敗局に名局あり
羽生善治の▲5二銀、谷川浩司の△7七桂、藤井聡太の△7七同飛成、加藤一二三の▲6二歩、升田幸三の△3五銀、中原誠の▲5七銀...
歴史に残る名手は多いですが、その多くはそれを指した人が勝った将棋のようです。将棋マニアとしては、羽生善治の△6六銀はその後、千日手になったことが思い起こされるくらいでしょうか。
今回は、中盤までうまく指しすすめながらも惜しくも敗局となってしまった名局を3つ紹介します。
1.羽生善治王将の△6二銀
2008年の第66期名人戦の第一局から。椿山荘で行われた本局はNHKの密着番組の取材が入っており、藤井九段の「ずいぶん雑だね」発言でも有名な将棋です。
先手の森内名人の右四間飛車に対してしばらく受け身に立っていた挑戦者でしたが、ここで柔らかい好手を見せました。
ここで△6二銀と引いた手が、直前の先手の▲1七香をとがめた構想。以下▲6五歩△5三角と進むと、後手の角が1七香を直接にらみ、先手の右桂の活用を妨げることに成功しました。この柔軟な駒の繰り替えに当時の控室にいた棋士も嘆息したようです。
2.中原誠前名人の▲5四歩
谷川浩司王将に中原誠前名人が挑んだ1994年の王将戦の開幕局より。
矢倉党にはなつかしい森下システムの定跡形から、▲5四歩と突き出して攻めを開始したのが積極策。以下、角を銀と刺し違えて数手進んだ次図。
ここで▲3五飛!と切り飛ばしたのが中原流の猛攻。以下細い攻めがつながりそうでしたが、最後は谷川先生の光速の即詰みが炸裂する結果になりました。局後の感想では、上図のあたりまでの先手の攻めは難解ながら成立していたようで、中原先生の攻めの鋭さを証明する形となりました。
この局面は、1968年の名人戦第二局の中盤の模様です。先手をもって指しているのは升田幸三九段、後手は大山康晴名人です。時代を先どったこの穴熊作戦。▲9八香を着手した升田九段は立会人や記録係の座っているほうに顔を向けてフフフと笑ったといいます。現代では▲7八金型もいわゆる松尾流穴熊を示唆しているようで新しいという評価もありますね。
もう一つ、この将棋で注目したいのはこの穴熊作戦に対する大山名人の対応。銀冠に組み切らずに△6一飛と構え、最後は△8五桂からの端攻めで穴熊を攻略しました。この将棋は終盤の二転三転もあり、とても面白いのでぜひ棋譜を調べて並べてみてください。
マイ駒コレクション2019
つれづれなるままにマイ駒をご紹介します。
今年が終わるまでに、ひと通り磨き上げてあげたいものです。
1. 勝仙作 魚龍一字 彫駒
いちばん最近手に入れたもの。主に研究用に使っています。魚龍書は二文字の書体ですが、最近になって一字のものが作られるようになってきています。
将棋駒研究会の勝仙さんはまだ作り始めて間もないと謙遜されますが、とくに磨きの仕上げは天下一品です。
2. 富石作 一字書 彫駒
青山碁盤店さんで今年購入したもの。研究用。富石さんは富士駒の会の駒師さんです。彫りがうまく、指していて指に心地よい刺激があります。NHK杯の書体ということで馴染みがあるのではないでしょうか。
3. 竹風作 錦旗書 彫埋駒
学生の頃にお金をためて求めた思い出の品。竹風師は新潟の有名な駒師です。やはり、彫埋駒を一組持っていると気持ちにゆとりが出てきますね。駒師にとっても愛好家にとっても、「錦旗に始まり錦旗に終わる」のが将棋駒なのです。
4. 晴月作 菱湖書 彫駒
中学生の頃にお年玉で買ったもの。買ったその日におろすのは縁起が悪いと母親に言われ、やむなく一晩寝かせてから開封したのが思い出に残っています。駒袋はその母の手によるものです。初心に帰りたいときに使うはじまりの駒。
5. 玉山作 錦旗書 彫駒
最近とあるオークションサイトで買ったもの。個人的にはかねてより一舟作の駒がほしいと思っていたのですが、すでに高価なアンティーク物しか出回っていないこともあり、同じ木地の厚み、書体を持つこの駒を手元に置くことにしました。一舟の駒は私の出身道場で使われていたこともあり、思い出の駒なのです。
ちなみにこの駒はいい意味で安っぽさがあるので、必ず折りたたみの板盤と組み合わせて使うのがマイルール。
6. 天上 上彫
将棋を覚えた子どもの頃に使っていたもの。最近ではめったに使わないかな…
過去の記事でも取り上げたかもしれませんね。
今回はここまで!皆さんも自分の駒を大切にしてあげてください。
椿油はほどほどに!
