みずたま将棋ブログ

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【王道を往く天衣無縫】佐藤康光将棋著作集

佐藤康光九段の将棋が王道を往く正統派の将棋であることが突然言いたくなったので、その著書についてまとめておきます。天彦九段についてはまた回を改めて。

 

【パーフェクトシリーズ(日本将棋連盟)】

・『康光流現代矢倉1~3』

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1997年出版。20世紀的な組み合う矢倉を題材に、佐藤九段が指した将棋を通じて定跡を解説した実戦集。1巻では▲3七銀戦法を、2巻では森下システム、3巻では急戦を扱っている。これと同じシリーズで、『康光流四間飛車破り』が出版されている。康光流現代矢倉については森下九段と増田六段の師弟の間にこんなエピソードがある。

 

佐藤康光の将棋シリーズ】

・『佐藤康光の矢倉』

・『佐藤康光の力戦振り飛車

・『佐藤康光の一手損角換わり』

・『佐藤康光の石田流破り』

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いずれも2011年前後の出版。当時の流行の最先端だった各戦型について、九段の定跡研究を、実戦例をまじえつつ解説する。この記事を書くために改めて読んでみると、特に石田流破りなどにおいて、久保九段や戸辺七段といったスペシャリストを相手に自信の読みをもとに真っ正面からぶつかっている様子が見て取れる。居飛車党の旗頭にふさわしい棋士の将棋と言って過言ではないだろう。

 

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ここからの中盤のやり取りは、ぜひ本書『石田流破り』で解説とともに楽しんでもらいたい。

(上図からの指し手)
▲5四歩 △同銀右 ▲7四歩 △同 歩 ▲6六角 △8二飛
▲7四飛 △7三歩 ▲6四飛 △8六歩 ▲6一飛成 △6二角
▲5五歩 △6三銀 ▲7四歩 △8七歩成 ▲7三歩成 △同 角
▲6五桂 △6二角 ▲8三歩 △同 飛 ▲4五銀 △6四歩
▲5三桂成 △同 角 ▲5四歩 △6二角 ▲同 龍 △同 金
▲4四銀 △5五歩 ▲7一角 △5四銀右 ▲6二角成 △7八と(下図)

 

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【最強将棋塾】

佐藤康光の戦いの絶対感覚』(2000年)

『読みの技法』島朗羽生善治森内俊之との共著、1999年)

河出書房新社から出版されていたこの最強将棋塾シリーズは、プロが実戦で考えている内容を赤裸々に描き出した、将棋史に残る名著群といって差し支えない。『読みの技法』は提示された局面について羽生、森内、佐藤の島研メンバーが個別に指し手の方針や読み筋を語る、いまでいう「イメージと読みの大局観」のはしりである。「絶対感覚」シリーズは序盤・中盤・終盤の各局面が提示され、読者の考えと著者の考えを比較して読み進めるタイプの、当時画期的だった棋書だ。佐藤九段のほかに羽生、谷川、森内という版があるが、佐藤先生の将棋は、仕掛けから終盤まで一本の線を引いたような完勝型の棋譜が多く、個人的には強い影響を受けた。

 

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(佐藤―谷川、名人戦⑥1998.6)

こういった、飛車角金銀の接近戦における形勢判断や指し手の方針は、初段から高段に一皮むけるためのきっかけの一つになった記憶がある。

 

【実戦集】

・『羽生&佐藤全局集』(2006年)

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・『佐藤康光勝局集』(2019年)

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 前者に関しては何度も棋譜をならべて、間違いなく血肉になった棋譜集。最近、プレミアムブックス版で復活した。後者は今年出版された、佐藤将棋の集大成である。じっくり時間をかけて味わいたいものだ。本書の出版に際してはマイナビインタビュー記事があり、こちらも佐藤将棋のエキスがあふれ出ていて、良い。

 

本書に載っている将棋から、印象に残っている将棋を一局だけ紹介する。

 

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佐藤ー藤井、1997年8月、王将

 

有名局だが、相穴熊の定跡となった将棋。

この▲5五歩からどこまでが事前研究だったかはわからないが、終盤の入り口あたりまで、将棋盤の裏まで読みつくしていたのではないかと思わせる将棋だった。やはり佐藤九段の将棋は読みで真っ向勝負するのがかっこいい。

 

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将棋世界

将棋世界連載自戦記

1996年頃から2年間、自戦記を連載していた。また、2002年からも同様の連載を担当していた。後者を書籍化したのが『注釈 康光戦記』である(2004年)。注é 康åæ¦è¨ (æå¼·å°æ£21)

どうも私の自戦記は書くと難しくなってしまうようで、ファンの方から感想を聞いた覚えもほとんどない。実際には詰みがない局面で「以下詰み」と間違ったことを書いても問い合わせがなかったくらいだから、よほど読まれていなかったのだろう。(前書きより)

 ↑この自虐と内容のレベルの高さとのギャップが好きです。

 

・「我が将棋感覚は可笑しいのか?」(2002年6月号)

一言で言うと、佐藤九段自身は自分の将棋を序盤巧者と思っていたが、周りの人からは中終盤の力で勝っているように見られていたということにしびれを切らして書いた反論。当時のタイトル戦のポイント解説といった体なのだが、このころまではしっかりとした定跡の将棋を指しているような様子である。その後、2007年ころの 棋聖戦における(佐藤&渡辺)ダブル自戦記のあたりはもういわゆるその...変態将棋になっている。羽生佐藤全局集を見る限りは、2005年頃から「変質」がおこっていたようである。

 

【インタビュー記事】

読んでください。

・「棋士の感謝」(ライブドアニュース

 http://news.livedoor.com/article/detail/16242620/ 

東京弁護士会(PDF注意)

https://www.toben.or.jp/message/libra/pdf/2018_01/p20-23.pdf

 

【その他】

可能な限り全部読んでいただきたい。

・『長考力』(本人)、『新手への挑戦 佐藤康光小伝』(上地隆蔵)

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羽生将棋に出合って佐藤将棋が変質していく様が面白い。

・「最強居飛車穴熊マニュアル」なつかしの定跡書

・その他監修本、詰将棋本、手筋本など

詰将棋に関してはなるほどの仕上がりで、こちらは微笑ましい。

 

【参考文献】

・『純粋なるもの』『島研ノート 心の鍛え方』島朗

など、島研主宰者の島九段による証言は多い。

他にも何かあれば追記していきます。