みずたま将棋ブログ

みずたま(@go_tom_89)のブログです

9・10月の新刊

お久しぶりです。今日は職団戦に行ってきました。需要あればまた記事にします。

さて今日も元気に新刊紹介していきましょうね。

 

まずはマイナビの戦術書から。その後その他の出版社のものを紹介します。

 

(1)佐藤和俊緩急自在の新戦法! 三間飛車藤井システム

★★★★★☆

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NHK杯でも指されるなど今年に入って頻繁に目にする機会が増えた超攻撃型三間飛車

本書で扱う三間飛車藤井システムは、従来の四間飛車藤井システムよりも居飛車急戦に強く、また展開によっては居飛車の雁木のような変化にも移行する柔軟性を持っている。本書はアマチュアにも好まれるいわゆるトマホークの研究も収録し、充実の300ページとなっている。

 

(2)長沼洋『「駒取り坊主」長沼の中・終盤で差をつける 力戦次の一手205』

★★★★☆

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プロの実戦をもとに、定跡を外れた局面でのセンスを問う次の一手本。

駒が入り組んだ中終盤の局面にたくさん触れることで考える力が身につくだろう。

友人の対局の感想戦にいきなりまじる感覚を味わえる。初段~高段者向け。

 

(3)武市三郎・美馬和夫『奇襲の王様 筋違い角のすべて』

★★★★★

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久しぶりに出た筋違い角本。振り飛車編・居飛車編はもちろんのこと、相筋違い角なる戦型も解説した、筋違い角の完全版。武市先生の語りを美馬さんがガイドするという構成で、いつもながら美馬さんの構成と文章は非常に読みやすい。

後半の実戦編では目からうろこの考え方・大局観が多く紹介されていました。

 

(4)杉本昌隆『将棋・究極の勝ち方 入玉の極意』

★★★★☆

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これまた久しぶりに出た入玉本。絶対手筋シリーズの続編のような位置づけで、見開き2ページで一つの入玉手筋を紹介する。

小駒を4枚投入しても大駒1枚を回収できれば1点の得、のようなシビアな考えのもと、すこしでも逆転の(あるいは入玉勝ちの)チャンスを広げる知識を手に入れる。

実戦には出てこないだろうなあ...とは思いつつもこれだけの知識が1663円で読めるなら安いものです。

 

(5)増田康宏『増田康宏の新・将棋観 堅さからバランスへ』

★★★★☆

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増田先生2冊目の出版は自戦解説本。将棋記者の内田晶さんの構成の下、最近増田先生の指した12局の将棋を各20ページかけて詳説。かつての名著『絶対感覚シリーズ』に似たイメージか?

章立ては雁木、角換わり、相掛かり、振り飛車の4つ。堅さよりバランス重視の陣立てで将棋盤全体をコントロールする思想は、ポスト穴熊時代の嚆矢となるだろう。

「雁木の理想的な成功例」(斎藤慎戦)「完璧な振り穴攻略」(青嶋戦)など、完璧に勝ち切る将棋も多い。

 

(6)西尾明『コンピュータは将棋をどう変えたか?』

★★★★★

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まさに労作。労作オブザイヤー。コンピューター将棋の出現でプロの将棋がどのように変わったかを、プロ棋戦及びフラッドゲートの豊富な実戦例を交えて詳説する300ページ。

第1章(「コンピュータ将棋が定跡に与えた影響」)で名人戦・森内ponanza新手や矢倉△4五歩作戦などここ5~10年で人間の将棋界でおこった革命を説明。その後の第2章(「コンピュータ将棋が作り出す新戦法」)これから人間が直面することになる(角換わり▲4八金型などに関してはすでに直面している)新スタイルを紹介する。

メインとして相居飛車を扱っており、スタイルとしては勝又先生の『最新戦法の話』(浅川書房)の現代版といた趣き。

将棋が別ゲームに見えてくる。

 

(7)谷川浩司谷川浩司の将棋 矢倉篇』

★★☆☆☆

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棋士谷川浩司九段の将棋の中から、矢倉の名局20局を自戦解説したコレクター向き実戦集。巻頭に「私的矢倉観」と銘打った講座を設けているが、これは「名局集シリーズ」の巻頭特集と似たイメージのつくり。