コンピューターの最善手と人間的な正解
最近は自分が指した将棋をコンピューターに解析してもらって反省するようにしています。コンピューターの読み筋と自分の考えを比べると同じ局面でもまったく異なったとらえ方をしていることがわかり興味深いです。こう書くとコンピューターによる分析が万能に思えるかもしれませんが、読み筋の中には文字通り人間離れした指し手があったりします。そういった奇抜な最善手を指せないかぎりは不利になってしまう可能性もあるという意味では、ソフトの指し示す手を使うときはその裏にある意図を理解する必要があるのかもしれません。今回はそんなお話。
上の図は、Twitterに載せた次の一手問題です。よければ少し考えてみてください。
正解は、▲22歩成と成り捨てる手。
△同金には▲32角という技を用意しています(角を取れば飛が取れる)。
これは問題なく先手有利でしょう。問題は最初の歩成を飛で取られたとき。
以下▲同飛成△同金までは進みます。これが今回のテーマ図になります。
教科書的に言えば、飛車交換をした後手陣は飛の打ち込みに弱く、その反面先手陣は比較的堅いので、駒の損得はないながら先手有利で打ち切られてしまうでしょう。
ソフトもここでは先手に1500点ほど振れた評価値を出し、▲31飛と打つ手を推奨しています。今回の文脈でいうと、この▲31飛がコンピューター的な正解です。高段者のかたにとってもこの手が正解といっていいと思います。
とはいえ、級位者だと▲31飛と打ち込んだ後に△21飛と合わされるような手は気になるのではないでしょうか。
大会などで相手が自信満々の手つきでこの飛を打ってきたら、まずは素直に取る手から考えてしまいそうです。図から▲21同飛成△同金▲41飛△31飛で次図。
さきほどの飛の合わせを取った手前、ここでも▲31同飛成と取るくらいですが、自然に後手陣に飛の打ち込みがほとんどなくなってしまいました。なにより、盤上で後手だけが金を動かしているのがシャクにさわります。
ここからひとつのことがわかります。つまり、攻めにかけた手は(飛打ちに対する飛合わせ、打ち込んだ駒を取る手などによって)盤上から消えて無駄手になる可能性があるということです。
(もちろん先ほどの課題図で、強い人であれば▲31飛△21飛▲81角△62玉▲63角成△同金▲21飛成△同金▲41飛のような手順を思い描いて先手よしとすることと思います。これはこれで正解でしょう。)
このように、(コンピュータ的な、あるいは高段者的な)深い読みを前提とする形勢判断、難しい手筋を要求される攻め方はリスキーということを覚えておいていただければと思います(もちろんリスキーだから悪いということではないのですが)。
大会のような結果が求められる局面では、▲68金右のような、「戦いが一段落したところでじっと自陣のスキをなくす手」が勝率アップにつながることが多々あります。いわゆる手を渡すという技術ですね。このような手は、深く読まずとも指せることも魅力的です(必死に最善を読む努力もまた必要)。
手元のソフトの評価値的には1000点くらいで先手よしです。この1000点という評価値も、後手のひとがこれに対する△81飛というド辛抱が指せればこそで、△29飛のように攻め合うと▲31飛くらいで一気に後手が苦しくなります。
おたがいに飛を打ち込み合った上図を見れば、さきほどの急いで打った飛との働きの差が歴然とするでしょう。後手の持ち駒に飛がないので先手の飛車の価値が相対的に高まっています。これは実戦的にも先手相当勝ちやすいはずです。
さきほどの法則を補足すると、攻めにかけた手が盤上から消える可能性があるのに反して、守りにかけた手が無駄になることはまずないということです。考えてみれば、相手が攻めてくるときはかならず自分のつくった守り(囲い)を相手にすることになるので、このことは自然に理解できるでしょう。ただし、このようなじっと守りに手をかける手は持ち駒が豊富だったり、玉がある程度堅かったりと、のちに攻めのチャンスが確実に回ってくる場合ほど有効です。一手を争う急戦などでは緩手になりやすいので要注意です。(それから、全駒しそうな勝勢の時にこれをやると白星を得られても友人を失います笑)
