みずたま将棋ブログ

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将棋系出版社について

棋書のまえがきに関する先日の記事について、何人かの方から好意的なご評価をいただきました。ありがとうございます。

 

まえがきからわかること【浅川書房編】 - みずたま将棋ブログ

 

そのときに紹介できなかった中原先生の著作のまえがきをあらためて紹介します。

 

○はしがき

読書百遍、義おのずから通ず、という。プロ棋士の実戦譜はけっしてやさしくはない。やさしくはないが、ちょっとでも強くなりたい、あるいはどうしても強くなりたいというかたにはぜひお勧めしたい。プロの実戦譜を並べることをお勧めしたい。

一度並べたぐらいでは、細部の変化、奥の深さまではなかなか理解していただけないだろうと思う。初心のかたにとっても、有段のかたにとっても、むずかしさという点では、あるいは同じかもしれない。だが、何度も並べ、盤上に再現していただければ、きっと何か得るものがあるにちがいない。

 

中原誠「中原自然流実戦集」

 

いい文ですね。中原先生にこう言われてしまうと自然に勉強のやる気が出てきます。

 

さて今日は軽めの話題。

棋書に欠かせない、出版社をいくつかご紹介。

 

1. マイナビ出版

囲碁・将棋・麻雀出版界隈では知らない人はいないほどの有名企業。2015年にマイナビから分社化した。

全国各地どの書店の将棋コーナーを覗いてみても、半分くらいはここの本が占めるのではないだろうか。

「将棋情報局」を始めとして、将棋関連の情報基地としても活躍。「将棋年鑑」はど、日本将棋連盟名義の作品の出版も請け負う。

 

【代表作】「よくわかる(戦型)」シリーズ、戦型別名局集シリーズ、「永瀬流負けない将棋」など多数

 

2. 河出書房新社

国立競技場(跡地)の目の前、すなわち、将棋会館から徒歩数分の好立地でも知られる出版社。日本文学全集や「サピエンス全史」など人文・文芸が多いが、将棋本にも理解がある。

若き日の浅川浩(後述)が腕を磨き、かつ振るったことでも知られる。

 

【代表作】 「羽生善治の将棋の教科書」シリーズ、「四間飛車を指しこなす本」シリーズ(藤井猛)、「読みの技法」(島朗ら)

 

3.  浅川書房

マイコミ(当時)、河出書房新社と渡り歩いた浅川氏が設立した将棋専門出版社。東京・本郷に所在。棋書およびその執筆者に対する深い理解から、納得の行く時間をかけて生み出される本の数々は、文字通り名作揃い。

浅川氏についてはインターネット上でも彼についての記述が散見される。

記事1記事2

 

【代表作】 「上達するヒント」(羽生善治)、ハンドブックシリーズ(浦野真彦)、「寄せの手筋200」(金子タカシ)など多数。

 

4. 池田書店

東京都新宿区に拠点を置く、実用書に力を入れる出版社。昭和期からコンスタントに囲碁将棋の本を出しており、棋書出版不況の時代も業界を支え続けてた。囲碁の「手筋の基本」シリーズが最近のヒット。将棋ではこども向けの本が読みやすく人気だ。

 

【代表作】「羽生善治のこども将棋」シリーズ、詰将棋シリーズ(飯野健二)など

 

5. 創元社

1892年創業の老舗。人文・文学の実績と信頼が厚い。将棋に関しては「初段を目指す将棋」シリーズなどでお父さん世代の棋力向上に一役買った。級位者向けに狙いの手順がわかりやすい戦術書が好評。

 

【代表作】「初段に勝つ矢倉戦法」(森下卓)、詰将棋シリーズ(高橋道雄ら)、「プロ棋士という仕事」(青野照市)など多数。

 

6. 木本書店

プロ棋戦の棋譜をうまく本に落とし込む、キュレーションメディアの意味を持った出版社。森けい二九段が気を吐き多数出版している。

 

【代表作】 「将棋戦法小事典」(鈴木輝彦)、「必勝!! 四間飛車1,2」(森けい二)など

 

7. 実業之日本社

森信雄先生が事実上独占的に将棋書を担当している出版社。終盤力の向上には欠かせないラインナップが目白押し。

 

【代表作】「逃れ将棋」シリーズ(森信雄)

 

以上、いろいろな出版社を紹介してみました。ほかにも、加藤治郎「将棋は歩から」シリーズで知られる東京書店や、惜しまれつつ倒産した山海堂(高橋道雄「手筋の教科書」、佐藤康光居飛車の手筋」などで有名)など、すべてはここには挙げきれないほど多くの企業が将棋出版に携わっています。

 

みなさんも自分だけのお気に入りの出版社を見つけて応援してみてくださいね。