ただし、内容的には『谷川全集』や『光速の寄せ』で読んだことがある内容であること、最近では指されないじっくりとした矢倉のみを扱っている点で個人的需要は低いかもしれない。

 

(8)『藤井聡太推薦! 将棋が強くなる基本3手詰』

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藤井聡太七段推薦の3手詰本。問題作成は詰将棋の大家・柳田明氏で、クオリティはお墨付き。

ぱっと読んだ感じ、各問題ごとにひとつ詰め手筋を身につける意識が強い感じがする。

芸術性重視のハンドブックシリーズとはやや毛色が違い、実戦・現実的な感じを受ける。

 

(9)船江恒平『船江流「詰み」から逆算する終盤術』

★★★★☆

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NHK将棋講座の内容をまとめたテキスト。「詰み」「詰めろ」「2手すき」「必死」といった終盤の基本的な考え方を、部分図を多用して解説する。タイトルの通り、詰みの状態から1手ずつ局面をもどして考えていく構成。

内容として初級者が基礎を押さえるための教科書といった趣きだが、いつの時代にもあってよいものだろう。

 

(10)武島広秋『詰将棋 虎の穴』(Kindle版)

★★★★★

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気鋭の若手詰将棋作家による作品集。電子版のみの出版なものの、540円と格安。

7手から17手までの手ごろな詰将棋を100問収録しており、頭の体操にピッタリ。

勝浦先生の詰将棋道場くらいの感覚で取り組んでみるのがいいかと思う。

盤面デザインがいいのも好印象。

 

(11)森信雄『詰ます将棋』(実業之日本社

★★☆☆☆

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すごい問題集が出たものです笑

詰将棋は基本的なルールとして、玉方(詰まされるほう)が盤上・攻め方の駒以外のすべての駒を持つことになっています。しかしこの「詰ます将棋」では、玉方が持ち駒「なし」「歩のみ」など制約がある状態で始まります。

なので持ち駒なしの玉方(11玉、21歩)に対して▲1三龍と王手すると詰みなのです笑笑

楽しいので息抜きにいいかもしれませんね。

 

以上のほか、島朗『純粋なるもの』(河出新書)や渡辺明『頭脳勝負』(ちくま文庫)も新書化・文庫化されています。いずれも名著なので未読の方はぜひ。前者は森内・佐藤・羽生らが若かりし頃のエッセイ集、後者は将棋界の仕組みをわかりやすく解説。

 

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 鍋倉夫『リボーンの棋士(1)』は年齢制限で奨励会を退会した青年の復活を描く王道もの。ストーリーがありがちなだけに今後が楽しみです。

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加藤一二三『ひふみんのワクワク子ども詰め将棋【1手詰め+3手詰め】』

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子供向けの詰将棋本でも結構骨のある図が載っています笑

 

羽生善治監修 子ども詰将棋 チャレンジ220問』

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詰将棋パラダイスの編集によるこども向け詰将棋ブック。

これをいい機会に、1手から5手詰をマスターしよう。

1069円で220問あるので1問5円以下とコスパよし。

ここだけの話、子供向けの本は実は大人のためになることも多いです。

 

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9,10月の新刊紹介をまとめてやってみました。

紹介漏れがあったらお知らせください☆

暗記の効用

将棋、強くなりたいですね。

 

将棋の勉強といえば主に以下の5つが浮かぶことと思います。

詰将棋 2棋譜並べ 3実戦 4定跡 5問題集(手筋・次の一手

 

皆さんはどの勉強法が好きでしょうか。

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私は棋譜並べが好きです。特に名局集シリーズは一つの戦型に絞って棋譜を見ることができるので素敵ですね。

 

mizutama-shogi.hatenablog.com

 

それから升田幸三名局集。ともかく序盤感覚の鋭敏さが尋常ではありません。場合によっては終盤(勝負)にたいする執着がゼロなのではないかと思わせる敗局もあるのですが、それだけに九段の負けた将棋からも学ぶところが多いです。

mizutama-shogi.hatenablog.com

 

(他にも、次の一手勉強法も好きではあるのですが、たくさんの書籍をこなしていくなかで、なかなかこれ!といういい教材に巡り合えていないのが現状です。)

 

