【棋書】2月の新刊
知らないうちに3月になっていたので、2月の新刊紹介をしておきましょう。
★★★★☆
昨年までの横歩取りのブームにいったん落ち着きを取り戻させた青野流。先手の利をいかして積極的に攻めたおす作戦に後手は手を焼いているのが現状です。
青野流のもっとも基本的な変化から、気になる▲7七桂や▲7七角型の変化まで解説しています。著者独特の語り口で引き込みます。
★★★★★(高段者向け)
相居飛車の最新定跡が現在の形に至るまでの変遷を描いた戦術書。
最新戦法の流れを描いた戦術書でありながら、戦法の変遷を描いた歴史書でもある。
上野先生の将棋・序盤完全ガイドが級位者むけの定跡ガイドブックとすれば、こちらはそれの高段者ヴァージョン。
240ページほどの本ですが、さらっと語る変化の裏に膨大な変化が隠れてたりするので、初段の人にもわかりやすいというふうに書き直したら500ページ位になるのでしょうね。
週刊将棋編 将棋「次の一手で覚える」序・中盤の手筋436(マイナビ)
★★★★☆
もはや定番になりつつあるシリーズ。週刊将棋に掲載された次の一手のなかから好作をあつめたもの。今回も勉強になる手筋がいくつも出ていました。
ただし、体系立った知識が身につくわけではないので、初心者のかたは駒別の手筋本(将棋は歩からなど)や戦型別の次の一手本(長岡先生の文庫など)をやるのが先決になるでしょう。
★★★☆☆
こちらも先日出版された3手・5手版の別ヴァージョン。再刊なので前の2冊の本を持っている人はいらないかもしれません。
全部解いた印象として、やや配置が不自然なのが特徴。骨のある作品ということで、実戦で手を読む練習になるかもしれません。
野間俊克 将棋400年史(マイナビ)
★★☆☆☆
将棋が現行の形として制定されてからの400年の歴史を1冊の新書で伝える本。
内容に価値があるとは思うのですが、ほぼ全ページ文字のみで、やや読みづらい印象。また参考文献リストがないのが失点ポイントでした。
羽生善治 二宮清純 歩を「と金」に変える人材活用術(廣済堂新書)
12年前に出された対談本の文庫化。内容はスポーツ寄りだった印象。
井上ねこ 盤上に死を描く 宝島社文庫
ひさびさの将棋ミステリー。積読にしているのでちかぢか読んでみます。
著者の方はツイッターをされていますね。
安藤たかゆき こんなレベルの低い将棋見たことがない! イースト・プレス
Kindleで購入可能なマンガ。筆者の将棋入門にまつわるよもやま話が人気を博しているようです。こちらも著者の方はツイッターをされていますね。
まだ読んでない!
★★★★★
将棋にまつわる短編集。将棋会館の清掃員のおばちゃんや苦労する奨励会員、棋士になりたい女子研修会員などなど、将棋が好きでたまらない人たちの日常を描いています。
個人的には将棋を好きになった子がこども教室にや将棋道場に通ったり、まいにち詰将棋を解いて上達していくあたりの描写で、この世界で仕事をするやりがいのようなものを感じました。
現実世界で将棋を楽しむ(携わる)ひとりひとりにこんな素敵なエピソードがあるんだろうな、と思い至ることができたのが私にとっての財産です。
将棋界への取材もかなりされていたのが好印象。
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今月もがんばりましょう!