ストーリー部分は文字が多く、小学生にとっては読みごたえのある内容と思う。