皆さんの中では、実戦が好きだよという方が多いかもしれません。

ツイッターに流れる将棋ツイートを見ていても、この局面から勝った!負けた!というツイートが目立つ気がします。そんな状況があるだけに、「今日は詰将棋本を5ページ進めました」というツイートを見かけるとほっこりと応援したくなります。

 

そうです。詰将棋は裏切らないのです。

 

今回この記事で何が言いたいかというと、地味な勉強法ほど地力がつくかもしれないよということです。

地味な勉強法とはつまり(1)詰将棋と(2)暗記ですね。

 

(1)詰将棋の効用はいうまでもないでしょう。

実戦では詰将棋のような作ったような手順は出ないのだからやっても意味ないよ、という人は、詰将棋が手を読むという基本動作の訓練であることを見過ごしています(あるいはこれは脳内盤駒の動きを滑らかにする潤滑油を差す作業ともいえる)。

 

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特に、脳内詰将棋をやると頭がすっきりします。

身近に理解ある友達や家族がいるかたは、ぜひ脳内詰将棋の問題を出してもらいましょう。簡単なものでかまいません。地道に脳内盤を醸成していきましょう。私もこれで読みの力がぐっと上がった経験があります。

 

余談ですが、阿部光瑠六段はPCソフトに搭載されていた目隠し将棋(駒が白地になる)を指して上達した経験があるそうです。参考まで。

 

つづいて(2)暗記は、とくに定跡の手順を覚えるときに有用なことが多いと思います。教科書に書いてあることに疑問を持てる人は、そもそも教科書を熟読し理解しているものです。

 

数年前の将棋世界に「ぼくはこうして強くなった」という短期連載があり、その2015年9月号は広瀬章人八段が登場しています。その中に暗記に関する記述がありましたので紹介します。

 

両親にはうまくコントロールされていたと思います。父に言われて、『羽生の頭脳・全10巻』をノートに書き写しました。理屈を理解したできたわけではありませんが、定石を見よう見まねで覚えました。矢倉をよく指したし、振り飛車に「▲5七銀左急戦」を指していたのは、明らかに『羽生の頭脳』の影響です。 (p88)

 

何をお手本にしたかといえば、やはり羽生世代の方たちの将棋です。羽生さんや森内さんが指す居飛車の将棋は、序盤からずっと中盤、終盤まで見通している。指し手が線になって初手から最後まで続いている。それを勉強し直しました。考えてみれば、自分の将棋の原点には小学校5年生まで懸命に書き写していた『羽生の頭脳全10巻』の定跡があったはずだし、その原点に戻ったともいえます。(p96)

 

また、藤井聡太七段が 子供時代に駒落ち定跡を暗唱していたのは有名な話でしょう。

指導に当たった文本力雄さんはインタビューでこう語っています。

「教材は駒落ち定跡書になっているので、その480ページをみんなに覚えてもらういうのが最初で。その次が『羽生の頭脳』という一般戦法になるんですけども。」

「はい、これを八枚落ちから上手香落ちまで。それをね、一区切りずつ並べて覚えてもらって。テストするんです。」

 『暁将棋部屋 第二号』p43-44

これによると、藤井七段は幼いころこの暗記課題を1年くらいでクリアしたそうです。

この出典(暁将棋部屋という同人誌)に興味がある方は、こちらからどうぞ。 

 

ということで今回はちょっと将棋をがんばって覚える時期があってもいいんじゃないという意識で書いてみました。

広瀬八段や藤井七段も通った道と知れば、何となくやる気も起きるかもしれませんね。

 

皆さんも基本をしっかり学び、そこから応用を繰り返して自分の将棋を作っていきましょう!

 

【1005追記】

鈴木大介九段は少年時代、父上から大内九段の名著『5七銀左戦法』を暗記させられたというエピソードがありましたね。

どこでも棋書

以前は棋書はすべては紙の本で買っていたのですが、ここ数年は電子書籍で買うことも多くなりました。

 

今回は私が電子版、紙版の両方で持っている本を紹介しましょう。

最初は紙で買ったのだけれど人に挙げてしまったり、あまりにも参照する回数が多くてこれは電子で買ったほうが早いと判断した名著ばかりです。 

 

【定跡本】

  • 中飛車破り一直線ガイド 髙見泰地

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ゴキゲン中飛車(先後)に対して一直線に居飛車穴熊に組みにいく戦い方を解説した本です。2013年に出された本ですが、その内容はいまだに色あせません。

