みずたま将棋ブログ

みずたま(@go_tom_89)のブログです

今日指した将棋から

午後、ひさびさに時間ができたので蒲田将棋クラブへ。


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5時にごろ行って、2時間ほどで3局指せました。

 

【1局目】

最初は常連と思しき男性と。私の先手。

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指している感じから、三間飛車通なことが伝わってきました。

ここから▲24歩として局面を動かしましたが、うまく形を作ることができずに失敗。

穴熊戦でありがちな、仕掛けで失敗して以降なにも見どころなしという将棋にしてしまいました。以下は終盤の入口あたりで投了となりました。

三間飛車の相穴熊は序盤から気を遣う展開のわりには千日手含みなこともあり、スペシャリストの戦型というイメージです。

感想戦では図から▲85歩という手を知りましたが、さすがに宴会向けの手でしょうか。



【2局目】

10代と思しき若者と。私の先手でした。

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振り駒だったのですが、図からの▲55歩を△同銀と取ったところで試合終了でした。

 

【3局目】

中学生くらいの子と。私は後手でした。

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まだまだこれからの序盤ですが、ここで△65歩と突いて形を決めに行きました。

以下▲65同桂△64銀と進んでつぎの△65銀が受けづらいかと思いましたが、PCに聞くと評価はまだまだ互角とのこと。とはいえ先手が互角にするには△64銀に▲78金と飛角交換を甘受する形なので、実戦的には居飛車ペースですかね。

本譜は図から△65歩▲同桂△64銀▲89飛△85歩▲同歩△65銀▲同銀△77桂と進みました。とはいえ結構難しい局面です。

 

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ということで2勝1敗という結果でした。

これからは定期的に実戦を指すようにしていきたいです。

 

【合駒問題】解けなくても問題ない1手詰

浦野真彦八段の1手詰ハンドブックをひさびさにチラ見して思ったことがあります。

けっこう難しいがあるなということ。

 

大駒を離して打って1手詰という場合は、合駒を打つ手は無駄なので打たない状態で詰みとするという大人の事情が絡んできたりして、初学者にとっての障壁となっているようです。

 

今回は、1手詰ハンドブックのなかから、特に難しい3問を紹介し、ありがちな不正解手順をて解説してみます。正解手順はぜひ本書を読んで確認してみてください。

これらの問題は、難しいので間違えてしまっても心配しなくて大丈夫と思います!

 

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【誤答手順】

▲11飛成まで1手詰

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これには△12金などの合駒が可能です。詰将棋では、盤上の駒と攻方の持ち駒以外のすべての駒を玉方が持ち駒として使えるというきまりがあります。

 

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ただしこの場合は、合駒は金だけが正解。続いて▲22龍には△同金!の応手が可能なので詰みなし、となります。▲22銀不成には△24玉があります。

問題図から、▲11飛成に△12飛には▲同龍からの詰みがあるので、考えてみてください。結構読みの量が要求されますね。

 

 

 

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つづいて2問目。これは難解です。

 

【誤答手順】

▲43角成まで1手詰

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玉の進めるマス目を確認すると、どこにもなさそうです。

王手もかかっているし、これで詰みなのでは?と思うのも無理はないと思います。

しかし、▲43角成には△34香(香以外も可)!という受けの妙手があって、不詰めとなるのです。

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▲34同馬には△14玉、▲34同飛には△25玉と、それぞれの場合において玉の行けるマス目がひとつできてしまうというからくり。見事な捨て合でした。

 

 

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最後はこちら。

【誤答手順】

▲25香まで1手詰

 

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さきほどとと同様、これも玉の逃げ道がなく、詰みに見えます。
しかし、ここで△24歩!の中合(ちゅうあい)がまたしても受けの妙手。

 

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これで▲24同香と取ると、△13玉と飛を取られて残念ながら不詰めとなります。

 

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というわけで、1手詰ハンドブックとはいえ、不正解手順に対する玉方の受け方まで考えると難しい問題があります。ぜひ肩の力を抜いて、完璧主義になりすぎないよう気楽にチャレンジしてみてください。

 

最後に宣伝です!5分で読めるのでぜひ詰将棋を上達に役立ててください。

www.shogi.or.jp

 

現代角換わりの勉強法

現代の角換わりの勉強法について、4つのレベルの教材を紹介します。

 

1.入門

NHK将棋講座「太地隊長の角換わりツアー」

2019年10月号から始まったこの講座は、昭和から令和にいたるまでの角換わりの歴史的変遷をおさらいする入門番組です。角換わりの基本を知るのにもってこいでしょう。

今月号では▲4八金・△6二金型の攻防が取り上げられていました。当然ながら、日曜朝10時の将棋フォーカスでは映像での解説が見られますのでこちらも要チェックです。

 