最初の図を再掲します。
ここで、必ず無駄にならない手で攻めるという意識ならば、▲45桂という手が主題に沿った手です。
先手にとって37桂と58金の2枚が浮き駒なので、そのうちの1枚を軽くさばくという感覚です。これで相手に手を渡し、△28飛なら手順に▲68金右と守るし、△81飛の鬼辛抱ならまた▲68金右と手を渡し返すのが実戦的でしょうか。△28角には▲27飛の両取りがあります。
攻めの筋としては▲95歩△同歩▲同香△同香▲92飛(図)のような筋があり、一歩的に飛を手放してしまった後手は思うように戦えないと思います。
ということで実戦的に勝率を高める考え方を紹介しました。
思いつくままに書いたのでわかりづらいところがあったらお気軽にコメントください。
8枚落ちの終盤を勝ち切ろう【初級編】
今日は初級者の方に向けて、終盤戦の練習問題を出してみたいと思います。
終盤のコツは詰みだけではありません。龍のにらみを利かせてと金などの安い駒(低コスト)で守りのかなめの金や銀を削ることもポイントなのです。
盤面の上手側をよく見ると、二枚の金銀のうち、1枚は攻め担当、もう1枚は守り担当ということが多いでしょう。繰り返しになりますが、8枚落ちのコツは玉に近いほうの金を削ることです。このことを念頭に以下の問題図からの進展を考えてみてください。答えはいくつもありますが、自分なりの指し手の方針を言葉で説明できればいいでしょう。
答えの例は載せませんが、皆さんの反響に応じて補足をつける予定です。
キーワード:数の攻め 安い駒で攻める 龍と馬の詰み 垂れ歩
保護者の方へ:8枚落ちでは玉が3段目より上へすすむことが上手の本能として組み込まれていると思いますが、ここはひとつ、玉は8二の地点を中心になるべく2段目に、9~7筋の歩はなるべく突かないことを心がけてみてください。また、応手はなるべく素直にをモットーにしてみてください。
また、問題図に至るまでの指し方(攻略法)については、砂村洋輔「史上初の符号を使わない 将棋の指し方入門」(主婦の友社)など駒落ちの解説書に詳しいです。
【参考】
棋譜解析上達法
最近の将棋の勉強法として、棋譜並べ、詰将棋と棋譜解析の3本柱を回しています。
意識してやっているわけではないのですが、この半年くらいはこの3つが自然と多くなりました。その結果わかったのですが、棋譜並べをすると序盤が、詰将棋をやると中盤が、棋譜解析をやると将棋が強くなるような気がしてきました。
今回の記事では棋譜解析を実際に行いながらその手法を紹介しみたいと思います。題材は、昨日の社団戦の将棋です。大会や道場、研究会に行ったときはなるべくこれをするといいでしょう。
(1)棋譜を残す
対局が終わったら、なるべく早いうちに棋譜を残しましょう。対局後に棋譜を思い出す自信がないときは感想戦で相手と一緒に棋譜を思い出してもいいでしょうし、かならずしも最初から最後まで記録する必要もありません。気楽にやりましょう。大事なのは、1局のうち1個は反省点(プラスでもマイナスでも)を見つけることだと考えています。
【画像は柿木将棋】
(2)棋譜をソフトに入れる
棋譜を保存したら、お手持ちの将棋ソフトに棋譜を投げ入れます。ソフトの導入方法はものによっていろいろですので、ここでは割愛します。無料のソフトもありますし、有料のソフトもありますね。棋譜を入れる方法はKIF形式でもKI2形式でも、コピー安堵ペーストで行けます。
【将棋GUIというユーザーインターフェース。ソフトは各自の好みで。】
(3)棋譜解析
UIごとに操作方法は異なると思いますが、棋譜解析ボタンを押すと棋譜解析が始まり、評価値や各局面での候補手が出ます。
【将棋GUIの場合はここをクリック】
エンジンや1手当たり検討時間を設定して、いざ検討開始!