最新定跡を研究する上での基礎固めにいいのではないでしょうか。

 

 

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初段を目指す方が、じっくりした矢倉戦法を組んだ後の狙いを知るために有用な本。

先手(読み手)側が有利になるような手順を採っており、理想形を描くことの大切さを教えてくれる。

 

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四間飛車居飛車穴熊の定跡で考えるべきことが網羅された定跡書。中盤以降の指し手はやや理想化された手順という感じはあるが、初段前後であればこれ一冊で十分居飛車等に対応できるだろう。

 

  • 手筋の達人2 武者野勝巳

 

 

棋譜集】

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昭和のツノ銀中飛車から平成のご機嫌中飛車まで、定跡の面でもタイトル戦のエピソードでも注目されるべき100棋譜を丁寧に解説した名著。5000円でも買いですね。

 

 

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 気高い...(語彙力)

横歩取りといっても色々な形、色々な仕掛けのパターンがあって、いつも△8六歩▲同歩△同飛で始まるわけではないのです。そういう意味では戦法のカタログ的に居飛車の戦いを俯瞰できる名著ともいえそうです。

 

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 積極的にリードを奪う居飛車らしい戦い方を私は米長将棋からも学びました。

米長vs中原のタイトル戦はいつもの矢倉の形になるのがやや残念ですが、そのほかの形は仕掛け、特に対振り飛車の中盤の戦い方が勉強になります。

 

大山康æ´åå±é (åå±éã·ãªã¼ãº)

この本はもう将棋指しのバイブルと言っていいでしょう。

この本を、または大山康晴全集を並べることなく伸び悩んでいる人は、とにかく大山将棋を並べましょう。勝利のいいイメージも指にしみこむはずです笑。

 

詰将棋・付録】

 

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将棋世界の付録は小ネタとして重宝します。

 

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電子版のメリットは、どこでも持ち運べる、すぐに参照できる、絶版に関係なく読める、セールで安く買えることがあるなど様々です。

逆にデメリットは、電池がないと読めない、人に貸せない、書き込みができない、お風呂で読めないことなどでしょう。

 

両方を買えば両方のメリットを得られると思います。

みなさんも電子書籍で快適な将棋ライフを!!

2001年の将棋世界

先日アカシヤ書店に行った際、将棋世界のバックナンバーが1年分2,000~3,000円で束売りに出されていました。普段から雑誌のバックナンバーは気になっていたので、今回は2001年の12冊分を2,200円で買ってみました。

 


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今の将棋世界も観戦記からエッセイまで高い質を誇っていますが、当時のものも、それはそれは面白いです。その中から気に入った記事をいくつかご紹介。

 

「キレ味。この一手。」はアサヒビールの提供による1ページ連載で、毎号一人の棋士が自分の最近の将棋から切れ味のある手を紹介するコーナーでした。
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  • 「キレ味。この一手。」(2001年9月号)

米長邦雄「名人獲得の一番」

平成5年春、もうすぐ50歳になろうかという私は7度目の名人戦中原誠名人に挑んだ。3連勝で迎えた第4局。私は中盤の入り口で攻め込みたい気持ちをぐっとこらえ、112分の大長考で▲9六歩と矢倉玉のふところを広げた。観戦に来ていた谷川浩司が「これはコクのある一手ですね」と感心したと後で聞いた。2日目に入り険しい中盤戦を迎え、△4七角と飛車取りに打たれたのが図の局面。ここで私は63分考えて決断の一手▲2四歩を指した。肉を切らせて骨を絶つ鋭い一着である。この手をやはり観戦に来ていた羽生善治が「鋭い切れ味です」と評し「新名人誕生でしょう」と予言したらしい・序盤はコクがあり中盤はキレのある手が指せた将棋だった。コクがあってキレがある、まさにスーパードライのような将棋で、私は念願の名人位を取ることができたのである。名人獲得後のビールは当然ながら格別の味であった。

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多少の脚色はあるかもしれませんが、ここまで軽快で引き付ける文章も珍しいものです。コクとキレというキーワードを使ってちゃんとスポンサーにもアピールしていて、なんかもう脱帽の筆致ですね。

 