2.中級

佐藤天彦の将棋講座「美しき角換わり」(将棋プレミアム、囲碁将棋チャンネル

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今年公開されたこの講座は現代の角換わり(▲4八金・△6二金型)における先手と後手の主な狙いを概観する内容です。1本10分の動画なので、書籍と比べても勉強効率がいいでしょう。細かい変化を掘り下げるのでなく、大まかな狙いをプロの実戦例をベースにわかりやすく解説してくれます。

26本のシリーズなので意外と長いです。おすすめの勉強法は、大盤で解説された手順を、スマホなどを使って手元に棋譜データとして残すというもの。手順の分岐・コメント機能があればなお良しです(保存したデータは個人利用の範囲で)。

mizutama-shogi.hatenablog.com

なお将棋プレミアムでの視聴の場合は有料会員登録が必要(月1000円前後)ですのでご注意ください。

 

3.上級

池永天志『現代角換わりのすべて』(マイナビ

現代角換わりのすべて (マイナビ将棋BOOKS)

タイトルに偽りなし!400ページ余りのこの大著は、現代の角換わりを概観するのに必要かつ十分な一冊になっています。ともすれば陥りがちな重箱の隅をつついくような定跡研究に陥らず、適切な局面で「これにて一局の将棋」と検討を打ち切る勇気を持った編集が好印象です。章立てとしては、①▲48金△62金の対抗、②▲48金△52金の組み合わせ(先後)、③早繰り銀・棒銀について(先後)といったイメージです。

関連図書に長岡先生の『神速! 角換わり▲2五歩型 必勝ガイド』や小林裕先生の『角換わりの新常識 ▲4八金・2九飛型徹底ガイド』(いずれもマイナビ)がありますが、これらの本が扱っているのがそれぞれ池永本のどこを補強する資料になっているかわかれば、しっかりと現代角換わりの見取り図を描けているということになるでしょう。

 

4.総合

将棋連盟ライブ中継 https://www.shogi.or.jp/mobile/

いっときの流行こそ落ち着いたとはいえ、プロの将棋ではまだまだ数日に1局の割合で角換わり腰掛け銀は出現しています。角換わり腰掛け銀の対局画面からMenuを出し、「角換わり腰掛け銀」の戦型で検索をかけることで一気に対象となる棋譜を選び出すことができます。とても便利(棋譜検索窓からも行けます)。


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教室の本棚にほしい本

今回は私の妄想をお届けします。自分が将棋教室の本棚を担当されたら備えておきたい棋書を挙げてみます(ただ羅列しただけ)。指導対局や友達対局の後に、「この変化ならあの本に載ってるな」、「藤井システムの仕掛けってどんなんだったっけ?」みたいにさくっと参照できるのが理想です。

 

振り飛車

四間飛車の急所1~4

四間飛車を指しこなす本1~3

四間飛車がわかる本

さばく!振り飛車教室

ホントに勝てる四間飛車

ホントに勝てる振り飛車

島ノート

振り飛車ワールド

渡辺明居飛車振り飛車 1・2

コーヤン流三間飛車の極意

鈴木大介の将棋

 

【定跡】

よくわかるシリーズ(マイナビ

これだけで勝てる(戦法)のコツシリーズ(マイナビ

パワーアップシリーズ(日本将棋連盟

 

駒落ち

決定版 駒落ち定跡

 

【寄せ】

寄せの手筋200

美濃崩し200

寄せが見える本(基礎編・応用編)

光速の終盤術

谷川流寄せの法則

光速の寄せ 全巻

 

【手筋】

将棋は歩から 3冊

ひと目の手筋(マイナビ

将棋宝典

 

棋譜

谷川浩司全集

大山康晴全集

戦型別名局集

羽生善治全局集

升田将棋選集

日本将棋大系

米長の将棋

平成将棋名局百番

棋士別名局集シリーズ(日本将棋連盟筑摩書房

大山VS升田全局集ほか百番指しシリーズ

佐藤康光勝局集

名人への軌跡

森下の矢倉

森下の四間飛車破り

永世竜王への軌跡

藤井聡太全局集

 

【大局観】

戦いの絶対感覚シリーズ

上達するヒント

 

羽生善治

羽生の頭脳 1~10

羽生の法則

羽生マジック

 

詰将棋

詰むや詰まざるや

詰将棋ハンドブックシリーズ

その他詰将棋本すべて

 

【その他】

将棋世界

将棋講座

将棋年鑑

道場日誌

 

【結論】枚挙にいとまがない!笑

敗局に名局あり

羽生善治の▲5二銀、谷川浩司の△7七桂、藤井聡太の△7七同飛成、加藤一二三の▲6二歩、升田幸三の△3五銀、中原誠の▲5七銀...