ソフトの個性についてはあまり詳しくないのでここでは語りません。考慮時間は個人的には1手5秒で十分と思います。この辺はマシンスペックや、各人の目指すところにもよるでしょう。
↓
【徐々に形勢に揺れが出るかも...】
今回の私は後手番なので、評価値グラフは下に振れてくれたらいいな~と思いながら解析を待ちます。自信があった快勝譜でもじつは...それほど有利でもなかったということもあります。ここはテストの返却を待つ学生の気分ですね。
(4)振り返りタイム
さて、解析が終わりました。1手5秒ならだいたい10分もあれば一局を振り返れます。この辺の気軽さもソフトの良さですよね。
今回は、序盤で(a)すこし先手に形勢が振れた後、(b)大きく後手に揺り戻しが来てそのあと(c)もう一度互角に近づいたポイントがありました。
振り返りタイムでは、こうした形勢を動かした手(特に自分のほうの手)を反省します。将棋の形勢が大きく動くのはどちらかが悪手を指した時なので、それを見つける作業とも言い換えられそうです(基本的に将棋の好手の前提にあるのは相手の悪手)。
ここで、コンピューターの表示する読み筋欄を見ると、この△6五歩では代えて△9四歩とし、のちに△6五桂を狙う筋を予想していたことがわかります。いきおい、実戦のこの△6五歩には「悪手?」の評価が出ています。評価値も、後手に800点ほどあったのが後手に200ほどに振れています(マイナス数値は後手有利の意味)。
このあたりのコメントを見ることで、後手はこの局面で玉を囲う手ではなく攻めの手を指すのがよく、また攻めるならば6筋の歩を突くよりも桂をポンポン跳ねていくのがいいという、攻め方の方針をしることができます。このあたりの「自分の考え」と「コンピューターの考え」の違いを言語化することが上達のコツなのかもしれません。こういう意味で、対局中にしっかり考えて方針を立てることが重要になってきます。
最後に、評価値のとらえ方について私見を付け加えると、あまり細かい数値にこだわる必要はないと思います。また、評価値的には有利でも実戦的には玉が薄くて勝ちづらい、などということがあるので質的な評価が難しいということもありますね。
個人的には500点単位でとらえていて、(1)±0~±500は互角、(2)±500~±1000は有利、(3)±1000以上は優勢という風に、とてもざっくりです。この辺のとらえ方は個人によって異なるので、ぜひ周りの強い人にも聞いてみてください。
※補足 一致率はあまり気にしすぎなくていいです。戦型や手数によって大きく変動します。体感的には30-60パーセントの範囲が多いですかね。100パーセントとかはまず出ないと思います。
(5)棋譜解析保存
将棋GUIのまま保存すると棋譜解析結果を保存することができます。KIFUなどのアプリに入れると、棋譜コメントに候補手などが表示されます。
(6)参考
将棋ソフト「ShogiGUI」をインストールする | 右玉NOW 右玉NOWさんによるGUI導入手順紹介、とても丁寧です。他にもコンピューター将棋については多くの方が詳しい記事を書かれています。
KIFUアプリ
【勝手に参考文献】ラビット番長「カチナシ!」を見てきました
今日は池袋のシアターグリーンBOXにてラビット番長さんの舞台「カチナシ!」(第31回池袋演劇祭参加作品)を見てきました。
いてはりました
— みずたま (@go_tom_89) September 21, 2019
泣いた〜! pic.twitter.com/RQtuVNtuVT
将棋と介護を二本柱をテーマにしたストーリーでした。
将棋ファンにはたまらない内容で、小ネタもちりばめつつあっという間の2時間となりました。
お芝居を見ていて頭に浮かんできた関連文献を、忘れないうちに勝手に挙げていきます。念のためネタバレしないよう、あまり書籍の内容はさほど書きませんので、気になる方はアマゾンなどでチェックしてみてください。
将棋ファン・囲碁ファンには文句なくおススメですので、まだ公演を見ていないよという方はぜひぜひ(23日まで)!