あまりにも有名な観戦記のタイトルですね。藤井猛竜王に羽生五冠が挑戦した第13期竜王戦の第7局は、最終盤で藤井竜王がそっぽに落ちていた歩をじっと拾う手で大局を制した激闘として知られています。すべてを引用することはできませんが、あの重要部分をご紹介。

 

藤井には時間があった。

十一分考えた。その中で、いつ次の手に気がついたのかは分らない。ただし、瞬間天にも昇る気持ちになったことだけは想像がつく。

歩があった。歩が取れるのだ。

▲8六歩。驚くなかれ、この辺境の一歩を駒台に置いた瞬間、後手玉には受けがなくなった。

一歩、いつも突き捨てたり打ち捨てたりしてぞんざいに扱っている一歩。しかし藤井には竜王を得るための命の歩だった。まるで砂漠のオアシスのように、それは、そこにあった。ひっそりと、おくゆかしくあった。

 

先崎先生の筆も名高いですが、この文章は藤井ファンならもう暗記しているレベルかもしれませんね笑 全文を楽しみたい方は、ぜひお近くの中央図書館へ。

 

  • 旬の棋士の熱闘自戦記 第7回(2001年12月号)

日浦市郎「自戦記・日浦市郎風」

日浦先生がそのお気に入りの作家、清水義範に倣って文体模写に挑戦。まず冒頭は、加藤一二三九段風に。ちなみに題材は2001年8月の朝日オープン、中川―日浦戦です。

 

中川七段と私は平成元年の新人王戦の決勝で顔を合わせた。このときの第1号局で中川七段は角換わり棒銀できた。苦しい将棋だったが終盤で中川七段に見落としが出て私が勝った。第2局は相掛かりの将棋となり、私が快勝して優勝を決めた。

これは私にとって非常に喜ばしいことであった。このときに中川七段は粘り強い将棋だという印象を受けた。

本局は振り駒で中川七段の先手となり▲2六歩と飛車先を突いてきた。私は△3四歩と角道を開けた。対して▲7六歩ときたので△4四歩と角道を止め振り飛車を目指した。(後略)

 

すごい模写力ですね。もはや笑うしかない。

次は森下九段風に。

 

実は第1図の局面で4筋の位は取り返されたものの、自陣は銀冠の堅陣になっていたのでいい勝負だと思っていた。

ところが読み直してみると、ここで思わしい手がなく、すでに形勢不利になっていることに気づき愕然とした。

第1図までの指し方に問題があったわけなのだが、序盤戦といえど一手一手慎重に指し進めなければいけないのに、漠然と指してしまっていた。これでは棋士として失格である。

(中略)

全くヒドイ将棋を指したものだ。自分自身に対して怒りがこみあげてくる。明日からは禁酒をして1日15時間将棋の研究をしなければ、と心に誓った。

 

これに関しては誰の模写かも隠しても当てられる人が多かったかもしれませんね。

あと2人分あります。つぎは遊駒スカ太郎椎名龍一)さん風に。

 

おいらは第2図の局面を眺めながら「もうダメかあ……。オイラにはやっぱり将棋は向いていないんだ。田舎で畑を耕していた方がよかったかにゃあ……」という世紀末人類絶滅的悲観に陥っていた。(後略)

巧いですね。一人称をオイラにして、あとは長い単語をくっつけるのが特徴。

 

最後は名前を伏せましょう。ヒントは、棋士ではないです笑

 

対局が終わった後のビールはうまい。この意見には棋士全員の賛同を得られるだろう(飲めないヒトをぬきにして)。

中には一人くらい「イヤ、オレは冷たいビールよりあっためた牛乳のほうがいいね」というヒトが一人くらいいるかもしれないが、そういうヒトとは友達になりたくない。

(中略)

しかし、やはりうまいビールを飲む一番の条件は対局に勝つことだ。

勝った後、まっすぐ家に帰り、今戦ったばかりの棋譜のコピーを見ながら、ニンマリしつつ一人飲むビールというのもまた格別である。

 

ビールの丸かじり。ということで日浦八段の自戦記は面白いので他にも読んでみたいと思いました(小学生並みの感想)。

 

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機会があったら別の年の記事も載せてみたいと思います。

将棋世界付録の楽しみ【読み物編】

前々回、前回の続きです。

mizutama-shogi.hatenablog.com

mizutama-shogi.hatenablog.com

 