歴史に残る名手は多いですが、その多くはそれを指した人が勝った将棋のようです。将棋マニアとしては、羽生善治の△6六銀はその後、千日手になったことが思い起こされるくらいでしょうか。

 

今回は、中盤までうまく指しすすめながらも惜しくも敗局となってしまった名局を3つ紹介します。

 

1.羽生善治王将の△6二銀

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2008年の第66期名人戦の第一局から。椿山荘で行われた本局はNHKの密着番組の取材が入っており、藤井九段の「ずいぶん雑だね」発言でも有名な将棋です。

先手の森内名人の右四間飛車に対してしばらく受け身に立っていた挑戦者でしたが、ここで柔らかい好手を見せました。

 

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ここで△6二銀と引いた手が、直前の先手の▲1七香をとがめた構想。以下▲6五歩△5三角と進むと、後手の角が1七香を直接にらみ、先手の右桂の活用を妨げることに成功しました。この柔軟な駒の繰り替えに当時の控室にいた棋士も嘆息したようです。

 

2.中原誠前名人の▲5四歩

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谷川浩司王将に中原誠前名人が挑んだ1994年の王将戦の開幕局より。

矢倉党にはなつかしい森下システムの定跡形から、▲5四歩と突き出して攻めを開始したのが積極策。以下、角を銀と刺し違えて数手進んだ次図。

 

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ここで▲3五飛!と切り飛ばしたのが中原流の猛攻。以下細い攻めがつながりそうでしたが、最後は谷川先生の光速の即詰みが炸裂する結果になりました。局後の感想では、上図のあたりまでの先手の攻めは難解ながら成立していたようで、中原先生の攻めの鋭さを証明する形となりました。

 

3.升田幸三九段の居飛車穴熊

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この局面は、1968年の名人戦第二局の中盤の模様です。先手をもって指しているのは升田幸三九段、後手は大山康晴名人です。時代を先どったこの穴熊作戦。▲9八香を着手した升田九段は立会人や記録係の座っているほうに顔を向けてフフフと笑ったといいます。現代では▲7八金型もいわゆる松尾流穴熊を示唆しているようで新しいという評価もありますね。

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もう一つ、この将棋で注目したいのはこの穴熊作戦に対する大山名人の対応。銀冠に組み切らずに△6一飛と構え、最後は△8五桂からの端攻めで穴熊を攻略しました。この将棋は終盤の二転三転もあり、とても面白いのでぜひ棋譜を調べて並べてみてください。

マイ駒コレクション2019

つれづれなるままにマイ駒をご紹介します。

今年が終わるまでに、ひと通り磨き上げてあげたいものです。

 

1. 勝仙作 魚龍一字 彫駒f:id:mizutama-shogi:20191205011924j:image

いちばん最近手に入れたもの。主に研究用に使っています。魚龍書は二文字の書体ですが、最近になって一字のものが作られるようになってきています。

将棋駒研究会の勝仙さんはまだ作り始めて間もないと謙遜されますが、とくに磨きの仕上げは天下一品です。

 

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2. 富石作 一字書 彫駒
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青山碁盤店さんで今年購入したもの。研究用。富石さんは富士駒の会の駒師さんです。彫りがうまく、指していて指に心地よい刺激があります。NHK杯の書体ということで馴染みがあるのではないでしょうか。


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3. 竹風作 錦旗書 彫埋駒
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学生の頃にお金をためて求めた思い出の品。竹風師は新潟の有名な駒師です。やはり、彫埋駒を一組持っていると気持ちにゆとりが出てきますね。駒師にとっても愛好家にとっても、「錦旗に始まり錦旗に終わる」のが将棋駒なのです。

 

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4. 晴月作 菱湖書 彫駒
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中学生の頃にお年玉で買ったもの。買ったその日におろすのは縁起が悪いと母親に言われ、やむなく一晩寝かせてから開封したのが思い出に残っています。駒袋はその母の手によるものです。初心に帰りたいときに使うはじまりの駒。


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5. 玉山作 錦旗書 彫駒
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最近とあるオークションサイトで買ったもの。個人的にはかねてより一舟作の駒がほしいと思っていたのですが、すでに高価なアンティーク物しか出回っていないこともあり、同じ木地の厚み、書体を持つこの駒を手元に置くことにしました。一舟の駒は私の出身道場で使われていたこともあり、思い出の駒なのです。

ちなみにこの駒はいい意味で安っぽさがあるので、必ず折りたたみの板盤と組み合わせて使うのがマイルール。


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6. 天上 上彫
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将棋を覚えた子どもの頃に使っていたもの。最近ではめったに使わないかな…

過去の記事でも取り上げたかもしれませんね。

mizutama-shogi.hatenablog.com

 

今回はここまで!皆さんも自分の駒を大切にしてあげてください。

椿油はほどほどに!