藤沢モト「勝負師の妻―囲碁棋士・藤沢秀行との五十年」(角川新書)
藤沢秀行「人生、意気に感ず」(ごま書房新書など)
藤沢秀行・米長邦雄「勝負の極北―なぜ戦いつづけるのか」(クレスト社)
芹沢和子「忘れざる優しさの証に」(文園社)
今泉健司「介護士からプロ棋士へ 大器じゃないけど、晩成しました」(講談社)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
碁は芸である
碁には個性、生き方、
その人間のすべてがあらわれる
無限に続く芸の道は厳しいが
ひたむきに歩む者は幸せだ
人間を高め、力をつけよ
自分にしか打てない碁を探求せよ
これだけは伝えたい
強烈な努力が必要だ
ただの努力じゃダメだ
強烈な、強烈な努力だ
自分だけの定跡問題集を作ろう
この記事でやること
1.棋譜入力
2.保存
3.コメント入力
4.分岐作成
5.(応用)問題集を作る
皆さんこんにちは。
最近、初心者~級位者の方と指導対局する中で、ぴよ将棋やKifuアプリを使って棋譜を取られる方が増えてきたように思います。ぴよは最近ウェブ版もリリースされました。
指導する側としては、自分の指した将棋やアドバイスが棋譜という形に残るのでうれしく思います。それと同時に、はずかしい内容は残せないという思いが強くなる側面もあります。まだ使ったことがないという方はぜひ使ってみてください。
さて、今回はそんな棋譜アプリを活用した採譜方法、そしてその応用として練習問題集の作成方法を伝授します。
棋譜アプリに慣れ親しんでいる立場からすると当たり前に使っていた機能が驚きをもって迎えられるのが新鮮でした。なお、今回は棋譜の分岐とコメント入力という機能を中心に使いますので、棋譜の分岐の機能が使えるKifu (for android, for iPhone, for iPad, for windowsなど)をつかうことを前提に話を進めていきます。
スマホ・iPhone版で棋譜の分岐機能を使うには有料版が必要です。500円くらいで手に入りますが、分岐機能が必要かどうかは記事を読んで判断してみてください。
なお、今回の記事は昨年投稿した記事「定跡を整理する」をもとにしているので、重複する部分が多くあることをご了承ください。
では具体的な手順についてみていきます。手にする機会が多いと思われるスマホ版を例にとります。
※始める前の諸注意ほか※
・メニューを出すのにはホーム画面を下から上に撫でてあげてください(縦のスワイプ)。
・棋譜を中断している状態で横にスワイプすると楽しくなります。
・一人棋譜中継ごっことかできます。「※局後の感想※」とか入れるとさらに楽しいことになります。
・このアプリの棋譜ではkif形式が主に使用されます。
・設定で「分岐を作成する」が有効になっているかご確認ください。
・アプリの購入および操作はすべて自己責任でお願いいたします。質問への個別回答は承れない場合があります。
(1)棋譜の入力
対局しながら、棋譜を手入力していきます。アプリの操作手順としては以下の通りです。
(アプリ起動)→[対局]→[手合い]→(棋譜入力)→[終局]→[中断]or[投了]
(2)棋譜保存
入力が終わった棋譜は、ひとまずどこかに保存しておきましょう。
個人的にはドロップボックスと連携させるのがおすすめですが、これは普通にローカルに保存しても構いません。
[棋譜保存]
(3)コメント入力
対局中にもらったアドバイスや局後の感想は、[コメント]ボタンを押して入力します(iOS版では右上のinformationボタンから行うようです)。この操作は棋譜が対局中でも中断中でも行うことができます。コメントを追加・編集したら、棋譜を上書き保存するのを忘れずに。
(4)分岐作成
感想戦で指摘された変化手順は、本手順に追加しましょう。これを分岐作成と呼びます。「この局面ではこう攻めたほうがよかったかもしれません」「このように指すとこういう守りがあるのでうまくいきません」などのアイデアを追加するのに適した機能です。本手順(本譜)に限らず分岐手順にもコメントを入力することができます。
[対局]→[現局面から対局-分岐作成]のボタンを押して行うのがいいでしょう。分岐作成[終局]ボタンを押し、対局が終了・中断している状態で行います(デスクトップ版を除き、対局中は不可)。
[戻す]ボタンを使用すると直前の着手そのものがキャンセルされます。これは分岐作成とは異なり、ミスタッチ・誤入力をした際に使用するものです。
(5)問題集作成
さて、ここまで(1)から(5)の操作はマスターできたでしょうか。わからない場合は公式のヘルプなどを参照してみてください。ここから、(3)と(4)の操作を用いて問題集を作っていきましょう。操作方法についてくどくど書くと重複になりそうですね。対局時と操作方法は同じで、書く内容が「この時はこう思った!」から「【問題1】ここでどうする?」「解答...」という風に変わるだけです。
具体的なイメージが付きづらいかもしれないので、以下に私が作ったサンプルを置いておきます。zipにしてもいいのですがダウンロードの手間が面倒と思ったので、テキストをそのまま貼ります。-----以下をコピーしてアプリ上でペーストすればオッケー。代わりに[メニュー]→[クリップボードから読み込み]での対応も可能です。
以下サンプル です。(おとなのおやくそく:著作権はみずたまに属します。このデータは個人の使用にとどめ、データを頒布したい場合はこの記事のリンクを共有してください。営利目的でのご使用についてはご相談ください)。
どうぞご自身の問題集を作って上達に役立ててください。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
開始日時:2019/09/20 00:00:00
*先手中飛車の序盤手順について
*制作・著作権者:みずたま
*
*【問題】先手中飛車を宣言するには?