さて。

(1)詰将棋、(2)基礎手筋、(3)実戦手筋、

(4)定跡次の一手、(5)終盤次の一手

(6)棋士特集、(7)将棋豆知識、(8)読み物、

(9)データブック、(10)その他

 

最後の3項目を紹介します。

 

【7】将棋豆知識

将棋文化検定が近い時期など、気まぐれで単発で出てくることがあります。田丸昇九段が貢献されている印象です。

 

「将棋センター試験カルトQ(2007年1月号)

「チャレンジしよう!将棋文化検定」(2012年9月号)

田丸昇「将棋クイズ123」(2013年9月号)

田丸昇「将棋雑学ゼミナール」(2016年12月号)

 

他にもあるかもしれません。最初に挙げたカルトQの出題は将棋パイナップルとのことで、若干のなつかしさがあります。「次のうち、9月27日生まれでない棋士は誰でしょう。(A) 羽生善治 (B) 石高澄恵 (C) 矢倉規広 (D) 中村亮介」(カルトQ 第85問)や、「現代の将棋がよく指されるようになったのは、どの時代からですか。①奈良時代 ②室町時代 ③江戸時代」(123 p30)などなど。

 

文化検定関係以外にも、

堀口弘治「将棋 常識とマナー ハンドブック」(2014年1月号)

のようなルールブックも一時期まで定期的に出されていました。

 

【8】読み物

読み物もたくさん出されています。勝又清和六段の「新手ポカ妙手選」「新手年鑑」将棋世界の名物なので、いまさら紹介するまでもないでしょう。

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門倉啓太「記録係は見た!」(2011年8月号)は、デビュー当時の門倉五段が奨励会時代に記録係を務める中で出合った珍場面を、盤上の指し手(次の一手形式)とともに紹介する冊子です。

 

「四段昇段の記セレクション」(2018年7月号)は将棋世界本誌からの選集。三浦九段から藤井七段まで27人のプロ入り時の喜びのことばを集めてあります。以前は若手の自戦記などが付録になっていた時代がありましたので、こういう試みはなんとなく懐かしくなります。

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【9】データブック

先述した将棋ルールブックのほかにも、「現役棋士データブック2016 上下」(2016年1、2月号)は将棋年鑑の巻末の棋士名鑑を抜き出した感じの付録。基本情報に加えてちょっとしたエピソードもあります。窪田七段が鳩森神社太極拳の演武をしている姿を想像すると、なんだか楽しくなります。2019バージョンが出るといいですね。

「全国道場ガイドブック 上下」(2007年4、5月号)も、昔を知る人には懐かしい一品。10年前のデータなのでさすがにいまでは廃業しているところが多いと思いますが、これを持っておけば、将棋界隈の人と話をするときの話題にいいかもしれません。

 

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以上3回かけて、将棋世界の付録を簡単に分類・紹介してみました。

このほか将棋界にはNHK将棋講座や近代将棋などの付録も存在するわけで、結構気が遠くなりますね。。。

 

※「詰将棋一番星」というサイト内に、詰パラの「詰将棋の散歩道」が転載されています。その中に将棋世界をはじめとした雑誌付録の目録を見ることができます。(詰将棋一番星TOPペ−ジ

 

ではまた!

将棋世界付録の楽しみ【次の一手編】

前回は詰将棋・手筋の話をしました。

 

(1)詰将棋、(2)基礎手筋、(3)実戦手筋、

(4)定跡次の一手、(5)終盤次の一手

(6)棋士特集、(7)将棋豆知識、(8)読み物、

(9)データブック、(10)その他

 

今回は(4)から(6)の3つを取り上げてみます。

今思い出したのですが、将棋世界の付録に関するレファレンスといえば詰将棋パラダイスでしたね。なんか面白いですね笑

 

【4】定跡次の一手

これは語りだすと長いです笑。そしてここ数年のもの以外は電子化されていないので入手困難なのを覚悟してください笑。発行年順に行きましょう。

 

☆「定跡次の一手」シリーズ

岡崎洋「相掛かり」(1997年3月号)

堀口一史座「先手三間飛車VS後手持久戦」(1998年2月号)