コンピューターの最善手と人間的な正解

最近は自分が指した将棋をコンピューターに解析してもらって反省するようにしています。コンピューターの読み筋と自分の考えを比べると同じ局面でもまったく異なったとらえ方をしていることがわかり興味深いです。こう書くとコンピューターによる分析が万能に思えるかもしれませんが、読み筋の中には文字通り人間離れした指し手があったりします。そういった奇抜な最善手を指せないかぎりは不利になってしまう可能性もあるという意味では、ソフトの指し示す手を使うときはその裏にある意図を理解する必要があるのかもしれません。今回はそんなお話。

 

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上の図は、Twitterに載せた次の一手問題です。よければ少し考えてみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

正解は、▲22歩成と成り捨てる手。

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△同金には▲32角という技を用意しています(角を取れば飛が取れる)。

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これは問題なく先手有利でしょう。問題は最初の歩成を飛で取られたとき。

 

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以下▲同飛成△同金までは進みます。これが今回のテーマ図になります。

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教科書的に言えば、飛車交換をした後手陣は飛の打ち込みに弱く、その反面先手陣は比較的堅いので、駒の損得はないながら先手有利で打ち切られてしまうでしょう。

ソフトもここでは先手に1500点ほど振れた評価値を出し、▲31飛と打つ手を推奨しています。今回の文脈でいうと、この▲31飛がコンピューター的な正解です。高段者のかたにとってもこの手が正解といっていいと思います。

 

とはいえ、級位者だと▲31飛と打ち込んだ後に△21飛と合わされるような手は気になるのではないでしょうか。

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大会などで相手が自信満々の手つきでこの飛を打ってきたら、まずは素直に取る手から考えてしまいそうです。図から▲21同飛成△同金▲41飛△31飛で次図。

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さきほどの飛の合わせを取った手前、ここでも▲31同飛成と取るくらいですが、自然に後手陣に飛の打ち込みがほとんどなくなってしまいました。なにより、盤上で後手だけが金を動かしているのがシャクにさわります。

 

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ここからひとつのことがわかります。つまり、攻めにかけた手は(飛打ちに対する飛合わせ、打ち込んだ駒を取る手などによって)盤上から消えて無駄手になる可能性があるということです。

(もちろん先ほどの課題図で、強い人であれば▲31飛△21飛▲81角△62玉▲63角成△同金▲21飛成△同金▲41飛のような手順を思い描いて先手よしとすることと思います。これはこれで正解でしょう。)

 

このように、(コンピュータ的な、あるいは高段者的な)深い読みを前提とする形勢判断、難しい手筋を要求される攻め方はリスキーということを覚えておいていただければと思います(もちろんリスキーだから悪いということではないのですが)。

 

大会のような結果が求められる局面では、▲68金右のような、「戦いが一段落したところでじっと自陣のスキをなくす手」が勝率アップにつながることが多々あります。いわゆる手を渡すという技術ですね。このような手は、深く読まずとも指せることも魅力的です(必死に最善を読む努力もまた必要)。

 

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手元のソフトの評価値的には1000点くらいで先手よしです。この1000点という評価値も、後手のひとがこれに対する△81飛というド辛抱が指せればこそで、△29飛のように攻め合うと▲31飛くらいで一気に後手が苦しくなります。

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おたがいに飛を打ち込み合った上図を見れば、さきほどの急いで打った飛との働きの差が歴然とするでしょう。後手の持ち駒に飛がないので先手の飛車の価値が相対的に高まっています。これは実戦的にも先手相当勝ちやすいはずです。

 

さきほどの法則を補足すると、攻めにかけた手が盤上から消える可能性があるのに反して、守りにかけた手が無駄になることはまずないということです。考えてみれば、相手が攻めてくるときはかならず自分のつくった守り(囲い)を相手にすることになるので、このことは自然に理解できるでしょう。ただし、このようなじっと守りに手をかける手は持ち駒が豊富だったり、玉がある程度堅かったりと、のちに攻めのチャンスが確実に回ってくる場合ほど有効です。一手を争う急戦などでは緩手になりやすいので要注意です。(それから、全駒しそうな勝勢の時にこれをやると白星を得られても友人を失います笑)

 

最初の図を再掲します。

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ここで、必ず無駄にならない手で攻めるという意識ならば、▲45桂という手が主題に沿った手です。

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先手にとって37桂と58金の2枚が浮き駒なので、そのうちの1枚を軽くさばくという感覚です。これで相手に手を渡し、△28飛なら手順に▲68金右と守るし、△81飛の鬼辛抱ならまた▲68金右と手を渡し返すのが実戦的でしょうか。△28角には▲27飛の両取りがあります。

 

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攻めの筋としては▲95歩△同歩▲同香△同香▲92飛(図)のような筋があり、一歩的に飛を手放してしまった後手は思うように戦えないと思います。

 

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ということで実戦的に勝率を高める考え方を紹介しました。

思いつくままに書いたのでわかりづらいところがあったらお気軽にコメントください。