▲5六歩
*この手が正解。
△8四歩
*【問題】居飛車が飛車先の歩を突いてきたら?
▲7六歩
*角道を開けるのが正解。
△8五歩 ▲7七角
*形よく飛車先を受けることができた。
△3四歩 ▲5五歩
*以下は定跡どおりの展開。
変化:3手
▲5五歩
*実はこれは失敗。
△8五歩 ▲7六歩 △8六歩 ▲同 歩
*さすがに取るしかない
△同 飛 ▲5八飛 △8七飛成
*竜を作られて失敗。
変化:9手
▲7八金
*竜を作られることはないが、守りに使いたい左金をそっぽにやるので不満。一歩交換も許した。
△8二飛 ▲8七歩
*失敗
変化:5手
▲5八飛
*中飛車に組めたように見えるが、、、
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲7八金 △8七歩
*角が死んで失敗。
変化:9手
▲7六歩 △8七飛成
*竜を作られて失敗。
変化:2手
△3四歩
*【問題】変化。角道を開けてきたらどうする?
▲7六歩
*これは失敗。
△8八角成 ▲同 銀 △5七角 ▲6八角 △8四角成
*馬を作られて失敗
変化:3手
▲5五歩 △同 角 ▲5八飛 △4四角
*歩をただで取られて失敗
変化:3手
▲5八飛
*これが正解。
△8四歩 ▲7六歩 △8五歩
*【問題】お互いの角がぶつかった状態で飛車先を突いてきた。
▲7七角
*失敗。
△同角成 ▲同 桂
*桂で取るのは基本的に悪形になりやすい。
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛
*一方的に飛車を活用されて失敗
変化:7手
▲5五歩
*この一手の正解。怖い手が見えるが...
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛
*【問題】ここでどうする?
▲7八金
*弱気を出しては失敗。
△8二飛 ▲8七歩
*左金が7筋にくぎ付けで失敗
変化:11手
▲5四歩
*強気が正解。
△同 歩
*【問題】ここでどうする?
▲同 飛
*どちらも正解。
△5二歩 ▲2二角成 △同 銀 ▲7七角 △8九飛成 ▲2二角成
*銀をとって成功。
*この後、先手だけが桂香を取れる(馬の利きは3万回確認)。
変化:13手
▲2二角成
*どちらも正解
△同 銀 ▲7七角
*両取りの角。
△8九飛成 ▲2二角成
*駒得で成功
変化:16手
△8二飛 ▲5四飛 △5二歩 ▲2二角成
*駒得で成功
変化:15手
▲8八銀 △8二飛
*先手はチャンスを見送りやや不満
変化:15手
▲8八飛 △同飛成 ▲同 銀 △5七飛
*先手はチャンスを見送りやや不満
変化:8手
△6二銀
*【問題】ここでどうする?
▲7七角
*定跡の一手で正解。角がぶつかっていないので桂で取る悪形にはならないのです。
△4二玉 ▲4八玉
*定跡の進行
変化:9手
▲5四歩
*居飛車にチャンスを与えてやや疑問。
△同 歩 ▲同 飛 △4二玉 ▲5八飛 △8八角成 ▲同 銀
△4五角
*両取りを食らって失敗
変化:9手
▲4八玉
*ありえるが、初級者には▲7七角をお勧めする。
△8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲5四歩 △同 歩 ▲2二角成
△同 銀 ▲7七角
*OK
変化:10手
△4二玉 ▲7七角
*OK
まで11手で中断
変化:1手
▲7六歩
*有力だが、相手の応手によっては先手中飛車にしづらくなる。
△8四歩 ▲5六歩
*同一局面に合流。成功。
&第3手、▲5六歩まで
変化:2手
△3四歩 ▲5六歩
*ここでの▲5六歩はうまくいかない。
&第3手▲5六歩まで2
△8八角成
&第4手、△8八角成まで
▲同 銀 △5七角 ▲6八角 △8四角成
*馬を作られては失敗。
変化:3手
▲1六歩 △1四歩 ▲6六歩 △8四歩 ▲5八飛
*ノーマル中飛車になってしまった。