飯島栄治「香落ち最前線」(2000年10月号)など

平成1桁台に主に出されたシリーズで、いわゆる基本定跡が載っています。基本定跡って常識のわりに意外と書籍化されていないので困りますよね。私もこのシリーズは見つけ次第入手するようにしています。

 

藤井猛「藤井矢倉の原理、藤井矢倉の攻防」(2011年10月、11月号)

当時はやっていた藤井矢倉(天野矢倉+角対抗)の基本的な狙い筋と応用的な研究を九段みずから次の一手形式で解説。観る将的には、表紙が尊い(語彙力)。


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佐藤慎一「極限早繰り銀戦法」(2017年8月号)

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流行のはしりですね。この付録に乗っている手順だけで私はけっこう勝ち星を稼げました。本書はのちに『史上最速の攻撃戦法 極限早繰り銀』として書籍化されました。この「付録→書籍」の流れは一種の黄金ルートですね。ほかにどんなものがあるか、よければ思い出してみてください。

 

北島忠雄「攻めて楽しい雁木戦法」(2017年11月号)

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雁木に関する基本的な狙いなどを記した本はそれまであまりなかったので、子の付録は結構貴重でした。北島先生の著作は丁寧かつ分かりやすい記述で、私はすべて購入して愛読しています。もちろん将棋プレミアムの解説動画も全部見た(語彙力)。

 

【5】終盤次の一手

こちらはちょっと息抜きで軽めにいきましょう。

 

内藤國雄「どっちが勝ち?【付録編】」(2012年6月号)

終盤問題の名手が付録に登場。

「天国と地獄」シリーズ

最終盤におとずれる究極の二択問題集。私が持っていたのは2015年12月号のⅢでした。

 

【6】棋士特集

次の一手問題集としては、ひとりの棋士を取り上げて、最近の将棋から戦いぶりを紹介するパターンもおなじみでしょう。名局集の出されていない棋士でもこちらなら、という場合も多いようです。基本的に編集部が書いているので本人のコメントなどはほぼないです。

 

「丸山ブック」(2000年9月号)

丸山忠久九段の名人獲得を記念して出されたもの。巻末に平成2年から12年までの戦績一覧が載っています。

 

棋聖の一手」(2004年11月号)

はしがきの冒頭「今回、昨年の棋聖位初防衛後から一年間の将棋の中から勝局を選んで次の一手を出題し振り返ってみる。」佐藤先生は2012年にも升田幸三賞受賞を記念して同様に「天衣無縫の一手」を出されています。

 

「羽生ブック」(1995年10月号)

ネーミングセンスがわかりやすくていいですね笑 七冠を獲る前のもの。80ページ使って2局をじっくり解説します。のちに続編も出されました。

 
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詰将棋や手筋に比べて、次の一手は(どちらかといえば)どの棋力の方でも親しみやすいとおもいます。また、羽生ブックや藤井矢倉の原理など、内容がわからなくても好きな棋士の写真を見てたのしめるのも付録の良さですね。観る将の人にもおすすめです。

 

個人的には阿久津主税八段の定跡次の一手はすべて表紙に本人が写っていてお気に入りです(「阿久津流後手矢倉△5五歩戦法」「対四間飛車△7二飛亜急戦」「対一手損角換わり先手早繰り銀」)。

オールラウンダーになろう

みずたまです。今日も書いていきましょう。

オールラウンダーになるため棋書をちょろっと紹介する予定です。

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最近わたしは初段周辺の方、これから初段を目指す方と盤をはさむ機会がたくさんあって、いろんなことを思ったり思わなかったりしてます。

 

そんな日々の中で強く思うのは、いつも将棋に対する興味や自分なりの得意戦法を持っていて、強い人に会えばそのときに疑問点をたずねるというスタンスのかたが強くなるということ。質問はより具体的なほうが答えやすいですしね(「〇〇という戦法の狙いがわからないので教えてください」)。自分なりの形や理解があって、そのうえで質問するというスタンスがいいような気がします(「私はこう思うのですが、あなたはどう思いますか」)。ここ数か月で目を見張る成長をとげている方を何人か目にしています。

 

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世の中には数多くの指導者や教本がありますが、結局その機会を生かして強くなるのは本人の努力だったりします。その傾向は詰将棋でもっとも顕著でしょう。どれだけいい問題集があっても、結局それを解くのは本人に他ならないのです。もちろんほとんどの方は普段の仕事が忙しくて...というケースでしょうから、それを踏まえてより効率的な手段を伝えるのは指導役の仕事ではあります(もちろん本人もやる)。

 

蛇足ながら付け足すならば、将棋の勉強でもっとも基礎的かつ重要なのは詰将棋でしょうね。これはあのマズローさんも言っていたとかいないとか。上達に近道はないですね。蛇足ついでに言うと、私は最近になってようやく「自分の好きな勉強法を取り入れると強くなる」という言葉の意味が理解できるようになってきたような気がします。

 

 

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さて前置きが長くなりました。今回のテーマはオールラウンダー

将棋を指すうえで何に喜びを見出すかというのは人によると思います。相手に勝つことが最大の喜びということにはおおむね異論はないでしょうが、その性質には大きく分けて2つあるように思われます。

 

まずは自分の得意戦法を相手にぶつけて倒すことが一つ。そしてもう一つは、相手の得意戦法を丁寧に受け切って勝つことです。イメージでの話ですが、前者の代表は藤井九段の四間飛車や鈴木九段の中飛車、加藤九段の棒銀など。後者の代表は羽生竜王や...他はぱっとは思い浮かびませんが、中原十六世名人の自然流でしょうか。自分の得意な形を指すのは、どちらかというと振り飛車党という印象があります。戸辺先生の戸辺攻めもそのような方向性でしょう。

 

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すこし個人的な話をすると、私は羽生先生や谷川先生の棋譜を勉強してきたので、どちらかといえば後者の、相手にやりたいことをやらせる指し方に喜びを見出すようになりました(勝てるかどうかは別問題として)。羽生先生の最近の将棋では、3年前の王将戦挑戦者決定戦の久保九段との将棋が印象に残っています。久保先生得意の先手中飛車を受けて立って、最後は美しくまとめました。

 

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オールラウンダー的な将棋も、もちろん自分から攻めて勝つこともあります。いずれにこの王道の指し方は、いずれにしても勝ったときに格好いいのだと私は思います。相手からしても、自分の得意な形を指して負けた時のほうが、自分の将棋を出せぬまま一気につぶされたときよりも納得がいくのではという気がします。(「棋は対話」という言葉の私の解釈の一つ)

 

もちろん多くの戦法を指しこなすためには様々な定跡、すなわち「対話の仕方」を学ぶ必要があります。その点でオールラウンダーを目指すのは大変なことでしょう。

 

 

 全ての定跡を完璧に覚える必要はありません。そもそもオールラウンダーになることイコールすべての序盤を暗記することとも違います。戦法や戦型には、たとえばさばきや厚みの概念など、それぞれ特徴があり、そのツボを押さえることが中盤の優劣につながっていきます。その点で序中盤をひとつの物語のように理解することが上達につながるでしょう。

私自身は、駒組みと仕掛けを読み解くことに読書に似た楽しみを覚えます。読書の仕方も1冊を何度も読むときと多くの本をまんべんなくのときがありますよね。

 

最終的には様々な戦法の定跡書(各論)をたくさん読み、指しこなすことでしょうが、それも大変なので。初段を目指す方向けに、少ない冊数でいろいろ概観できる棋書を何冊か処方しておきますね。

 

定跡書

 

興味が出てきたら、少しずつ各論を自分の頭で集約するスタイルへ。

 

シリーズ

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振り飛車の教科書は私にも勉強になりました。

 

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考え方と具体的な指し方がいいバランスでまとまっていていいシリーズです。以前、同社から「よくわかる」シリーズが出ていたのですが、絶版のものもあるのでこちらを紹介。よくわかるシリーズのほうがややレベルは高いです。それから、初段以上の人なら「羽生の頭脳」もいまだに良書だと思いますよ。

 

棋譜

先述の通り、羽生先生や谷川先生、中原先生の棋譜を並べましょう。棋譜並べはどの棋力帯でも有効ですが、特に有段者はマストですね。藤井七段の棋譜は対振り飛車の勉強にもなります。

 

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昭和編はプレミアムブックスで復刊しました。平成版は古書でどうぞ。

いろいろな版がありますが、こちらもマイナ版がPB復刊になりました。